論文紹介:Beyond Accuracy: Evaluating the Reasoning Behavior of Large Language Models - A Survey

6.5K Views

November 07, 24

スライド概要

Beyond Accuracy: Evaluating the Reasoning Behavior of Large Language Models - A Survey (COLM2024)
https://openreview.net/forum?id=Lmjgl2n11u#discussion

profile-image

某生成AI企業でVLMの開発や研究をしています。奈良先端大で客員助教をしています。 まとめたスライドをこちらで公開します。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

論文紹介 Beyond Accuracy: Evaluating the Reasoning Behavior of Large Language Models - A Survey 紹介者:品川 政太朗 ※以下、登場する図は論文からの引用です

2.

書誌情報: Beyond Accuracy: Evaluating the Reasoning Behavior of Large Language Models - A Survey (COLM2024) https://openreview.net/forum?id=Lmjgl2n11u#discussion 1 著者:Philipp Mondorf, Barbara Plank MaiNLP, Center for Information and Language Processing, LMU Munich, Germany Munich Center for Machine Learning (MCML), Munich, Germany LLMのReasoning Behaviorに注目したサーベイ論文 • タスク成功率である「{task, reasoning} performance」と対比された概念 • スコアが上がればなんでもいいという立場ではなく、推論時の振る舞いに焦点を当てている ※以下、本紹介で「推論」は「reasoning」の意味で呼びます 論文の選定理由: • Reasoningの隆盛を感じており、キャッチアップするため © 品川 政太朗

3.

タスク成功率が上がれば「推論能力が向上してる」は正しいの? 2 難しいタスクが解けているのは推論能力の向上ではなく訓練データの記憶に由来 している可能性がある (Wu et al., 2024; Dziri et al., 2023; Razeghi et al., 2022; Zhang et al., 2023) Reasoning Behaviorに焦点を当てる • タスク成功率だけではなく、推論の過程におけるLLMの振る舞いにも注目 • 推論能力の検査用タスク(Reasoning Tasks)を設計しLLMの振る舞いを観察 本研究の問い: • RQ1: 多様な推論タスクに対してLLMがどう振舞うのか?(前半の話) • RQ2: LLMにおけるReasoning Behaviorを評価する方法のトレンドは何か?(後 半の話) © 品川 政太朗

4.

COLM査読者の反応集 だいたいが好意的で全員6: Marginally above acceptance threshold以上 3 評価されているポイント • トピックの重要性と網羅性 • evaluation typeの類型化など、LLMの推論能力について大きな視点でまとめている 懸念を示されているポイント • CoTのようなpromptingアプローチによるLLM推論の改善には触れていない • LLMが入力の変化に弱いとか暗記してるからダメという話が主張として誇張しすぎている面がある • 要点と本論における重要な知見の強調が不足している(今後必要な研究について議論不足など) その他に興味深い点 • Reviewer bLrd「LLMからReasoning Behaviorを引き出すにはどのようにしたらよいかという議論が 欲しい」 わかる © 品川 政太朗

5.

用語の定義: ReasoningとReasoning Behaviorについて 4 Reasoningは昔から色々な議論があるので本論文では改めて以下のように定義 前提となる情報から結論を導き出す過程 Reasoning Behaviorは行動心理学の考え方を参考に、以下のように定義 reasoning taskを刺激と見立てて、その反応を評価する • LLMの行動や表現、その土台となるメカニズムなど © 品川 政太朗

6.

前半の話 RQ1: 多様な推論タスクに対してLLMがどう振舞うのか? • • 得られた知見や傾向のまとめ LLMは結局訓練データに類似するパターンには強いが、分布外の設定 には弱い © 品川 政太朗 5

7.

Reasoning Tasksの2類型:{Core, Integrated} Reasoning Tasks 単一の 推論タスク 6 複合的な 推論タスク © 品川 政太朗

8.

(Core) Logical Reasoning Tasks 7 論理的なルールのもとでの前提から結論を導き出すタスク(例:三段論法) 演繹的推論 前提となる知識・法則 から結論を導く 必ず結論がある アブダクション 事実と結論からその間 の現象を推論する 帰納的推論 知識から一般化された 法則を推論する 仮説を立てる(仮説が正しいとは限らない) タスクはこの2つのどちらか 図は下記より引用 Natural Language Reasoning, A Survey https://dl.acm.org/doi/10.1145/3664194 © 品川 政太朗

9.

(Core) Logical Reasoning Tasks 8 論理的なルールのもとでの前提から結論を導き出すタスク(例:三段論法) 知識:アリストテレスは人である 法則:人はみな死ぬ 結論:よって、アリストテレスは死ぬ 演繹的推論 前提となる知識・法則 から結論を導く アブダクション 事実と結論からその間 の現象を推論する 帰納的推論 知識から一般化された 法則を推論する 図は下記より引用 Natural Language Reasoning, A Survey https://dl.acm.org/doi/10.1145/3664194 © 品川 政太朗

10.

(Core) Logical Reasoning Tasks 9 知識:アリストテレスは人である 論理的なルールのもとでの前提から結論を導き出すタスク(例:三段論法) 知識:アリストテレスはいずれ死ぬ 法則:死ぬ原因は全ての人が死ぬ法則が適用さ れたためだと考えられる 演繹的推論 前提となる知識・法則 から結論を導く アブダクション 事実と結論からその間 の現象を推論する 帰納的推論 知識から一般化された 法則を推論する 図は下記より引用 Natural Language Reasoning, A Survey https://dl.acm.org/doi/10.1145/3664194 © 品川 政太朗

11.

(Core) Logical Reasoning Tasks 10 論理的なルールのもとでの前提から結論を導き出すタスク(例:三段論法) 知識:アリストテレスは人である 知識:アリストテレスはいずれ死ぬ 法則:すべての人がいずれ死ぬかもしれない 演繹的推論 前提となる知識・法則 から結論を導く アブダクション 事実と結論からその間 の現象を推論する 帰納的推論 知識から一般化された 法則を推論する 図は下記より引用 Natural Language Reasoning, A Survey https://dl.acm.org/doi/10.1145/3664194 © 品川 政太朗

12.

(Core) Deductive Reasoning TasksでのLLMの振る舞い 11 表面的なパターンマッチに引っ張られている恐れがある  大きいLLM+CoTは前提に即して単一のルールから結論を導ける (validityとatomicityが高い) ◼ が、間違えると回復が難しい(utilityが低い) 生成された推論ステップを一 階述語論理に変換してvalidity, atomicity, utilityを評価 Saparov & He (2023)  Einsteinのパズルでは類似のパターンで正解率が高い ◼ が、新しい問題には対応できなかった ◼ 自己回帰モデルでは初期のエラーが後段の推論に大きな影響を与 える 推論過程を計算グラフにパース してLLMの多段階推論を評価 Dziri et al. (2023) ◼ 与える前提の順序をランダムに配置すると正解率が低下 ◼ 訓練データの頻出パターンに依存している疑い Chen et al. (2024b) ◼ LLMは論理的否定の解釈が苦手 ◼ GPT-4がDe Morganの法則を正確に理解できてない Sanyal et al. (2022) Truong et al. (2023) © 品川 政太朗

13.

LLMは人間と同じように認知バイアスに影響される 12 三段論法における人間の論理的誤謬と同様のバイアスがLLMsにも見られる • Eisape et al. (2024) LLMは人間と同様に問題の意味的内容に影響される • Dasgupta et al. (2022) © 品川 政太朗

14.

モデルの内部の挙動から考察する試み(Mechanistic Evaluation) 13 Hou et al. (2023) • GPT-2やLLaMAモデルの注意パターンを分析 • マルチステップの推論プロセスが段階的に進行することが注意から分かる • 層ごとにprobingすると • 低層ではタスクに関連する情報が出てくる • 高層では複雑な推論が行われている Pirozelli et al. (2023) • RoBERTa-large modelのprobingでも同様 • 上位層が推論に重要 Dutta et al. (2024) 知識の組み合わせの2値分類 Pirozelli et al. (2023) • LLaMA 2-7BをCoT promptingした時の内部状態の解析 • 低層:トークン表現は事前学習で得られた分布に偏っている • 高層:トークン表現はコンテキスト内の事前分布に急激にシフトしている © 品川 政太朗

15.

(Core) Inductive Reasoning Tasks 14 Deductive Reasoningと比べるとあまりやられてないし、難しい 本質的なパターンの抽出ができておらず、冗長な情報を含みがち  事実から一般的なルールを導くこと自体は可能 ◼ ただし、正しいとは言ってない(前提の事実と一致しない、 現実の知識に合致しない、冗長がち) Yang et al. (2024) GPT-JやLLaMA 7Bなどのモデルが与 えられた事実から一般的なルールを 導き出す能力を調べた  モデルはルールを生成できる ◼ ルールの適用においてしばしばエラーを犯し、人間が導き出 すルールとは異なる傾向あり ◼ タスクの記述が少し変更されただけでモデルの推論が著しく 変わる傾向 Qiu et al. (2024) GPT-3.5やGPT-4、Claude 2などの モデルがルールを導き出すととも に、それを適切に適用する能力を 評価  GPT-4は人間の判断に近い振る舞いを示す ◼ 非単調性(non-monotonicity)をうまく扱えない:前提に追 加の情報が与えられることで尤度が下がるケース 例:{crow, peacock, rabbit} → bird (rabbitが加わると尤度が 下がってほしいがLLMは下がらない) Han et al. (2024) GPT-3.5やGPT-4が特定のカテゴ リー間の共通属性を推論するタス クで評価 © 品川 政太朗

16.

(Core) Abductive Reasoning Tasks 15 Inductive Reasoningと同様、ハルシネーションが起きやすい ※使っているモデルがGPT3.5だったりするので注意 ◼ GPT-3では事実に対して可能性のある説明をする能力は限定的 ◼ 訓練データに含まれない予測や想像力を要する場面では人間 が優れている Collins et al. (2022) GPT-3を使って、ある状況において 予測される結果が現実と異なる場 合にその理由を説明するタスクを 評価 ◼ LLMはしばしば矛盾する説明を生成し、同じ根拠で仮説を強化 および弱化するなど、一貫性に欠ける回答を出す傾向 Rudinger et al. (2020) GPT-2やBART、T5などのモデルが ある仮説に対する根拠を強化また は弱化する能力を ◼ LLMはハルシネーションしがち ◼ アブダクションタスクでは多段階推論能力が必要 Xu et al. (2023) GPT-3.5やChatGPT、PaLM 2を対 象にアブダクションタスクでの推 論過程とエラーの傾向を調査 © 品川 政太朗

17.

(Core) Mathematical Reasoning Tasks 16 数学の問題、計算タスクでも一貫性のなさがある ◼ 異なる問題表現に対してモデルの一貫したパフォーマンスが 見られず、記憶に依存している傾向 Srivastava et al. (2024) MATHデータセットを使用し、数学 的な問題解決能力を評価、異なる 表現で問題が構成されている ◼ 問題の構成や数値が変わるとモデルの正確さが低下する ◼ 訓練データに頻出しない数値や数式の形式が出題されると、 モデルのパフォーマンスが大幅に下がる傾向 Razeghi et al. (2022) ◼ GPT-3.5などのモデルが文章問題において問題解決に無関係な 情報が含まれる場合に混乱しやすい ◼ 無関係な情報が元の問題と類似の語彙や構成を持つと、さら に混乱が生じやすい Shi et al. (2023) © 品川 政太朗

18.

(Core) Mathematical Reasoning TasksにおけるLLMの人間的なバイアス 17 人間が誤りやすいところではLLMも気を付けて推論する 難しい問題を簡単なタスクに置き換えて解こうとする傾向がある  人間が誤りやすい直観的問題(例えば、認知反射テストのよう な問題)で、より慎重な判断を行う能力が確認  GPT-3が直観に基づく誤った解答を提供する一方で、GPT-3.5や GPT-4はより熟慮的な解答を示し、直観的な誤答を回避する傾向 Hagendorff et al. (2023) ◼ モデルが小数点以下の桁数に基づいて誤った四捨五入をする傾向 McKenzie et al. (2023) 四捨五入タスク ◼ 難しい問題を簡単なタスクに置き換えて処理する「属性代替 (attribute substitution)」と呼ばれる人間の認知バイアスと類似 © 品川 政太朗

19.

(Core) Mathematical Reasoning Tasksにおける内部状態の調査 18 層ごとの役割の違いがみてとれるらしい  LLaMAの各層を分析し、上位層の方が数学的な問題解決に優れて いる一方、下位層では基本的な計算や知識が不足している傾向  モデル内の層ごとに異なる役割がありそう Chen et al. (2024a) © 品川 政太朗

20.

(Core) Causal Reasoning Tasks 19 新しい状況における因果関係の構築や反事実的なシナリオの理解に課題 反事実的な設定においては本質的な理解が難しく、単なる関連性の参照に留まりがち  GPT-3やOPT、AlephAlphaのLuminousなどは訓練データ内で 見られる因果関係については適切に回答できる ◼ が、新しい因果関係の構築が難しい Zečević et al. (2023)  LLMsは関連性のある質問には比較的正確に回答できる ◼ 介入や反事実のレベルの推論には苦戦する Jin et al. (2023) 「因果のはしご(Ladder of Causation)」に基づき、3つの因 果レベル(関連、介入、反事実) でモデルを評価 ◼ 多くのLLMがデータの分布外のシナリオにおいて誤った推論を 行いやすい ◼ ファインチューニングによって性能は向上するものの、未見 のデータには対応が難しい Jin et al. (2024) 変数間の相関関係から因果関係を 推測するタスクでモデルを評価 © 品川 政太朗

21.

(Core) Causal Reasoning Tasks 20  候補の因果関係が提示されている場合にはモデルが正確に推 論できる ◼ 候補がない場合は因果関係を正確に見抜くことが難しい Kosoy et al. (2023) 「ブリケット検出タスク」どのオ ブジェクトが光を点灯させる原因 であるかを判断 ◼ GPT-3などのモデルが反事実的な仮定のもとで結果を予測する 能力が人間に比べて著しく低い ◼ 文脈における単純なキューに頼りがちで、反事実の本質的な 理解が欠如している Frohberg & Binder (2022) Li et al. (2023) 反事実推論タスク ◼ 反事実を含む質問に対して、GPT-3などの「クローズドブッ ク」モデルが誤った事実や不正確な前提に基づく回答を出す 傾向 Yu et al. (2023) 反事実推論タスク © 品川 政太朗

22.

前半のまとめ 21 RQ1: 多様な推論タスクに対してLLMがどう振舞うのか? 結論:LLMは結局訓練データに類似するパターンには強いが、分布外の設定には弱い (確率的オウムの域を出ていない) 分布外の設定: • • • • 前提となる知識の入力順序を入れ替えたり マルチステップの推論で途中で間違えると回復できなかったり 無関係な事実が混入したにハルシネーションを起こしたり 非単調性に対応できない≒関連する新しい事実が入ってきたときに予測を変えられなかったり • {crow, peacock, rabbit} → bird (rabbitが加わると尤度が下がってほしいがLLMは下がらない) 品川の感想: • 結局訓練が足りてないだけとも言える?あらゆるパターンを概ね訓練で網羅できたら解決する話? • 全パターンを数えられる場合に、何%までカバーされると十分かという話に興味がある © 品川 政太朗

23.

後半の話 RQ2: LLMにおけるReasoning Behaviorを評価する方法のトレ ンドは何か? • • 評価方法を細目ごとに分類 一長一短 © 品川 政太朗 22

24.

Reasoning Behaviorの評価方法一覧 23 © 品川 政太朗

25.

Conclusion-Based Evaluation 24 結論のみを評価、推論の過程は重視しない エラー分析 Sanyal et al. (2022) :モデルが論理的な概念理解において誤りを犯すケースを確認 Dasgupta et al. (2022) :認知バイアスの影響が大きい Wu et al. (2024) :タスク文脈が変わるとモデルの回答が大きく影響される 出力分布の分析 Itzhak et al. (2024) :指示付きチューニングされたモデルが新たなバイアスを示す Frohberg & Binder (2022) :モデルが特定の結論に対して高い確信度を示す傾向 dynamic benchmarks データの中身を動的に変化させて評価させることで、汎化能力を見る Srivastava et al. (2024) :問題の構成を変化させて、モデルが単なる問題の記憶に依存 していないかどうかを評価 © 品川 政太朗

26.

Conclusion-Based Evaluationの課題 25 推論過程を無視していることによる限界 そもそも推論過程と結論(回答)がマッチしてない場合がある (スコアが上がっても、中身を見てみると・・・ ) 既存のベンチマークがLLMsのトレーニングデータに含まれている場合、正答率自体は本来より 上振れしてしまう 関連:LLMが訓練データの回答をそのまま出してしまう問題 Balloccu et al. (2024) 、Xu et al. (2024) © 品川 政太朗

27.

Rationale-Based Evaluation 26 モデルが回答に至るまでの推論の過程(根拠や説明)に注目し、論理の一貫性 や妥当性を評価 Structure parsing Saparov & He (2023) :モデルの推論過程を一階述語論理に変換して論理的な妥当性 を評価 Dziri et al. (2023) :モデルの推論過程を計算グラフにパースし、各ステップの合理性 を分析 Interpretable quantitative metrics reasoning taskにおける根拠の意味的なアラインメントを評価 ROSCOE (Golovneva et al., 2023) RECEVAL (Prasad et al., 2023) 人手評価 or診断エージェ ント 構造化されてない評価は人手で定性的な評価をする Mondorf & Plank (2024) :人間の評価者がモデルの推論を観察して評価 © 品川 政太朗

28.

Rationale-Based Evaluationの課題 27 大部分は人手評価に頼る面が大きい 専門的な知識が要求する場合もあり、スケールさせることが難しい © 品川 政太朗

29.

Interactive Evaluation 28 モデルと対話を行いながら評価を進める モデルが特定の推論過程に対してどのように応答を変えるかを評価できるのでよ り詳細な分析ができる Adaptive Evaluation Zhuang et al. (2023):モデルの応答に応じて質問を動的に選ぶ Dialectic Evaluation (弁証的評価) LLMの結論に対して反論や質問を投げかけることで、LLMが自己の推論をどのよ うに守るか、あるいは修正するかを観察 Wang et al. (2023) :モデルに対して反論する形で対話を行い、モデルが自己防衛 のためにどのような推論や説明を行うかを評価 ゲーム理論的 分析 ゲーム理論に基づくシナリオを使って、モデルが競争的または協力的な場面でどのよ うに推論を行うかを評価 Bertolazzi et al. (2023) :20の質問ゲーム形式を用い、モデルが情報を探り当てる戦略 を観察 © 品川 政太朗

30.

Interactive Evaluationの課題 29 コストが高く、スケールを拡大して自動化するのが難しい 標準化が困難で、対話の設定や評価基準のばらつきによって再現性が低くなる めっちゃわかる © 品川 政太朗

31.

Mechanistic Evaluation 30 入出力だけでなく、モデル内部の状態を分析して推論のメカニズムに注目する Layer-Wise Probing 層ごとに知識の組み合わせの二値分類など Pirozelli et al. (2023) :モデルの上位層がより複雑な推論や知識処理に関与する attentionの分析 モデルの推論時にどのような単語やフレーズに注意が向けられているかを分析 Hou et al. (2023) :GPT-2やLLaMAモデルでは、推論の過程で注意が段階的に移行、 情報処理が階層的に進行していることがわかる Activation Patching 特定の層やユニットのactivationを操作することで、モデル内部の推論過程を分析 Dutta et al. (2024) :CoTプロンプト入力に対してLLMの中間層のactivationを操作する とLLMの応答が変化する © 品川 政太朗

32.

Mechanistic Evaluationの課題 31 計算コストが高く、結果の解釈が難しいので強い主張もむずかしい • 計算コストが高い(probingのために層ごとに分類器を学習したり?) • モデルの特定のタスクのみに適用できる場合が多く汎用性に欠ける • 得られる結果の解釈が難しい © 品川 政太朗

33.

後半のまとめ 32 Conclusion-based:定量評価でスケールできるが、推論過程を無視 Rationale-base, Interactive:人手評価を実施するため高コスト(スケールしない、 実験コントロールが大変) Mechanistic:特定のタスク・モデルで評価する傾向があり、結果の解釈も難しい ので一般化した主張が難しい © 品川 政太朗

34.

全体の総括 33 様々なReasoningタスクにおけるLLMの挙動(Reasoning Behavior)に注目した • • • Logical Reasoning (Deductive Reasoning, Inductive Reasoning, Abductive Reasoning) Mathematical Reasoning Causal Reasoning 論文のメインの主張:LLMは結局訓練データに類似するパターンには強いが、分布外の設定には弱 い(確率的オウムの域を出ていない) 評価手法の傾向 • 定量評価: • LLMの入力や内部状態をいじって出力・出力分布の変化を見る • Deductive Reasoningでは根拠に基づいた定量評価が行われている(structure parsing, interpretable quantitative metrics) • probingで層ごとに知識の組み合わせに対する二値分類を適用する • あとは定性評価を人手で頑張る! 感想: オープンなベンチマークなど飾り、地道に多角的に分析するのが大事感が伝わってきた・・・ © 品川 政太朗