一人ひとりが 所属組織を選択する時代に “われわれはなぜここにいるのか” その表現へのこだわりとプロセス - あるいはオープンコミュニケーション・オープンコラボレーションで 文化形成に挑戦する KAGreementについて -

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September 12, 25

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InnerSource Gathering Tokyo 2025

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1.

一人ひとりが 所属組織を選択する時代に “われわれはなぜここにいるのか” その表現へのこだわりとプロセス あるいはオープンコミュニケーション・オープンコラボレーションで 文化形成に挑戦する KAGreementについて スクラムマスター 泉本優輝 at KDDIアジャイル開発センター

2.

Attention • 本セッションでは、プロダクト創造やソフトウェア開発、ソースコードには一切関連がありません。 • もしかしたら InnerSource Gathering でお話させていただくには、少し場違いかもしれません。 • それでも、InnerSourceと同じマインドで挑戦している社内文化形成の取り組みです。 • この活動を続けるなかで、ふと振り返ると̶̶ 「ああ、ここでやりたかったことに挑戦できているな」と思える瞬間がありました。 • 今日はこの文化づくりのプロセスと、そこで感じたやりがいをお伝えします。 2/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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Profile • Yuki Izumoto a.k.a 蜜葉 優 / @mitsuba̲yu • 1988年生まれ • Microsoft MVP for Developer Technologies 14年目 • Developer / Designer / Photographer • https://c-mitsuba.hatenablog.com/ • https://name-less.space/ • 2024/8からKAGでスクラムマスターをやっています。 KDDI Agile Development Center Corporation

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Profile • 学生のころ • コミュニティ活動していたり、雑誌投稿、書籍執筆など • デザイン事務所、モバイルアプリ開発会社を経て、新卒で1年だけISPへ。 4/56 KDDI Agile Development Center Corporation

5.

Profile • その後独立して、合同会社silkyfeelを設立 • IA/UI デザインプロトタイプから実開発までを一貫して提供して、 個人や小規模チームでプロダクトを直接お取引・開発。 • 開発プロセス、デザインプロセスから、新規事業・新規部署立ち上げ、改善支援。 • 営業、見積もりから、デザイン、実装、納品、請求、会計まで基本全部自分で。 • 技術的にもビジネス的にも、十分に自立できていた。 4/56 KDDI Agile Development Center Corporation

6.

Profile • それはそれで充実していたけど… • フリーランスや小規模事業の立場では、 顧客企業の経営層や組織文化にアプローチできる機会は限られていた。 • 部署単位の改善はできても、 社内政治や古い体制に阻まれ、成果が広がらないこともあった。 5/56 KDDI Agile Development Center Corporation

7.

Profile • 次のフェーズとして、人や組織のマインドや文化形成にアプローチできる環境を求め、 10数年ぶりの就職でKAGへ。 • -> この1年、やりたかったことに挑戦できてるのか? 6/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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一人ひとりが 所属組織を選択する時代に “われわれはなぜここにいるのか” その表現へのこだわりとプロセス あるいはオープンコミュニケーション・オープンコラボレーションで 文化形成に挑戦する KAGreementについて スクラムマスター 泉本優輝 at KDDIアジャイル開発センター

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一人ひとりが 所属組織を選択する時代に “僕はなぜここにいるのか” その表現へのこだわりとプロセス あるいはオープンコミュニケーション・オープンコラボレーションで 文化形成に挑戦する KAGreementについて スクラムマスター 泉本優輝 at KDDIアジャイル開発センター

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Agenda • KAGってご存知ですか? • KAGreementとプロセス • InnerSourceとのつながり • KAGreementの応用実例 • オープンコミュニケーション / オープンコラボレーションで 形成する文化がもたらす価値 • まとめ 9/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGってご存知ですか?

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What is KAG • 正式名称:KDDIアジャイル開発センター、通称:KAG • 2022年5月、KDDI本体から分社化して設立された • エンジニア、デザイナーが活躍できる環境を自ら設計する文化 • フルリモートで、アイデア創出、サービスデザインから アジャイル開発、サービスリリースまで一気通貫支援 • KDDIグループ内はもちろん、 社外のお客様への内製化支援など (ぼくはココやってます。 11/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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とはいえ… 会社なんて世の中に星の数ある。 内製化支援やってます! リモートワークやってます! なんて会社も大なり小なりいっぱいある。 12/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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アジャイル開発センター憲章 • だからこそ、文化が差別化ポイント • 木暮社長がKDDI本体にてアジャイル開発センター長を務めていた当時につくった憲章 • https://kddi-agile.com/interview-president • 憲章 • 組織の北極星 • 「事業戦略」実行における 判断基準、哲学、手法 • 最もベースとなる判断基準 • 組織全体の価値観、行動規範 13/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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憲章とKAGreement • KAG + Working Agreement • 憲章を社員それぞれで分解して、解釈して、自分たちの働き方として再定義していく取り組み KAGのMVP (憲章) 社員 を策定 経営幹部陣 いろんな人の 全社的な 日々の働き方を ものさしへ 振り返る 再定義 KAGreement 14/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreementとプロセス

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できたもの(一例 16/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement 策定プロセス • POは副社長 • 毎週1時間、検討会を行う。宿題はなし。1時間でできることをやる。 • だれでも参加OK、入退室自由、Slackで非同期コミュニケーションもOK。 • ツールはFigjamでわいわい 17/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement 策定プロセス • POは副社長 • 毎週1時間、検討会を行う。宿題はなし。1時間でできることをやる • だれでも参加OK、入退室自由、Slackで非同期コミュニケーションもOK • ツールはFigjamでわいわい テーマ選定 タイトルができたら タイトルの補足と 議論した話を 説明としてまとめる テーマから ワードから 共通イメージ 想定する 共感ポイントや ができたら イメージする 好きなところ、 タイトルワードを ワードを出し合う 考え方を話す 考える FB反映後 仮完成! PRつくって 全社 Slackに出して GitHubPageに ワークショップで FBもらう。 マージして フィードバック おひろめ完成 KDDI Agile Development Center Corporation 18/56

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KAGreement 策定プロセス 今回はこのテーマを 働き方のアクション として落とし込もう 19/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement 策定プロセス テーマ選定 PBIの上から取ってきて… 今回は楽しくやるにしよう テーマから 想定する イメージする ワードを出し合う ワードから 共感ポイントや 好きなところ、 考え方を話す たのしいってなんだ? 「楽しい雰囲気からしか ワクワクするアイディアは 生まれません」←すき 別にらくして手抜きした いって話じゃないよね おっけー たのしくやるためにオー ナーシップを発揮します. 楽しむことを強制しすぎる こと(楽しめなかったらだ めだ!みたいな脅迫観念ま で至ると良くない) たのかったって 言えるのが大事 たのしさを個人からチーム へ、そして会社へお裾分け していきます。 共通イメージができ たら タイトルワードを考 える 楽しいは作れる 楽しむことは仕事の 真髄 (をもうちょっと優し く言いたい) タイトルができた ら、 タイトルの補足と 議論した話を 説明としてまとめる 仮完成! Slackに出してFBも らう。 どうしたら楽しくなるかな?と考えたり実践したりすると、たい ていの仕事は楽しくなります。 楽しくできた仕事はクオリティも高く、お客様満足度も高くなって いきます。 楽しくなる工夫をしてみましょう。 --あ、文章が全然楽しくないぞ・・・ FB反映後 PRつくって GitHubPageに マージして おひろめ完成 たのしいはつくれる、 たのしいはひろがる 全社 ワークショップで フィードバック 楽しさは与えられるもの じゃない って人が多くて安心した ーーー 個人が楽しそう ← それいいね!いっしょ にやりたい!の人の存 在も大事◎ オーナーシップを持っ て楽しくやる それに乗っかる それが広がっていく つくれる→ ・新たな発見があった時、そこに楽しさがある ひろがる→ ・与えられる楽しさも、もらえる楽しさもある ・自分が楽しいと思ったことに共感してくれる人は絶対いるはず! ・他の人の楽しさに共感してみよう! 日々のたのしみに気付けるかどうかは、日々の観察力と興味関 心、ポジティブに振る舞う力が必要です。 たのしいという感情は個人のモチベーションになり、たのしいに よって人は魅力を感じ、やがてチームの力になります。 たのしいはつくれる、 毎日の過程を終えていくたびに、チームで「今日たのしかったね、 たのしいはひろがる 学びがあったね」と言える文化は素敵だと思いませんか? -------過程、興味、伝搬を意識してみた。 否定して肯定するみたいな文面は今回にマッチしないから、そうな らないように書いた -> 問いかけ 仕事だけ、成果だけじゃないよってしたい。 KDDI Agile Development Center Corporation 個人から、巻き込みっていうスタンス 自分らしいたのしみを見つ けて、毎日の終わりに「た のしかったな」と思えるよ うに過ごしましょう。 そのたのしさが自然とひろ がり、「今日たのしかった ね」とチームで共有しあえる 文化を作っていきましょ う。 19/56

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KAGreement 策定プロセス テーマ選定 PBIの上から取ってきて… 今回は楽しくやるにしよう おっけー テーマから 想定する イメージする ワードを出し合う たのしいってなんだ? 別にらくして手抜きしたいって話 じゃないよね 楽しむことを強制しすぎること (楽しめなかったらだめだ!みたい な脅迫観念まで至ると良くない) たのかったって 言えるのが大事 KDDI Agile Development Center Corporation ワードから 共感ポイントや 好きなところ、 考え方を話す 「楽しい雰囲気からしか ワクワクするアイディアは生まれま せん」←すき たのしくやるためにオーナーシップ を発揮します. たのしさを個人からチームへ、そし て会社へお裾分けしていきます。 20/56

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KAGreement 策定プロセス 共通イメージができたら タイトルワードを考える 楽しいは作れる タイトルができたら、 タイトルの補足と議論した話を 説明としてまとめる 仮完成! Slackに出してFBもらう。 どうしたら楽しくなるかな?と考えたり実践したりすると、たいていの仕事は楽しくなります。 楽しくできた仕事はクオリティも高く、お客様満足度も高くなっていきます。 楽しむことは仕事の真髄 (をもうちょっと優しく言いたい) 楽しくなる工夫をしてみましょう。 ̶ あ、文章が全然楽しくないぞ・・・ つくれる→ ・新たな発見があった時、そこに楽しさがある ひろがる→ ・与えられる楽しさも、もらえる楽しさもある 個人が楽しそう ←それいいね! いっしょにやりたい!の人の存在も 大事◎ オーナーシップを持って楽しくやる それに乗っかる それが広がっていく ・自分が楽しいと思ったことに共感してくれる人は絶対いるはず! ・他の人の楽しさに共感してみよう! 日々のたのしみに気付けるかどうかは、日々の観察力と興味関心、ポジティブに振る舞う力が必要です。 たのしいという感情は個人のモチベーションになり、たのしいによって人は魅力を感じ、 やがてチームの力になります。 毎日の過程を終えていくたびに、 チームで「今日たのしかったね、学びがあったね」と言える文化は素敵だと思いませんか? -------- たのしいはつくれる、 たのしいはひろがる 過程、興味、伝搬を意識してみた。 否定して肯定するみたいな文面は今回にマッチしないから、そうならないように書いた -> 問いかけ 仕事だけ、成果だけじゃないよってしたい。個人から、巻き込みっていうスタンス KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement 策定プロセス FB反映後 PRつくって GitHub Pageに マージして おひろめ完成 全社 ワークショップで フィードバック たのしいはつくれる、 たのしいはひろがる ーーー 自分らしいたのしみを見つけて、毎日の終わりに 「たのしかったな」と思えるように過ごしましょう。 そのたのしさが自然とひろがり、「今日たのしかったね」 とチームで共有しあえる文化を作っていきましょう。 楽しさは与えられるものじゃない って人が多くて安心した 22/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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InnerSourceとのつながり

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InnerSource Patterns KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement 策定プロセス • POは副社長 • 毎週1時間、検討会を行う。宿題はなし。1時間でできることをやる • だれでも参加OK、入退室自由、Slackで非同期コミュニケーションもOK • ツールはFigjamでわいわい テーマ選定 タイトルができたら タイトルの補足と 議論した話を 説明としてまとめる テーマから ワードから 共通イメージ 想定する 共感ポイントや ができたら イメージする 好きなところ、 タイトルワードを ワードを出し合う 考え方を話す 考える FB反映後 仮完成! PRつくって 全社 Slackに出して GitHubPageに ワークショップで FBもらう。 マージして フィードバック おひろめ完成 KDDI Agile Development Center Corporation 25/56

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KAGreement Process InnerSource Patterns • POは副社長 • Executive Sponsorship => 経営層の後押しで活動の信頼性と優先度を確保 • 毎週1時間、検討会を行う。宿題はなし。1時間でできることをやる • Reduce Barriers to Entry => 参加ハードルを下げ、心理的安全性を確保 • だれでも参加OK、入退室自由、Slackで非同期コミュニケーションもOK • ツールはFigjamでわいわい • Collaboration Tools => 共同編集の実現。議論、対話のログを残す 26/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement Process テーマ選定 テーマから 想定する イメージする ワードを出し合う ワードから 共感ポイントや 好きなところ、 考え方を話す InnerSource Patterns 共通イメージが できたら タイトルワードを 考える タイトルができたら タイトルの補足と 議論した話を 説明としてまとめる 合意された理念を ベースに テーマを選び、 全員が参照可能な 形で共有 ・Shared Vision Statement ・Document 透明性のある議論、 複数人で 後から参照できるアーカイブ 言葉を 磨き上げ ・Open Communication Tools 共通理解を作る ・Standard Base ・Consensus Documentation Building 決定の 背景・意味を 明文化し 全員が理解 できるようにする ・Standard Base Documentation your Guiding Principles 仮完成! Slackに出して FBもらう。 FB反映後 PRつくって GitHubPageに 全社 ワークショップ マージして完成 誰でも 成果物を コメント可能な 誰でも見られる 全社員イベントで オープンレビュー リポジトリで 意見交換の 文化 管理し 機会を広げる 小さく早く公開 ・Cross-Team ・Open Communication ・Shared Collaboration Repository ・Broaden ・Transparent Contribution ・Release Early Reviews and Often Participation 27/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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KAGreement Process InnerSource Patterns 対応表 KAGreementの プロセス・特徴 実際にやったこと 対応するInnerSource Pattern パターンの意味 OSSでいうと? テーマ選定(憲章から) 憲章を出発点にテーマ決定 Shared Vision Statement チーム全体で合意された 目標や方向性を明示 プロジェクトのREADMEに書かれる 「目的・ ジョン」 ワード出し・議論 FigJamで出し合いったり、 Slackで議論を記録 Document your Guiding Principles 活動の理念や 意思決定の軸を明文化 CONTRIBUTING.mdの前文、 Wikiの「理念・原則」ページ 共通イメージ → タイトル化 言葉を磨き上げて合意形成 Consensus Building 複数人で言葉をすり合わせ、 共通理解を作る Issue/PRでの議論やタグ決定 合意内容を 説明文として作成 言葉の意味や背景を 短文で明文化 Standard Base Documentation 背景・意図を明記し共有 READMEの手順 CONTRIBUTING.mdの実務フロー Wikiのハウツー 決定した KAGreement項目を公開 GitHubでPRレ ュー →Pages公開 Shared Repository Release Early and Often 成果物を誰でも見られる形で 小さく早く公開し改善 OSSのmainブランチマージ、 リリースタグ SlackでFB収集 草案を投げ、 誰でもコメント可能な場を提供 Open Communication Transparent Contribution Reviews オープンな意見交換 レ ュー文化 PRへのレ ューや Issueへのコメント 社員全員+経営層の全員参加型で Cross-Team Collaboration Broaden Participation 多様な参加と多様な意見を 促して反映 OSSでのハッカソンや Contributor Summit 全社ワークショップ 実施、FBを活動と項目に反映 宿題なし・その場で作業 全員が気軽に参加 その場で完結型のワーク Reduce Barriers to Entry 参加ハードルを下げ、 心理的安全性を確保 OSSの「Good First Issue」や 「ペアプログラミング」 FigJamを活用した検討 同期・非同期・遠隔で共同作業 Collaboration Tools リアルタイムで 共同 集可能なツール活用 OSSではコラ ツール (例: HackMD, Etherpad)で共同 集 副社長PO/社長の紹介 経営層が活動を後押し、登壇承認 Executive Sponsorship 経営層が活動を支援し、 信頼性・優先度を保証 OSSでの著名メンテナーや 財団、ス ンサー企業からの支援 編 ビ ボ ビ ビ ポ 編 ビ KDDI Agile Development Center Corporation

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Pickup : 透明性を高く保つ、オープンなコミュニケーション文化 • 貢献(Contribution)に対するレビューをオープンに行えること • Slackで誰でも非同期にコメント可能。作業用FigJamボードも常に公開し、過去のふりかえりにも使用 • 少人数の議論から始まっても、透明性を担保して公開することで、多様な人が気軽に反応できる • 意見や共感が可視化されることで、「個人の思い」が「組織の合意」へと育っていく 29/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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Pickup : 透明性を高く保つ、オープンなコミュニケーション文化 • 貢献(Contribution)に対するレビューをオープンに行えること • Slackで誰でも非同期にコメント可能。作業用FigJamボードも常に公開し、過去のふりかえりにも使用 • 少人数の議論から始まっても、透明性を担保して公開することで、多様な人が気軽に反応できる • 意見や共感が可視化されることで、「個人の思い」が「組織の合意」へと育っていく Transparent Contribution Reviews 30/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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Pickup : 全社を巻き込むコラボレーション • 四半期に一度 全社員向けにバックオフィス主導で開催 • Zoomのブレイクアウトルーム (ランダム割り当て・約6人) + FigJamで対話 Cross-Team Collaboration • テーマとしたKAGreementに対して Broaden Participation • 自分の経験やエピソードを共有 • GOOD/BADアクションを出し合い議論 • 仕組み化のアイデアを検討 • etc… 31/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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Pickup : 全社を巻き込むコラボレーション • 普段は部署をまたいで話す機会が少ないが この場が社内の横断的な接点になっている • 「個人の思い」から生まれた 「組織の合意」を「自分事」に • ワークショップの結果は Cross-Team Collaboration 翌週のKAGreement会で見直して Broaden Participation フィードバックループへ 32/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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Pickup : 経営層のスポンサーシップ Executive Sponsorship • 体外的な「アジャイル開発センター憲章」 • 木暮社長をはじめとした幹部層が意思決定の責任を • その先のKAGreementのあり方には小林副社長に権限委譲 → 組織としてのバックアップ体制が明確 今回は会社としての体外的セッションなので社長にもレビューを依頼 • 副社長がPOとして、毎週のKAGreementイベントに継続参加 • エンジニアやデザイナーだけでなく、コーポレート部門・人事など多職種も参加 33/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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Pickup : 経営層のスポンサーシップ Executive Sponsorship • 社員の議論や草案に対して、方向性を確認・必要なら軌道修正 • より良いアイデアが出れば「最初の想定にこだわらず取り入れる」柔軟さもありつつ、 • タイトルや説明文など最終決定はPOが担うが、その段階では参加者全員が納得できる状態に • KAGreement全体の方向性や次の挑戦も、POが支援して意思決定 34/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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InnerSourceとの関係は偶然 • ソフトウェアにはコードだけでなく、 コントリビューターの思想や価値観が反映される。 35/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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InnerSourceとの関係は偶然 • 組織文化も制度や仕組みだけでなく、 参加する人の行動や対話の積み重ねで形づくられる。 36/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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InnerSourceとの関係は偶然 • よりよいプロセスを模索していて進めていると、たまたまこうなっていた。 • プロダクトも組織文化も「人と人がどう関わり合うか」で いろんな要素が重なり合って作られる。 • この資料を作りながら、確かにこれもInnerSourceかもなぁ、、、と。 KDDI Agile Development Center Corporation 37/56

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KAGreementの応用実例

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実例:中途入社社員へのKAGマインドのオンボーディングにも Onboarding through Contribution 多くの会社 KAG 「決まったルールを教える」 オンボーディング 「文化や価値観を一緒に形づくる体験」 から始まるオンボーディング • 人事主導で必ず1回はKAGreementに参加してもらうようにしている。 • 初めての参加者がいる場合は自己紹介から。 人によっては何がしたくてKAGにきたのかを語ってくれることもある。 • タイミングによってはKAGreement策定中の場合もあるが、 前回からの新規参入者がいることで前回の議論に手戻ったり発散しても構わない。 • 新しい視点やいろんな人の考えを取り込み続けることが大事。 KDDI Agile Development Center Corporation 39/56

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実例:KAGreementをチーム方針とプロダクトへ組み込む Shared Vision Statement • だからこそ「開発の知恵」を文化形成に応用できる。 -> 文化形成に基づいたアクション、振る舞いからプロダクトを生み出せる 有志で実施した社内AIハッカソンで開発したプロダクトの一例 たのしそうなプロダクトを作って、自分の棚卸しや見つめ直しのきっかけを誘発しよう、がビジュアルコンセプト 40/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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オープンコミュニケーション オープンコラボレーションで 形成する文化がもたらす価値

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言葉を見つけるための議論 「アウトプットについて」 「アウトプットすることについて」 を考えていたときの一幕 KDDI Agile Development Center Corporation

45.

議論から生まれた表現 ― 自身のアウトプットの考え方 • アウトプットは自分のメモであって他人のためが第一ではないんですよね。 • でもアウトプットを使って 「自分をこう見てもらいたい」 「こういうレイヤーに興味がある人なんだなと思ってもらいたい」 を示す、ブランディングの手段の1つだったりしますねー。 43/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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議論から生まれた表現 ― アウトプットは再認識と新発見の機会 • Aさん 「アウトプットってやらない理由がないよね。学びを見直す過程でも新しい発見があるし。 でもやらない人にやれって強制するのは違うし、うまく促していきたいよね。」 • Bさん 「でもアウトプットしたらフィードバックほしいよね。」 • みんな 「ブランディングってうまく言い換えれないか?」 「アジャイルを大事にしているからフィードバックはいれたい!」 「一回さらっと学んだことを自分の身につける、落とし込むってことが大事なんじゃない?」 44/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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議論から生まれた表現 ― アウトプットは再認識と新発見の機会 45/56 KDDI Agile Development Center Corporation

48.

議論から生まれた表現 ― アウトプットについて 46/56 KDDI Agile Development Center Corporation

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言葉と表現にこだわる価値 自分たちの経験を言葉に落とし込む • 1つのテーマからイメージする言葉や表現は、それぞれの体験によって様々。 • 自身の経験と価値観を共有しあい、言葉を出し合い、その言葉からまた経験の共有を行う。 • 同じような意味でも言葉として違えば、受け取るニュアンスが変わったり。 • お互いの経験から出された表現にリスペクトを持って、精査する。 • 結果、実際に作られたKAGreementに納得感が生まれ、 行動指針として運用されることで組織と個人の間に親和性を感じられている。 47/56 KDDI Agile Development Center Corporation

50.

「あいまいな良さ」への探求 自分たちが紡いだ言葉が行動指針になる • KAGreementは、組織、チーム、個人の活動の中にあった 「あいまいな良さ」を見つけ、対話を重ね、輪郭を作り、 在りたい姿に名前をつける活動 無名の質 QWAN(Quality without a name) https://www.issj.net/mm/mm06/12/mm0612-7-sg.html KDDI Agile Development Center Corporation

51.

「良さ」を集めて、また形をつくる 行動指針から組織の形へ • 定義したKAGreementから組織のありたい形が見えてくる 49/56 KDDI Agile Development Center Corporation

52.

求められる形に変わり続けること 活性化させて自律的な文化へ • KAGは、会社であり、組織であり、 コミュニティであり、プロダクト • 人も、ある場では「技術の専門家」 別の場では「若手の相談相手」 さらに別の場では「趣味を共有する仲間」 • KAGreementの活動を通して 多様な接点を、偶然の出会いを作りたい • 偶然の出会いと学び、創造的摩擦で、 組織文化の活性化へ クリストファー・アレグザンダー 『都市はツリーではない』パタン・ランゲージとセミラティス構造 https://www.10plus1.jp/monthly/2015/02/-07.php KDDI Agile Development Center Corporation

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まとめ

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「なぜここにいるのか」を語れる価値 • フリーランスのエンジニアからKAGのスクラムマスターにキャリアシフトして • やりたかったこと • 組織とチームでプレイする、人や文化に向き合う • KAGで実現できていること • 案件でステークホルダーを巻き込み、共に価値を生む。 • 案件やプロダクトを通して、お客様の組織文化にもアプローチできる • 社内でもScaled Daily Scrumを実践している • KAGreementを通して、文化をみんなで形にしていく 52/56 KDDI Agile Development Center Corporation

55.

「なぜここにいるのか」を語れる価値 • 「プロダクトを超えて、文化に影響できる」 「文化からプロダクトを通して価値を作る」 • 「そしてKAGはプロダクトである」 • その文化形成へのチャレンジできる土俵と仲間が存在するので、 良いキャリアシフトだったなと。 • 実際、内製化支援は大変。 でも「KAGさんとだったら頑張れる気がします」と言ってもらいたい。 53/56 KDDI Agile Development Center Corporation

56.

まとめ • KAGreement は InnerSource を直接モデルにしたものではない。 • 「オープンコミュニケーション」「オープンコラボレーション」を念頭に活動してきた。 • 文化を「クローズドな仕様」にせず、みんなで言葉を出し合い、更新していく。 • ドキュメントを書くように価値観を言語化し、レビューのように対話を重ねる。 • 小さな合意が積み重なり、部門や役割を越えて協働できる。 • しかしプロセスは、InnerSource Practice ととても似通っていた。 54/56 KDDI Agile Development Center Corporation

57.

まとめ • InnerSourceの意義やマインドは、 コードを越えて、人や組織にも応用できるはず KAGreementの事例が 皆さんのチームや組織で InnerSourceを活かすヒントになれば幸いです。 KDDI Agile Development Center Corporation

58.

Be a Change Leader. アジャイルに力を与え 共に成長し続ける社会を創る