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June 16, 22
スライド概要
NDBからみる精神科医療に関する 医療ニーズの変化 奥村泰之 一般社団法人臨床疫学研究推進機構 代表理事 第118回日本精神神経学会学術総会 曲がり角に立つ精神科入院医療ーマクロ状況と精神科臨床から 2022/6/16 (木) 14:00~16:00
発表の構成 データ源について 公表物 精神病床の医療ニーズ 一般病床の精神医療ニーズ 精神科外来の医療ニーズ 国際比較可能なプロセス指標 2
データ源について 3
レセプト情報・特定健診等情報データベース National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan (NDB) 紙レセプトと保険外診療*を除く *公費単独,自費,治験等 レセプト 請求 厚生労働省: 医療ビッグデータの利活用について (http://www.jsn.or.jp/news/150606_ch0.pdf) 電子レセプト 提供 NDB 4
レセプトは,保険医療機関からの請求書 誰に 何したので お金下さい 5
背景・病名・診療行為・医薬品情報が 詳細に記録 医療機関情報 レセプト共通 都道府県 医療機関コード 傷病名情報 傷病名コード 診療開始日 転機区分 修飾語コード 主傷病 氏名 (患者ID) 性別 年齢 入院年月日 診療行為情報 診療行為コード 数量 回数 実施日 医薬品情報 医薬品コード 数量 回数 実施日 6
レセプトのDB化(2009年度~) 特定健診・特定保健指導のDB化(2008年度~) 第三者提供の現状について (https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000641055.pdf) 7
提供依頼したデータ 2013年1月~2020年3月診療分(7年度分+3か月) 医科・DPC・調剤レセプト 精神科医療に関するコードのある全患者 8
公表物 9
Web掲載 持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究 (https://seishinchikouken.jp/) 10
報告書 11
精神病床の医療ニーズ 12
入院患者数,27万⇨24万人に減少 2019年→2030年 予測値 13
75歳以上,11万⇨13万人に増加 2019年→2030年 予測値 14
認知症のない長期入院患者,18万⇨14万人に減少 2019年→2030年 予測値 15
患者数トップ2の入院料,各8千人減少 2013年→2019年 16
統合失調症2万人減少,認知症2万人増加* 2013年→2019年 *統合失調症は主傷病に制限,認知症は主傷病の制限なし 17
精神科救急・合併症入院料または精神科身体合併症 管理加算,38000人を推移 2013年→2019年 18
小括 精神病床の医療ニーズ 精神病床入院全体は減少トレンド 75歳以上は増加トレンド 認知症の増加が顕著 身体合併症の医療提供・評価が課題 19
一般病床の精神医療ニーズ 20
認知症,64万⇨97万人に増加* 2013年→2019年 *一般病床の算定に伴う病名,かつ,主傷病の制限なし 21
認知症ケア加算,28万⇨87万人に増加 2016年→2019年 22
認知症ケア加算1,5万⇨20万人に増加 2016年→2019年 23
入院精神療法*,105000⇨137000人に増加 2013年→2019年 *一般病床での算定に限定 24
精神疾患診療体制加算と精神科疾患患者等受入加算, 5千⇨1万6千人に増加 2013年→2019年 25
リエゾンチーム加算,6千⇨3万人に増加 2013年→2019年 26
精神疾患診断治療初回加算,4千人前後を推移 2013年→2019年 27
救急患者精神科継続支援料,200人前後を推移 2013年→2019年 28
小括 一般病床の精神医療ニーズ 一般病床の認知症の医療ニーズが激増 (レセプト上,顕在化) 看護師によるケア体制の整備が促進中 精神科医師による医療提供は少ない 高度化は。。。 29
精神科外来の医療ニーズ 30
通院・在宅精神療法,500万⇨620万人に増加 2013年→2019年 31
未成年の通院精神療法,33万⇨52万人に増加 2013年→2019年 32
10歳未満の通院精神療法,8万⇨13万人に増加 2013年→2019年 33
認知療法・認知行動療法,1万人前後を推移 2013年→2019年 34
依存症集団療法,68人⇨174人に増加 2016年→2019年 35
小括 精神科外来の医療ニーズ 精神科外来医療ニーズが爆増 特に,児童・思春期の伸びが大きい 高度化は。。。 36
国際比較可能なプロセス指標 37
ECTに占めるmECT,90%を超える 2013年→2019年 38
クロザピンの人口10万対患者数,4.4人 2013年→2019年 39
統合失調症*に占めるLAI,8.6% 2013年→2019年 *2回以上の通院・在宅精神療法あるいは精神病床入院を伴う主傷病 40
ADHD治療薬に占める中枢神経刺激薬,52% 2013年→2019年 41
国際比較 指標 日本 (2019年) 海外 ECTに占めるmECT 91% オーストラリア (2002-04年): 100%[1] ポーランド (2020年): 100%[2] 人口に占めるクロザピン 4.4人/10万人 ノルウェー (2016年): 50人[3] フランス (2013年): 45人[4] 統合失調症に占めるLAI 8.6% ADHD治療薬に占める中枢 神経刺激薬 アメリカ (2018年): 13%[5] オーストラリア (2015-2020年): 10%[6] 52% イギリス (1992-2013年): 98%[7] ノルウェー (2012年): 94%[8] [1] Chanpattana: J ECT. 2007 Jun;23(2):89-92. 2 Antosik-Wójcińska et al: Neuropsychiatr Dis Treat. 2021 Feb 22;17:605-612. 3 Schou et al: Tidsskr Nor Laegeforen. 2019 Sep 23;139(13). 4 Verdoux et al: Acta Psychiatr Scand. 2016 Jun;133(6):470-80. 5 Patel et al: J Med Econ. 2022 May 28;1-40. 6 Taylor et al: Aust N Z J Psychiatry. 2021 Oct 16;48674211051618. 7 Beau-Lejdstrom et al: BMJ Open. 2016 Jun 13;6(6):e010508. 8 Furu et al: Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2017 Apr;120(4):373-379. 42
小括 国際比較可能なプロセス指標 mECTは急速に普及 クロザピンやLAIは普及しつつあるが 途上か 中枢神経刺激薬の低いシェアは,国 際的に異質 43
Take Home Messages 精神病床では,身体合併症の医療ニーズ増 大への対応が課題 一般病床では,認知症の医療ニーズ増大に 対して,精神科医師による貢献の余地があ る (かも) 精神科外来医療ニーズの爆増に伴う変化 は,注視と対応が必要 NDBを活用して評価可能な指標を,現場か ら継続的にニーズを汲み取り反映する,体 制整備が必要 44