Windows AI Foundry の概要

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May 25, 25

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Microsoft Build 2025で発表された、Windows AI Foundry の概要です。

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Microsoft MVP for Windows and Devicesです。WindowsやWindows PCの情報を発信しています。 マイクロソフト製品や技術をお伝えするポッドキャスト番組を配信しています。 https://www.youtube.com/@Windows-podcast/ https://windows-podcast.com/podcast/

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各ページのテキスト
1.

Windows AI Foundry Build 2025で発表されたWindowsの技術進化 〜AIエージェント時代に向けた開発基盤強化〜 木澤朋和 Microsoft MVP for Windows and Devices windows-podcast.com

2.

AIエージェントの時代 • これまでのAIの限界 • 学習データやネット情報に基づきテキスト/画像を生成 • PC内のファイル操作やアプリ連携は限定的 • AIエージェントとは • PCやアプリの機能を使って具体的なタスクを実行できるAI • PC内の情報・機能を「スキル」として活用 • 賢く自律的に動ける「秘書」のような存在 • Microsoftの目標: • Windowsを「AIエージェントの時代」に最適なプラットフォームにする • インテリジェンスをソフトウェア、シリコン、ハードウェア全体に統合 • セキュアな開発基盤

3.

主要な技術基盤の概要 • 今回の発表におけるAIエージェント実現のための基盤技術 • Windows AI Foundry • 開発者がWindows上でAI機能を効率的に作るための統一プラット フォーム • Model Context Protocol (MCP) • AIエージェントがアプリやWindows機能と安全に連携するための通信 ルール

4.

Windows AI Foundryとは • 「Windows Copilot Runtime」の発展形 • AI開発ライフサイクルをサポート • AI開発の一連の流れ • モデル選定、最適化、微調整、展開(ローカル/クラウド) • 一つのプラットフォームのシンプルにまとめる • AI開発の民主化を目指す • AI開発経験が少ない開発者でもAI機能を組み込みやすく。手軽に追加 • 主要な構成要素 • Windows ML • Foundry Local • Windows AI API • モデルのカスタム化機能 (LoRA, Semantic Search/RAG)

5.

Windows AI Foundry • Phi Silicaのファインチューニング(LoRA) • Windows標準搭載の小規模言語モデル(SLM) • 独自のカスタムデータで学習させ、特定の用途向けに性能向上 • 特定のデータでより賢く「LoRA (low-rank-adaption)」手法を使用 • Semantic Search API: • アプリ内で意味合いによる検索を実装 • Knowledge Retrieval API / RAGサポート: • 独自のデータに基づいた応答生成 (RAG) 機能 • ローカルで動作し、プライバシーとパフォーマンスに優れる

6.

Windows AI Foundry - Windows AI APIs • Windows標準搭載AIモデル(In-boxモデル)を利用 • 特定のタスクに特化したAI機能を提供 • テキストの要約、書き換え • 画像の説明生成、テキスト認識(OCR)、超解像、オブジェクト認識/ 削除 • Copilot+ PC (NPU搭載) に最適化 • デバイス上(ローカル)で実行 • データが外部に送信されずプライバシーが保護 • 高速な応答

7.

Windows AI Foundry - Foundry Local • クラウド上の「Azure AI Foundry」のローカルバージョン • Windows AI Foundryに統合 • 最適化済みオープンソースモデルに簡単にアクセス • Ollama, NVIDIA NIMsなど • CPU/GPU/NPU向けに最適化済み • PC上(ローカル)での高速なAI処理を実現 • インターネット接続がなくても動作 • CLI, SDK, OpenAI互換APIを通じて操作可能 • AIエージェント(MCP使用)によるローカルツールの呼び出し をサポート

8.

Windows AI Foundry - Windows ML • Windowsに組み込まれたAI推論ランタイム • AIモデルの高パフォーマンスな実行(推論)を担う • CPU, GPU, NPUなど様々なハードウェアで効率的に動作 • 開発者メリット • 展開の簡素化:MLランタイムやハードウェア固有ドライバーの同梱が 不要 • 将来のAIハードウェアに自動適応 • AMD, Intel, NVIDIA, Qualcommなど、ハードウェアパートナーと連携 し性能最適化

9.

App Actions • アプリ機能の発見性を高める新機能 • 開発者がアプリ内のよく使う機能を定義 • AIエージェントやWindows検索など、新しい場所から直接呼び 出せるように • 例:「〇〇アプリで新規プロジェクト作成」と指示/検索 • 開発者向けAPIとテストツールを提供 • ビルトインのMCPサーバーとしても利用可能

10.

Model Context Protocol (MCP)とは • AIエージェントとWindows上のアプリ/システム機能が連携するた めの「共通の通信ルール」 • Anthropicが提唱した解決策 • 単なる検索・問い合わせの機能だけではなくアプリの機能と連携 • AIエージェントがこれらの機能を「スキル」として利用可能に • 様々なアプリ機能を横断的に呼び出し、連携 • アプリ開発者は、特定の機能をMCPサーバーとして公開 • 例:「ドキュメントを保存」「画像を編集」など • Windows自体もコア機能(ファイルシステム、ウィンドウ操作な ど)をMCPサーバーとして実装予定

11.

MCPの実装とセキュリティ • Windows 11にネイティブサポートを導入 • MCP Registry:AIエージェントがMCPサーバーを安全に発見 するための信頼できるソース • セキュリティとプライバシーを最優先 • エージェントによるMCPサーバーへのアクセスはデフォルトで無効 • 有効時も、ユーザーが操作をチェック/監査可能 • 最小限の権限(Least Privilege)のみ付与 • セキュリティは継続的な取り組み

12.

Windowsユーザーへのメリット (まとめ) • これらの技術により、将来的には… • 利用中のアプリがより高度で便利なAI機能を搭載 • 写真編集、文書作成、データ検索などがAIで強化 • AIエージェントがPC上で複雑な作業を代行 • 複数のアプリを連携し、ファイル操作を含む作業の自動化 • アプリの機能がより簡単に見つけやすくCP] • プライバシーが向上し、AI機能の応答が速くなる • 処理がPC内で行われるため

13.

まとめと今後の展望 • Build 2025での発表は、WindowsをAI開発のプラットフォームとし て強化するもの • Windows AI Foundryは、開発者がアプリにAIを組み込むための包括 的な土台を提供 • MCPは、AIエージェントがアプリやシステム機能と連携するための 安全なルールを確立 • これらの技術は、より賢く、パーソナルで、多くの作業を代行して くれるAIの恩恵を私たちが受けられる未来に向けた重要な一歩 • アプリ開発者との協力のもと、エコシステムを拡大 • WindowsがAI時代のコンピューティング基盤としての役割を担う