>100 Views
September 25, 26
スライド概要
2026年電子情報通信学会ソサイエティ大会(2026/9/25)
開催プログラム: https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/society2026
一部関連した論文(Early Access, 2026/9/25時点): https://ieeexplore.ieee.org/document/11556443
東北大学大学院情報科学研究科 特任助教 / Specially Appointed Assistant Professor at Tohoku University
時間・周波数オフセット存在下における 独立成分分析を用いた グラントフリーアクセスに関する一検討 東北大学 大学院情報科学研究科 原 郁紀 ※本研究は,JST CRONOS JPMJCS25N5の助成を受けたものです 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54)
研究背景 ◼ ファクトリーオートメーションや自動運転などでは,低遅延性と 多数同時接続性を満たすことが求められる[1] ◼ 膨大な数の無線端末が散発的に通信を行うことが想定され, ランダムアクセスに基づいた伝送法が適切とされている[2] グラントフリー非直交多元接続(GF-NOMA)に注目[3] グラントの手続きなしに 即座にデータを送信 基地局 手続きの省略により 通信遅延を大幅に削減 [1] X. Chen et al., IEEE J. Sel. Areas Commun., vol. 39, no. 3, pp. 615–637, Mar. 2021. [2] L. Liu et al., IEEE Signal Process. Mag., vol. 35, no.5, pp. 88–99, Sep. 2018. [3] M. B. Shahab et al., IEEE Commun. Surveys Tuts., vol. 22, no. 3, pp. 1805 –1838, 3rd Quart. 2020. 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 2
GF-NOMAの課題 ◼ 基地局では,どのユーザがアクティブとなって伝送を 行っているのかを事前に把握していない ✓ 高精度なアクティブユーザ検出が必須 ✓ (高精度なチャネル推定,データ推定も求められる) ◼ 一方,GF-NOMAに関する多くの検討では, 各ユーザ-基地局間の完全な時間・周波数同期を仮定 ✓ 安価な無線端末では,タイミングオフセット(TO)や搬送波周波数 オフセット(CFO)が生じやすく,検出・推定の精度が劣化しやすい 本研究では,TO・CFO存在下のGF-NOMAを検討 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 3
従来手法とその課題 ◼ 従来手法1: 構造化一般メッセージ伝播法(S-GAMP)を使用[4] ✓ OFDMベースのGF-NOMAを想定 ✓ CFOが十分に小さいことを前提とした信号モデルを導入し, CFOによる位相回転量の候補グリッドを使用 ◼ 従来手法2: 最尤推定(MLE)に基づくアクティブユーザ検出[5] ✓ シングルキャリア伝送ベースのGF-NOMAを想定 ✓ [4]と同様,候補グリッドに基づいた等価パイロット系列を考え, 最尤推定問題として定式化して解く ◼ いずれの手法も課題が存在 ✓ グリッド数の増加に伴うCFO補償精度と計算量のトレードオフ ✓ 後段のデータ推定まで検討していない [4] G. Sun et al., IEEE Trans. Wireless Commun., vol. 21, no. 5, pp. 3365 –3380, May 2022. [5] W. Lei et al., IEEE Trans. Wireless Commun., vol. 23, no. 8, pp. 8787–8804, Aug. 2024. 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 4
研究目的・方策 ◼ 研究目的 ✓ TO・CFO存在下においても有効なGF-NOMAの設計 ◼ 方策 ✓ 差動位相偏移変調(DPSK)と独立成分分析(ICA)を用いた シングルキャリア伝送ベースのGF-NOMA[6]を拡張 ✓ 受信信号のうち,TOによらず重なる部分を用いた アクティブユーザ数推定とDPSKに基づくCFO推定・補償 数値結果により,提案法はTO・CFOの影響を補償し, ビット誤り率(BER)特性が大きく劣化しないことを示す. [6] N. Nakata, T. Hara, and K. Higuchi, “DPSK-aided design of ICA-based grant-free access under carrier frequency offsets,” IEICE Trans. Commun., 2026. (Early Access) 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 5
システムモデル ◼ 各ユーザのアンテナ数は1 ◼ 各アクティブユーザは図中右下のフレームを基地局へ送信 ◼ TOおよびCFOは下記の範囲で一様分布で生じるものとする ✓ TO: ✓ CFO: 基地局 (アンテナ数 ユーザ , は最大TO は最大正規化CFO , ) CFOにより各シンボルが位相回転して しまうが,DPSKを活用して推定・補償 アクティブユーザ 共通シンボル 符号化ID データ 送信フレーム 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 6
受信信号モデル ◼ TO・CFOが存在する時の受信信号モデル チャネル ユーザ の送信フレーム 受信信号 雑音 アクティブユーザ数分の 重ね合わせ タイミングオフセット に応じた変換行列 CFO による 位相回転ベクトル 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) はアダマール積 7
従来のICAを用いた手法の処理 ◼ 基地局が行う処理の流れ(TOを含まない) 送信フレーム 符号化ID系列 共通パイロット (2シンボル) 共通パイロット部の標本共分散 行列のトレースに基づき推定 データ 推定アクティブユーザ Ns個独立に実行 Kの推定 Kの推定値 ( ) 推定送信フレーム 符号化ID系列の復号 符号化ID部のLLR 受信 信号 サンプリング ICA分類器 ランダムに 行を抽出 元の受信信号 2026/9/25 サンプリング後の 受信信号 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) CFO補償 結 果 の 結 合 ・ デ ー タ 復 号 データ部のLLR 8
従来のICAを用いた手法の処理 ◼ 基地局が行う処理の流れ(TOを含まない) 共通パイロット部が重ならず使えない 送信フレーム 符号化ID系列 共通パイロット (2シンボル) 共通パイロット部の標本共分散 行列のトレースに基づき推定 データ 推定アクティブユーザ Ns個独立に実行 Kの推定 Kの推定値 ( ) 推定送信フレーム 符号化ID系列の復号 符号化ID部のLLR 受信 信号 サンプリング ICA分類器 CFO補償 TOの補償も必要 ランダムに 行を抽出 元の受信信号 サンプリング後の 受信信号 結 果 の 結 合 ・ デ ー タ 復 号 データ部のLLR 白色化を行う際の空間が小さく,ICAの分離精度が劣化 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 9
提案手法の処理 ◼ 基地局が行う処理の流れ 送信フレーム TOによらず重なっている 受信信号部の標本共分散行列 を複数個用いて推定(後述) 符号化ID系列 共通シンボル (1シンボル) データ ICAによって生じる 位相回転の補償に使用 Ns個独立に実行 Kの推定 受信 信号 Kの推定値 ( ) 推定送信フレーム (TO込み) サンプリング ICA分類器 TOの推定・補償の追加 サンプリング後の 受信信号 白色化を行う際の空間を広くする 2026/9/25 のうち 絶対値が0.5を超える初めての 位置をフレームの先頭と判定 → ICAの位相補償の基準に ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 10
アクティブユーザ数推定 ◼ 受信信号のうちTOによらず重なる部分を使用 常に全アクティブユーザの 送信フレームが重なる部分 2シンボルごとに標本共分散行列を計算 最終的な の推定値: ※文献[7]に基づく [7] T. Hara, IEEE Wireless Communications Letters, vol. 14, no. 4, pp. 999-1003, Apr. 2025. 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 11
数値結果例 (N, K, M)=(128, 6, 50) 情報ビット長: 660 符号化ID: (15,7) BCH符号 誤り訂正符号: LDPC符号 (符号化率1/3) ICA分類器数: 10 最大正規化CFO : 0.15 最大TO : 8 比較手法1: CDC-ICA TO・CFOなしの 文献[8]のICAベースの手法 比較手法2: MLE[5] パイロット長: 16 CFOグリッド数: 60 チャネルとデータの推定は MMSE規範を採用 ◼ MLEは見逃し確率(MDP)は低い一方,BERは高い ◼ 提案法はTO・CFOなしの場合に近いBER特性を達成 [5] W. Lei et al., IEEE Trans. Wireless Commun., vol. 23, no. 8, pp. 8787–8804, Aug. 2024. [8] Z. Zhang et al., “Exploiting classifier diversity for efficient grant-free random access,” IEEE ICC2022. 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 12
まとめ ◼ 研究目的 ✓ TO・CFO存在下においても有効なGF-NOMAの設計 ◼ 方策 ✓ 文献[6]のDPSKとICAを用いたGF-NOMAを拡張 ✓ 受信信号のうち,TOによらず重なる部分を用いた アクティブユーザ数推定とDPSKに基づくCFO推定・補償 ✓ これらの処理により,BER特性の大幅な劣化を抑制 2026/9/25 ソサイエティ大会2026(B-5A-54) 13