人工知能のリスクと未来

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January 31, 24

スライド概要

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コンピュータを使って色々計算しています.個人的な技術に関するメモと講義資料が置いてあります.気が向いた時に資料を修正しています. 公立小松大学臨床工学科准教授 https://researchmap.jp/read0128699 初心者向けの人工知能の本を書いてみました. https://www.amazon.co.jp/dp/B0F2SKBXY4/crid=1RJHKTT637RSE

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各ページのテキスト
1.

人工知能のリスクと社会変容 フェイク、雇用、AIデバイド 藤田 一寿 Ver.20260114 人工知能のリスクを語る時の人工知能は人工ニューラルネットワークを使ったものを指している。この資料も、 人工知能は人工ニューラルネットワークを使っていることを前提としている。

2.

用語の簡単な復習 • AGI (Artificial General Intelligence) • 汎用人工知能、人レベルの知能を持った人工知能。 • ASI (Artificial Super Intelligence) • 人工超知能、人の知能を超えた人工知能。 • 人工ニューラルネットワーク • 脳のモデルから出発した機械学習の手法の一つ。脳とは関係ない(かもしれない)。 • 生成人工知能 • なにかを生成する人工知能。画像、音楽、声、動画、文章などを高いクオリティで生成で きる。化学物質の構造も生成できる。 • 対話型人工知能 • 会話ができる人工知能。 • アライメント • 人工知能を人の好みや都合に合わせて調整すること。

3.

人工知能によるフェイクが心 配

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フェイクが心配 • 人工知能のフェイクが心配というが、人間がこれまでフェイク記事や画 像を散々作ってきたのに、なぜ今更フェイクに心配しなければならない のか。 • 比較的当たり障りのない人によるフェイクの例 • ゲームの歴史(嘘ばかり書かれていた) • 毎日新聞の英語のフェイク記事(嘘の実態が書かれていた) • 「了解」や「ご苦労さま」は失礼(誰かが言い始めた勝手マナーから始まった) • 旧石器捏造(石器探しのゴッドハンドは実は自分で遺跡に石器を埋め込んでいた) • 小保方氏らによる論文捏造、剽窃 • 切り抜き報道や偏向報道による印象操作 • 個人によるフェイクニュース(色々)

5.

フェイクが心配 • 生成人工知能によりクオリティの高いフェイクを比較的短時間で誰でも生 成出来るようになった。 • 人工知能を使用し、文章、画像だけではなく動画も生成可能である。 • 人工知能により人の音声を作り出すことも可能である。 • 人工知能を使ったフェイク動画は、実在する人物を動かすことが出来るだけ ではなく、声も出すことが出来る。 • 本物と区別がつかないフェイク画像や動画を使えば簡単に人をだませるた め、以前よりもフェイクによる社会への影響が強まる可能性がある。 フェイク画像例 https://twitter.com /EliotHiggins/status/1637928223848767492

6.

フェイク対策 • 誰が(何が)作ったかは問わずフェイクに対し、これまで以上に注意は 必要がある。 • 一つの資料や投稿を信じるのではなく、他の資料も調べる。 • 今後は画像・動画に関しても同じ対応をする必要がある。 • 人工知能により本物と見分けがつかない画像・動画が作成可能なため。 • 文章から間違いや論理のおかしな点を自ら見つけることができる基礎 学力を身につける必要がある。

7.

人工知能のフェイクは認知戦でもある(認知領域における戦争) • Deepseekの人工知能は、天安門事件について回答できないが、何故だ ろうか? • 中国政府の意向に沿った発言をするように調整されているため。 • 人工知能は思想教育、調教が可能であるため、人工知能は人工知能の 開発者の都合の良い回答をするようになる。 • 誰もが気軽に人工知能に質問する世界では、「人工知能の回答=真実と なる」可能性がある。 • 真実は人工知能の開発者の都合の良いものになり、人工知能を開発でき ないものの事実は事実でなくなる。

8.

人工知能による悪意あるコードの混入 • 人工知能によるソフトウェア開発が一般化し、人工知能の作ったソフ トをほぼ信頼する時代がすぐに来る。 • そうした時代は、人工知能作ったコード(ソフトの中身)をチェック できなくなっており、動いて入るがソフトの中身が分からなくなる。 ソフトウェアはブラックボックス化する。 • そのような時代では、その人工知能が悪意ある機能(バックドアなど )をソフトウェアに入れても人間は気付かなくなる。 • ソフト開発を行う人工知能を他国に依存していると、人工知能が悪意あ る機能を意図的に混入される可能性がある。 • 他国から気付かない間に攻撃を受ける可能性がある。

9.

人工知能開発は戦争 • 人工知能の回答は、人々にとって真実となる。 • 他国の人工知能に依存すると、 • 真実は自国にとって都合の悪いもの、もしくは他国にとって利益があるもの になる。 • その人工知能が自国にとって問題となる機能や情報を埋め込む可能性がある 。 • 他国とトラブルになった時、人工知能に依存したシステムは崩壊する。 • そのため、各国はビジネス以上に国防のために人工知能開発に注力し なければならない。

10.

まとめ • 人工知能により、高品質なフェイクが誰でも簡単に作れるため、フェ イクが氾濫する可能性がある。 • 特に、画像生成人工知能の性能の向上により、フェイクニュースの画 像のクオリティが増し、フェイクニュースに説得力をもたせる。 • 対話型人工知能の活用が当たり前になり、対話型人工知能の回答が真 実と認識される世界になる。 • 対話型人工知能の回答を制御できる側の意見が真実となるため、対話 型人工知能の開発は認知戦においても重要な事項となっている。

11.

人工知能により仕事がなくな る

12.

人工知能により仕事がなくなる 詳しくない人は対話型人工知能と思っておく • 米国の労働者の約80%が、大規模言語モデル(LLM)の導入により少 なくとも10%の業務に影響を受ける可能性がある。 • 更に、約19%の労働者は少なくとも50%の業務に影響を受ける可能性 がある。 • 影響はすべての賃金水準に及び、特に高所得の職種ほどLLMの機能や LLMを搭載したソフトウェアに触れる機会が多くなる可能性がある。 お仕事手伝います。 人の代わりに仕事をします。 LLM:Large Language Model、大規模言語モデル (Eloundou et al., 2023, GPTs are GPTs: An Early Look at the Labor Market Impact Potential of Large Language Models)

13.

人工知能により仕事がなくなる • パナソニック • 3時間かかっていたコーディング前の事前調査が5分に短縮、9時間かかっていたアンケート分析が6分で終了 (https://ascii.jp/elem/000/004/143/4143067/2/, 2023年6月29日) • サイバーエージェント • 大規模言語モデルを活用した広告コピー自動生成機能を実現 • 広告効果の向上、テキスト制作における時間・工数の短縮も実現 • すでに活躍し ています。 (https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=28828, 2023年5月18日) • 日清食品HD • 企画立案、商談のロールプレイなどで営業分野で活用、他分野にも活用を広げていく予定。 (https://toyokeizai.net/articles/-/689597, 2023年7月27日) • 米IBMのアービンド・クリシュナ最高経営責任者 • 今後数年で約7800人分の職が人工知能に置き換わる可能性がある。 • 一部職種の採用を一時停止する。 • 特に人事など事務管理部門の採用が停止または減速されるとし、顧客と接しない職の3割が5年以内にAIに置き換わり、 自動化される可能性があると述べた。 (https://jp.reuters.com/article/ibm-jobs-idJPKBN2WS1LY, 2023年5月1日) • 英通信大手BT • 2030年までに5.5万人削減 1万人をAIに置き換え • 顧客サービス職とネットワーク管理職の大半を自動化する考え(https://forbesjapan.com/articles/detail/63286, 2023年5月19日)

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人工知能により仕事がなくなる • セールスフォース • 1万ドル未満の顧客には生成AIが自動で応答 (https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00012/082701312/ 、2024.08.27) すでに活躍してい ます。 • 三菱電機 • 仕様書や設計書を含むソフトウエア開発関連のドキュメン トを生成AIに解析 させ、要約を出力させている。 (https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02875/062000004/ 、2024.06.24)

15.

人工知能により仕事がなくなる • 人工知能による自動化(コンピュータによる自動化)が可能な仕事は 無くなる。 • 特にホワイトカラー・頭脳労働からなくなる。 • 頭脳労働では、自動化した結果を評価できる能力のある者だけが人工知能を 活用し生き残り、そうでないものは人工知能を活用できず淘汰されるかもし れない。 • 誰でも人工知能を使えるようになった。 • 原理を知らなくても良い。 • 人工知能が人の仕事を奪うだけではなく、人工知能を使いこなす人が人 工知能を使わない人の仕事を奪う。

16.

人工知能時代に生き残るには • 人工知能を使いこなす。 • 人工知能を使いこなすためのスキルを身につける。 • 人工知能の間違いを正せるだけの能力を身につける。 • 人工知能が出来ないこと・苦手なことをする。 • 今現在でロボットが出来ない仕事は人工知能に置き換わりにくい。 • 医療、介護、土木・建築(ロボットの導入を試みているが、人に頼る部分が多 い)、美容など • 逆に言えば、今ロボット・人工知能が入っている領域は、今後ますますロボッ ト・人工知能が導入されていく。

17.

人工知能で仕事はなくならない? • 人工知能で仕事がなくなるのは驚き屋による誇張なのか? • 人工知能で増える仕事があるのでは? • 人工知能の技術者や人工知能のための計算機の技術者の雇用は増えるかも しれないが、1990年代後半から始まったIT革命のときの情報技術者の需要 拡大のようなことは起きないだろう。 このような都合の良い話に はならないだろう。 人工知能技術により新しく 創出される職種は限られる 。

18.

人工知能で仕事はなくならない? • 人工知能は仕事を奪うほどの能力はないのでは? • 現在の人工知能は人の仕事を完全に奪うほどの能力はない。 • 人を満足させるほどの人工知能の出力がでない分野もあるだろう。 • ゴミ分別の問い合わせにおいて99%の正答率がほしいが、人工知能は95%の精 度だった。(https://www.yomiuri.co.jp/local/kagawa/news/20231212OYTNT50213/) • 人工知能の出力の精度を保証するために、人間が人工知能の出力を確認す る必要がある分野もあるだろう。 • 特に医療分野では、人工知能による完全自動化ではなく、人工知能によるサポ ートという形になるのではないか。

19.

人工知能で仕事はなくならない? • 一方で、人工知能による業務効率化は実際に起こっている。 • 人工知能により業務効率化ができるということは、効率化した分の雇用が減っ ていると考えることもできる。 • すでに人工知能やロボットが人の代わりをしている分野も有る。 • 人工知能のチャットによるカスタマーサポートはインターネットでよく見る例 だろう。 • 飲食店の配膳ロボットは完全に人の代わりをしている(より広く考えれば、タ ブレットによる注文やセントラルキッチにおける調理の自動化も雇用を奪って いると言えるかもしれない。) • 人工知能の性能は更に向上していくので、人工知能が人の代わりに出来る 人工知能やロボットによる業務効率化も ことも増えていく。 しくは雇用の喪失は、少子高齢化による 人手不足の日本では問題にならないどこ ろか歓迎すべきことだろう。

20.

人工知能により仕事がなくなるか? • 前のスライドでは、人工知能により職は奪われるが、仕事自体が無く ならないという前提が有る。 • 人工知能ができない仕事をすることが出来るのだろうか? • 人工知能がより高性能になっても、人間は人工知能には出来ない仕事を することになるだけである。 • 産業革命以降の機械化により、人は機械ができない仕事をやるようになっ た。 • つまり、人の仕事はなくならないだろう。 人ができる仕事 人工知能 ができる 仕事

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人の仕事はなくなる • 前のスライドは、人工知能が出来ない仕事があるという前提を置き、 人の仕事は無くならないと結論づけている。 • しかし、人間の出来る仕事には限界があり、最終的に人工知能は人が行 う仕事をすべて出来るようになるかもしれない。 • そうした場合、仕事があったそしても、労働単価は下がり所得が極め て減る可能性がある。 人工知能ができ る仕事 では、今のうちから (円以外に) 投資するしかないかというとそうではない。将来に備え た投資は、経済の適度なインフレ(経済成長)と複利効果を前提としている。 人以上の能力を持つ人工知能の登場して社会が変容することで、その前提が崩れるかもし れない。 ベーシックインカムは解決できるのだろうか? 人ができ る仕事

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人工知能の労働市場への進出は社会を根底から揺るがす • Deepseek シニアリサーチャーChen Deli「AI革命の成功の証は、人間 の仕事の大部分をAIが置き換えることにあると言えるでしょう。」 • 「人間は最終的に仕事から完全に解放されるだろう。それは聞こえは いいかもしれないが、実際には社会を根底から揺るがすことになるだ ろう。」 • (https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/3332086/chinasdeepseek-makes-rare-public-comment-calls-ai-whistle-blower-joblosses)

23.

まとめ • 人工知能により人の仕事は確実に減る。 • 人工知能+ロボットに限界があるとすれば、少なくとも肉体を使う労 働(ブルーワーカー)は人の仕事として残る。 • 一方、人工知能、特にフィジカルAIの発展により、すべての領域にお いて人工知能+ロボットが人間を凌駕する可能性もある。 • この場合は、人の仕事は無くなる可能性もある。 • この場合は、人を生かすための施策が必要となる。しかし、良いアイデア は無い。

24.

オープンウェイトLLMと ローカルLLMの躍進 人工知能の民主化

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対話型人工知能と大規模言語モデル • ChatGPTなどの対話型人工知能は大規模言語モデル(LLM)を使って会 話をしている. • 対話型人工知能の能力はLLMの性能に依存しているところが大きい. 対話型人工知能システム 質問(+システ ムプロンプト など) 質問 インター フェース 回答を 表示 回答 回答 LLM

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クローズドソースLLM • 対話型人工知能など言語を扱う人工知能の性能はLLMに大きく依存し ているため,開発したLLMを公開し他社が使ってしまうと自社の優位 性がなくなってしまう. • OpenAIやAnthropicは自社のLLMを公開していない. • 公開していないLLMのことをクローズドソースLLMという. LLM=脳 ChatGPTくんの LLMを取り出す 取り出したLLMを自分の システムに入れる 自分の システム ChatGPTくん のLLM 自分のシステム ChatGPTくん 自分のシステムがChatGPTくん と同じ能力になる こんな事が起こると,OpenAIの優位性がなくなり,LLM開発にかけた多額の資金を回収できない.当然LLMは公開されない.

27.

オープンLLM • 一方で,LLMを公開する動きも活発に行われており,商用可能なモデ ルも公開されている. • 公開されたモデルをオープンLLMと呼ぶ. • オープンLLMは公開されているため,誰でも使える. • 使用出来る範囲や制限はそれぞれのオープンLLMにより異なる. 自分の システム 高性能なLLMを公開する 公開されたLLM 公開されたLLMを自分 のシステムに組み込む オープンLLMのお陰で誰でも最新の人工知能を使った システムが作れる!! 自分のシステムがMetaのLLM と同じ能力になる

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オープンソースAIの定義 • 許可を求めることなく,あらゆる目的でシステムを自由に使用できる. • 自由にシステムの仕組みを研究し,その結果がどのように作成された かを自由に理解できる. • 出力の変更など,あらゆる目的でシステムを自由に変更出来る. • 変更の有無にかかわらず,あらゆる目的で他のユーザーが使用できる ようにシステムを自由に共有できる. 原文 •Use the system for any purpose and without having to ask for permission. •Study how the system works and understand how its results were created. •Modify the system for any purpose, including to change its output. •Share the system for others to use with or without modifications, for any purpose. (https://opensource.org/what-is-open-source-ai) オープンだからといってオープンソースとは言えない.

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オープンLLMが社会を変えるかも • 2023年まではオープンLLMはChatGPTなどのサービスに比べ性能が劣 るため積極的には使われていなかった. • 動かすのも面倒でもあった. • 2024年に入り,オープンLLMは急速に性能を向上させGPT-4以上の能 力を身につけた. • さらに,オープンLLMの導入も簡単にできるようになってきており, 廉価なゲーミングPCさえあれば誰でも大規模言語モデルを動かすこ とが可能となっている.

30.

モデルの開発競争 • オープン,クローズドにかかわらず世界各国でモデルの開発競争が行われ ている. • オープンLLMの発展にMeta,Google,Microsoft,中国企業が大きく寄与 している. • 高性能なオープンLLM:Llama(Meta),Gemma(Google),Phi(Microsoft ),Qwen (Alibaba),DeepSeek (DeepSeek),Nometron(NVIDIA)など • 中国製のLLMの発展が目覚ましい. • 中国のモデル開発能力は世界でもトップクラスである. • 一方で、米に対し常に7ヶ月遅れとも言われる。 https://epoch.ai/datainsights/us-vs-china-eci • 日本語のモデル開発は行われているが性能向上は緩やかである.

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ローカルLLMとは • 施設内で動く大規模言語モデルのことをローカルLLMと呼ぶ。 • 比較的軽量なオープンLLMを使えば誰でもローカルLLMが使える。 インターネット 施設内 質問 回答 施設内(オンプレミス) 質問 インターネット上の どこかのコンピュー タでLLMが動く LLMを使う際インターネットを介するので、LLMで機密情報や個 人情報を処理しにくい。 回答 施設内のコンピュ ータでLLMが動く 施設内のコンピュータでLLMを動かすので、LLM で機密情報や個人情報を扱える。

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ローカルLLMに必要な実行環境 • LLMは、条件を満たせばゲーミングPCで十分超高速に動作する。 • 高速に動作する条件 • LLMがゲーミングPCに搭載されたGPU(CGを描画する専用の部品)のメモリに すべてのる。 • 高速に動作する条件は低いため、ローカルLLMの普及が予想される。 全部入る LLM

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感想 • オープンLLMは安価なゲーミングPCで十分動く. • オープンLLMは英語に関しては性能が高い. • ベンチマークの結果が必ずしも個別の用途における性能の差を表さな い.実際にモデルを使わないと使えるかどうか分からない. • 様々なモデルが公開されているため,異なる特徴を持つモデルを複数 使うことができる. • 人は複数の人工知能に意見を聞き,それをまとめる役割になる(すで になっている). • 最終的にそれも人工知能が行うだろう.

34.

感想 • いずれオープンLLMがクローズドLLMを凌駕するかもしれない. • オープンLLMとクローズドLLMの差がなくなったときOpenAIや Anthropicは生き残れるのか? • 差がなくなったとき,人類は何をモチベーションにLLMを開発するの だろうか? • オープンLLMに負けるかもしれないのに, 大金をかけてまでLLMを開発す る企業があるのか. • そもそも,大金をかけて開発したLLMをオープンにすると,それを独 占できないから開発費を回収できないのではないか? • オープンLLMがOpenAIやAnthropicのクローズドなLLMを駆逐した後, Llamaなどの高性能なオープンLLMがクローズドになるのかも.

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感想 • そもそもLLMで儲けない可能性もある。 • オープンLLMであっても、高性能なものは巨大で、自前のPCで動かす ことは困難、もしくは低速となる。 • つまり、オープンであろうとクローズであろうと、高性能なLLMは巨 大で、動作が重く、個人では持てない高性能なコンピュータが必要と なる。 • よって、人工知能開発会社は人工知能を売ることで儲けるのではなく 、人工知能が動く高速なコンピュータを貸すことで儲けるのではない か?

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人工知能の民主化

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AIの民主化とは • AIを誰もが使えるようにすること(令和元年版情報通信白書) • 機械学習(ML)の専門家以外の幅広いユーザーにAIへのアクセスを提 供すること。https://www.ibm.com/jpja/think/insights/democratizing-ai • AIを広く利用可能または利用可能にすること、あるいは個人がAIの開 発や利用を可能にする権限を持つべきだという要求。 https://link.springer.com/article/10.1007/s00146-021-01357-z

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具体的例 • 人工知能に関する学習教材が無料で手に入る(人工知能に関する論文は Arxivで公開されている、Bishopの機械学習の本や深層学習の本が無料で読 めるなど)。 • Google Colabで誰でも無料で機械学習や人工知能のプログラムを作ること ができる。 • 誰でも無料で使える機械学習や人工知能の開発ツールがある • 機械学習や人工知能を学習するための様々なデータが公開されている (データの民主化)。 • 画像認識や自然言語処理などの学習済みモデルが公開されている(オープ ンLLMもその一つ)。 • 無料もしくは格安で使える高性能な人工知能サービスが有る(ChatGPTや Geminiなど)。

39.

オープンLLM、ローカルLLMと人工知能の民主化に寄与 • ChatGPTやGeminiなどは、優れた対話型人工知能であるが、企業の都 合でサービスが突然変更もしくは終了する恐れがある。 • 一方、 オープンLLMを活用したローカルLLMの場合は、コンピュータ さえ用意すれば自由に何度でも活用可能である。 • また、自由にLLMを用いたアプリケーションを作成可能である。 • ローカルLLMは人工知能の民主化の一つと言える。

40.

AIの民主化の影響 • 多くの人が人工知能の機能を利用できるようになる。 • 多くの人が人工知能の仕組みや機能を理解できるようになる。 • 人工知能の使用に対する障壁が軽減される。 • 人工知能技術がごく一部の企業に独占されず人類社会全体に貢献できる技 術となる。 • 人工知能技術がごく一部の企業に独占されたブラックボックス技術ではな く得体のしれた技術になる(とはいえ人工ニューラルネットワークが得体 が知れているかと言うとそうでもないような…)。 • 「よく分からないもの」から「それなりに分かるものへ」 • 「よく分からないからやらない」「よく分からないからやる」が減る。 • 様々な人が人工知能に触れることでイノベーションが促進される。

41.

AIデバイド

42.

人工知能を使いこなせる実力がある者が伸びる • 人工知能は • 24時間365日いつでも対応してくれる。 • 疲れない。 • いくら質問しても文句を言わず対応してくれる。 • 人より安価に対応してくれる。 • 一方で、人工知能を活用するには個人の学力や工夫が必要となる。 • つまり、人工知能をうまく使う実力がある者がより力をつける社会に成 ってきている。 • 一方で、実力がついていない者は人工知能を使いこなせないため、実力が低 いままなため、実力の格差が大きく広がる恐れがある。

43.

人工知能が下働きをし、人々の成長の機会を奪う • 現在、人工知能が作業をし、その結果を人間が確認する時代になりつ つある。 • プログラミングの世界では、人工知能がコードを書き、人がそのコードが 正しいか判断する状況になってきている。 • 人工知能の作業結果を判断する人間は、すでに実力を備えている。 • 実力をつけていないものはどうすればよいのだろうか。 • これまでは、人々は難易度の低い作業をこなしながら徐々に実力をつけてい ったが、今後は難易度の低い作業を人工知能が行うことになり、人工知能が 人々が実力を付ける機会を奪うことになる。 • この場合も、実力をつけていない者はその状態のままとなり、実力を既につ けている者との格差は広がるだけで狭まることがない。

44.

貧富の差が大きくなる • より高性能の人工知能は高価になる可能性がある。 • ChatGPT Plusが月20ドルの一方で、ChatGPT Proは月200ドルである。 Proは高性能ではあるが、一般人が気軽に試せる価格ではない。 • 富裕層ほど高性能の人工知能を使い、より力をつけることになる可能性 がある。 • よって、今以上に貧富の差が大きくなるのではないか。 • 逆に、高価な人工知能が向上するに伴い、安価な人工知能の能力も向 上するだろうから、悲観的になる必要はないのかもしれない。

45.

実力があるものがより実力をつける時代 人工知能を使いこなし、自 らの能力を強化し続ける。 人工知能を否定して生き る。 人工知能を使い楽をする。

46.

AIデバイド • 人工知能を使いこなせる者と、使いこなせないものの格差 • 高性能な人工知能を持つ者と、そうでないものの格差 • これらの格差がますます広がることにより、人工知能による格差(AI デバイド)が社会問題になるかもしれない。 • 特に、高性能な人工知能を持つ者になるためにアメリカと中国が人工 知能の開発競争を行っている側面がある。 • もちろん、日本も高性能な人工知能を持つ者になるために、高性能な 日本語を使える人工知能を自国で用意できるようにしなければならな いだろう。

47.

更に将来はAIを持っているかどうかだけが問われる • 現在の人工知能の限界 • 人工知能が人工知能を再開発し強化するほどの力はない。 • 人工知能のみで研究開発はできない。 • 人工知能が自律的に動かない。 • 人工知能がロボットを動かし、人工知能を動作させるために必要な事柄を 自律的に実行できない。 • この限界のため、人間と人工知能の共生関係が可能となっており、人 工知能を使いこなすことが重要となっている。 • 逆に言えば、これらの限界がなくなれば、人工知能を活用するときひ とは必要と無くなる。つまり、高性能な人工知能を持ち、運用できるリ ソースを持っているかどうかだけが問われる世界になる。

48.

AGIを最初に持ったものが勝者となる • 何故、アメリカや中国、さらに様々な人工知能関連企業がAIに巨額の 投資をし続けるのか? • 人工知能は巨額の投資に見合った収益を上げないのではないか? • ChatGPTは月200ドルのプロプランでも赤字と言われている。 • AGIを先に達成すれば、AGIが自らを加速的に進化させるだろう。 • AGIを一番先に達成=常に最強の人工知能を使える、という構図が成り 立つ可能性がある。 • つまり、人工知能はwinner take all(勝者総取り)の可能性が大である。 • よって、赤字覚悟で人工知能の開発・投資に突き進むしか無い。

49.

まとめ • 人工知能を活用し成長する者としない者の格差が広がる。 • 人工知能を持つ者と持たない者の格差も広がる。 • AGIを持つ者が現れれば、AGIにより人工知能が加速的に性能向上し、 他をあらゆる面で凌駕する可能性があるため、AGIを持った者が勝者と なる。