車輪の拘束条件を考慮した電動キックボードの移動予測モデル(Robomech2025)

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September 18, 25

スライド概要

三井貴裕, 田村雄介, 平田泰久, "車輪の拘束条件を考慮した電動キックボードの移動予測モデル", 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2025, 2A1-L03, 2025.

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東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻 田村研究室

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1.

車輪の拘束条件を考慮した電動キックボード の移動予測モデル A model that predicts electric scooter behaviors considering nonholonomic constraints of wheels ○学 三井貴裕 1) Takahrio Mitusi1) 正 田村雄介1) Yusuke Tamura1) 3. 検証実験 観測軌道とシミュレーション軌道の誤差 ◆ 実験の目的 ➢ 観測軌道とシミュレーション軌道の誤差を最小に するシミュレーションモデルのパラメータを求め、 SFMと提案モデルの誤差を比較する ◆ 実験方法 正 平田 泰久 1) Yasuhisa Hirata 1) 1) 東北大学 (Tohoku Univ.) Abstract -Electric scooters (e-scooters) are drawing attention as an environmentally friendly mode of transport. However, as the number of people who ride e-scooters is expected to increase, the number of traffic accidents is likely to rise. Therefore, it is important to develop technology that can predict trajectories of e-scooters to reduce traffic accidents. This research aims to apply Social Force Model (SFM), which is a rule-based method for predicting trajectories of pedestrians, to predicting trajectories of e-scooters. This model reflects the kinematic constraints of wheels on the movement of an e-scooter rider to take the constraints into consideration. Simulation trajectories and trajectories observed in experiments are compared. The differences between SFM and the proposed model were small. ➢ 7人の被験者に電動キックボードに乗って障害物 を避けながら走行してもらい、その時の軌道をカ メラで計測する ➢ 環境負荷が低く、騒音や交通渋滞の緩和に つながる ➢ 2025年の世界市場規模は400~500億ドルになると 試算 ➢ 日本では、毎年事故が起こっており、死傷者も出 ている 自動運転車やロボットが、電動キックボードの移動 を予測し、衝突を回避することで、事故を減らす 提案モデル (m) 1.87 1.54 B 1.48 1.57 C 1.09 1.19 D 1.23 1.39 E 2.02 2.40 F 1.49 1.50 平均 1.53 1.59 ➢ SFMと提案モデルで、シミュレーション軌道と 観測軌道との誤差に大きな差はなかった ◆ 関連研究 実験の環境 ➢ Social Force Model (SFM) ⚫ 歩行者の軌道を予測するために作られたモデル ⚫ 周囲の歩行者や目的地、障害物から仮想的な力が歩行 者に働くと仮定 ⚫ 運動方程式を解いて位置を求める ◆ 使用した電動キック ボード ➢ KickscooterF40 (SegwayNinebot) ◆ SFMをそのまま電動キックボードに適用すること の問題点 ➢ 車輪の拘束条件が考慮されておらず、前輪が横滑り するなど、現実には起こりにくい挙動を示す SFM (m) A ◆結果 1. 研究背景・関連研究 ◆電動キックボードの普及と事故の増加 被験者 ◆ 実験結果 研究目的 ◆考察 ➢ 観測軌道とシミュレーション軌道の図から読み 取れる誤差は数十cmしかないように見えるのに 対し、実際の誤差は数mあるのは、時間を考慮 した軌道としてみると、誤差が累積的に大きく なっていくためである ➢ 片道1回として一人につき6回計測しているので、 各計測で速度に差があると、シミュレーション 軌道と実測値との誤差が時間とともに増大する ◆ 複数の障害物があるときの電動キックボードの 軌道 車輪の拘束条件を考慮した電動キックボードの移動を予測するモデルを構築する 2. 提案モデル SFMにおける電動キックボードの軌道 ◆提案モデルにおける仮定 1. SFMにおける仮想的な力は重心に働く 2. 前輪の加速度によって重心に生じる加速度が、重 心に働く力から求めた重心の加速度に等しくなる ように前輪の加速度を求める SFMのシミュレーション軌道と観測軌道 提案モデルにおける電動キックボードの軌道 ⚫ 2つ目の障害物を避けるときに、SFMでは直角的に 進路を変えているのに対し、提案モデルでは滑らか に進路を変えている ◆ 提案モデルにおける前輪の加速度と角速度 ሶ 前輪の加速度を𝑣𝑓ሶ 、角速度を𝛿とすると、 𝑣𝑓ሶ = 𝑣𝑓 sin 𝛿 − 𝛽 − 𝑙𝑓 cos 𝛽 𝜓ሶ 1 [𝐵 − { 2 𝐴 1 + 𝑓 2 𝑣 cos 𝜓 + 𝛿 + 𝑙 sin 𝜓 𝜓ሶ 𝑓 𝑓 𝑙𝑓 𝑣𝑓2 − 𝑣𝑓2 cos 𝛿 2 − 𝑙𝑓 𝑣𝑓 sin 𝛿 𝜓ሶ + 𝑙 𝑙𝑓 𝑣 cos 𝛿 }𝛿]ሶ 𝑙 𝑓 2 提案モデルのシミュレーション軌道と観測軌道 時間dtでの電動キックボードの位置の変化 1 1+𝑓 ◆SFMにおける前輪の加速度と角速度 − 𝑓 sin 𝜓 + 𝛽 − 𝑓𝑦 cos 𝜓 + 𝛽 − 𝐷 𝐶 𝑚𝑣𝑔 𝑥 SFMでは、前輪は重心と同じ加速度を持つため、 ここで、𝐴, 𝐵, 𝐶, 𝐷は𝑣𝑓 , 𝑙𝑓 , 𝛿, 𝜓,ሶ 𝛽, 𝑓𝑥 , 𝑓𝑦 , 𝑚の関数である。 𝑓𝑥2 + 𝑓𝑦2 𝑣𝑓ሶ = 𝑚 𝛿ሶ = 0 したがって、電動キックボードの位置のみが働く力 前輪の加速度から前輪の速度と位置を求めることで、 によって変化し、電動キックボードの車体の角度や 前輪の拘束条件を考慮 操舵角は時刻0における初期角度のまま変化しない 𝛿ሶ = 4. 結言 ◆まとめ ➢ 今後、電動キックボードは利用の拡大とともに事故の増加が予想されるため、電動キックボードの移動を 予測するモデルを構築した ➢ 電動キックボードに乗っている人に働く力から前輪の加速度を求めることで、前輪の拘束条件を考慮した モデルを構築した ➢ SFMと提案モデルで、観測軌道との間の誤差に大きな差は見られなかった ◆ 今後の展望 ➢ 今回はシミュレーション軌道と観測軌道の誤差が最小になるようなモデルのパラメータを求めるだけに留まっていた ので、数秒先の電動キックボードの移動を予測できるようにしたい