デザイン・ダイアグラムと 研究計画書テンプレート入門 奥村泰之 一般社団法人臨床疫学研究推進機構 代表理事 横浜市立大学大学院「データベース開発演習」 2024/12/11 (水) 12:50~14:20 Zoom
発表の構成 ◼ RWE創出の流れ ◼ デザインダイアグラム入門 ◆ デザイン・ダイアグラムとは ◆ ベースアンカー ◆ 一次アンカー ◆ 二次アンカー ◆ デザイン・ダイアグラム改定版 ◼ 研究計画書テンプレート ◆ 研究計画書のテンプレート ◆ 実例 ◆ 好事例の探し方 ◼ おわりに 3
RWDを活用した研究のフェーズと求められる専門 能力 研究のフェーズ 求められる専門能力 ①臨床疑問や政策課題の提案 ②研究疑問の作成 ③利用申出書の準備 ④データの整理 臨床や政策への理解 データの性質と疫学への理解 申請書作成手順への理解 データの性質への理解とデータハ ンドリングの能力 ⑤統計解析計画書の執筆と統計 解析の実施 疫学と統計学への理解 ⑥結果の解釈 ⑦論文執筆 ⑧研究成果のアウトリーチ 臨床や政策への理解 メディカルライティングの能力 広報の能力 奥村泰之: 臨床精神薬理 24(1): 3-11, 2021. 4
臨床疑問 (QC) から研究疑問 (RQ) へ ✓ データの特性に由来する限界を考慮しながら研究疑問を作成 ✓ 文献レビューにより研究実施の必然性と研究疑問の定義を評価 QC 1 RQ 1 QC 2 RQ 2 QC 3 RQ 3 QC 4 RQ 4 QC 5 RQ 5 奥村泰之: 臨床精神薬理 24(1): 3-11, 2021. 5
MDVの事例 メディカル・データ・ビジョン株式会社: https://www.mdv.co.jp/about/business.html 6
MDVの特徴 ◼全国519の急性期医療機関を対象とし た,入院,外来の診療データベース ◼データ源 ◆DPCデータ (様式1/EFファイル) ◆医科・DPCレセプト ◆一部,検査値データあり ◼総登録者数4995万人 ◼患者の追跡期間の中央値2.2年 7
大きな限界 ◼対象施設は大病院 (DPC病院) ◆診療所で診ることが多い疾患は不向き ◆療養/精神病床入院は不可能 ◼追跡期間は2.2年と短い ◼他院での治療状況がわからない ◆待てない急性期であれば再入院など評価不能 ◼検査値は,10%以下の測定状況 8
よくある大きな落とし穴 ◼全4995万人はデータ源の幅の間に受 診した総患者数に過ぎない ◼医療機関のデータベース化の開始 月・終了月が不明 ◆2017年4月に組み入れられた50病院が,ま るごと2018年4月に消えることを否めない ◆コホートを作るには医療機関コードが必須 だが医療機関コードが提供されなかったり する 9
デザイン・ダイアグラム入門 デザイン・ダイアグラムとは 10
デザイン・ダイアグラム(design diagram) Wang SV et al: Value Health. 2017 Sep;20(8):1009-1022. 11
原典 Wang SV et al: Value Health. 2017 Sep;20(8):1009-1022. Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. Happe et al: J Manag Care Spec Pharm. 2020 Mar;26(3):268-274. 12
改定版 Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 13
定義と機能 ◼ デザイン・ダイアグラムは,一次・二次の時間的ア ンカーを含み,それらの関係を描くものである。 ⚫ A figure that contains 1st and 2nd order temporal anchors and depicts their relation to each other ◼ デザイン・ダイアグラムは,いつどのようにして患 者がコホートに入り,いつどのようにしてベースラ イン特性が定義され,いつフォローアップが始まり 終わるのかを明確にする。 ⚫ This diagram will provide clarity about how and when patients enter the cohort, baseline characteristics are defined as well as when follow up begins and ends. Wang SV et al: Value Health. 2017 Sep;20(8):1009-1022. 14
時間的アンカーの3分類 種類 定義 ベースアン カー カレンダーの日付でデータ源を指定する もの 一次アンカー 患者ごとに特有の日で,研究への組み入 れ日 (基準日) を指定するもの 二次アンカー 患者ごとに特有な日で,一次アンカーを 基に相対的に指定するもの Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 15
ベースアンカーの種類 種類 定義 データ抽出日注 日々変更のあるデータ源からデータの Data extraction date 抽出を行った日付 データ源の幅注 研究対象集団を作ることができるデー Source data range タ源の開始日と終了日 研究期間 Study period 曝露,適格基準,共変量,アウトカム, フォローアップを含む解析に使用する データセットの開始日と終了日 注 デザイン・ダイアグラムの中では,必ずしも含めないが報告する必要がある (と主張されている) Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 16
一次アンカーの種類 種類 定義 コホート組み入れ日/基準 日 研究対象集団として患者が組 み入れられた日 Cohort entry date/index date アウトカムイベント日* Outcome event date アウトカムイベントが生じた 日 * ケース・クロスオーバーデザインや症例対照研究の場合に該当する Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 17
二次アンカーの種類 種類 定義 新規の曝露であることを規定する 曝露のウオッシュアウト期間 Washout window for exposure ための期間 アウトカムのウオッシュアウト 新規のアウトカムであることを規 期間 定するための期間 Washout window for outcome Covariate assessment window 患者の除外基準を評価するための 期間 患者の共変量を評価するための期 間 曝露の評価期間 曝露の状態を評価するための期間 除外基準の評価期間 Exclusion assessment window 共変量の評価期間 Exposure assessment window 追跡期間 Follow-up window アウトカムの発生を評価するため の期間 Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 18
デザイン・ダイアグラム入門 ベースアンカー 19
ベースアンカーの種類 種類 定義 データ抽出日注 日々変更のあるデータ源からデータの Data extraction date 抽出を行った日付 データ源の幅注 研究対象集団を作ることができるデー Source data range タ源の開始日と終了日 研究期間 Study period 曝露,適格基準,共変量,アウトカム, フォローアップを含む解析に使用する データセットの開始日と終了日 注 デザイン・ダイアグラムの中では,必ずしも含めないが報告する必要がある (と主張されている) Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 20
ベースアンカーのイメージ データ抽出日 データ源の幅 研究期間 データ更新間 隔 21
ベースアンカーの情報源 日本薬剤疫学会 (https://www.jspe.jp/committee/kenkou-iryou/) 22
Take Home Messages ◼ データ源の幅はデータセットによる ◼ 施設由来データ (MDV/RWD-DBなど) は,施設ごと のDBへの登録開始日と終了日に依存する ◼ 保険者由来データ (DeSC/JMDCなど) は,保険者ご とのDBへの登録開始日と終了日に依存する ◼ NDBは特異的に,保険者ごとのDBへの登録開始日と 終了日に依存しない 23
デザイン・ダイアグラム入門 一次アンカー 24
一次アンカーの種類 種類 定義 コホート組み入れ日/基準日 研究対象集団として患者が組 Cohort entry date/index date み入れられた日 アウトカムイベント日* Outcome event date アウトカムイベントが生じた 日 * ケース・クロスオーバーデザインや症例対照研究の場合に該当する Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 25
事例①PECO P: 心血管イベントの高リスク の2型糖尿病患者におけるリナ グリプチンあるいグリメピリ ドの新規使用者 (基準日) 現在 E: リナグリプチン使用 C: グリメピリド使用 未来 O: 心血管イベント Patorno et al: Diabetes Care. 2019 Dec;42(12):2204-2210. 26
事例①一次アンカー コホート組み入れ日 2011年5月から2015年9月の間のリナグリ プチンあるいはグリメピリドの初回処方 日 Day 0 Patorno et al: Diabetes Care. 2019 Dec;42(12):2204-2210. 27
事例②PECO P: 精神病床に入院した統合失 調症・双極性障害の患者 (基準 日) 現在 E: 退院直後の精神科受診 C: 退院直後の精神科未受診 未来 O: 精神病床への再入院 Okumura Y et al: Psychiatry Res. 2018 Dec;270:490-495. 28
事例②一次アンカー データベース加入の保証期間 データベース加入の保証期間 共変量の評価期間 曝露の評価期間 追跡期間 2013/1/1 2014/4/1 2015/3/31 入院日 2016/3/31 2016/9/30 退院日 2014年4月から2015年3月の間における統合失調症/双 極性障害の診断を有する精神病床への新規入院 Okumura Y et al: Psychiatry Res. 2018 Dec;270:490-495. 29
事例③PECO P: 75歳未満の患者 E: 急性呼吸器感染症あり 過去 C: 急性呼吸器感染症なし 症例期間 現在 O: 急性心筋梗塞の新規発症 (基 準日) 対照期間 Meier CR et al: Lancet. 1998 May 16;351(9114):1467-71. 30
事例③一次アンカー イベント日 急性心筋梗塞 Day 0 Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 31
Take Home Messages ◼ カレンダーの日付ではなく,患者ごとに特有な日に より基準日を定義する ◼ 病名付与日,処方日,検査日,手術日,入院日,退 院日などが頻用される ◼ 基準日をDay 0と表現することが多い注 注在院日数をアウトカムとした研究であると,基準日をDay 1と表現した方がわかりやすいことがある ◼ 基準日の設定前に除外基準を適用するか,基準日の 設定後に除外基準を適用するか,順序の明示が必要 32
デザイン・ダイアグラム入門 二次アンカー 33
二次アンカーの種類 種類 定義 新規の曝露であることを規定する 曝露のウオッシュアウト期間 Washout window for exposure ための期間 アウトカムのウオッシュアウト 新規のアウトカムであることを規 期間 定するための期間 Washout window for outcome Covariate assessment window 患者の除外基準を評価するための 期間 患者の共変量を評価するための期 間 曝露の評価期間 曝露の状態を評価するための期間 除外基準の評価期間 Exclusion assessment window 共変量の評価期間 Exposure assessment window 追跡期間 Follow-up window アウトカムの発生を評価するため の期間 Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 34
曝露のウオッシュアウト期間の事例 曝露のウオッシュアウト期間 リナグリプチンあるいはグリメピリドの処方なし Day [-180, -1] Patorno E et al: Diabetes Obes Metab. 2020 Apr;22 Suppl 3(Suppl 3):45-59. 35
既使用者バイアス(prevalent-user bias) ◼ 既使用者は,薬剤の曝露により生存している患者である ため,既使用者を含める研究では曝露初期にイベントを 発生した患者が自動的に除かれることになる。その結 果,曝露の時間経過によりイベント発生リスクが異なる 場合に,バイアスが生じることになる。 ◼ 既使用者と新規使用者の両者を含める研究では,曝露群 と対照群に占める既使用者の割合が異なるため,選択バ イアスが生じることになる。 ◼ 既使用者における共変量は,組み入れ以前の治療の影響 を受けるため,曝露とアウトカムの因果の中で中間変数 となる。その結果,どのような共変量調整法を使用して もバイアスが生じることになる。 Gokhale M et al: Diabetologia. 2020 Sep;63(9):1694-1705 36
アウトカムのウオッシュアウト期間の事例 アウトカムのウオッシュアウト期間 (急性心筋梗塞) Day [-∞, -1] Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 37
除外基準の評価期間の事例 除外基準の評価期間 (3年超前からデータの存在) Day [-1095, -1] Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 38
共変量の評価期間の事例 共変量の評価期間 (年齢,性別) Day [0, 0] Patorno E et al: Diabetes Obes Metab. 2020 Apr;22 Suppl 3(Suppl 3):45-59. 39
曝露の評価期間の事例 曝露の評価期間 180日以内に3回以上の対象薬処方 Day [0, 180] Schneeweiss et al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 40
追跡期間の事例① 追跡期間 Day [1, 打ち切り注] 注 アウトカム発生日,対象薬の中止・変更日,死 亡日,データベース離脱日,介護施設入所日,研 究期間の終了日のいずれかのうち最も早いもの Patorno E et al: Diabetes Obes Metab. 2020 Apr;22 Suppl 3(Suppl 3):45-59. 41
追跡期間の事例② 追跡期間 Day[3回目の処方日, 打ち切り注] 注 死亡日,データベース離脱日,研究期間の終了 日のいずれかのうち最も早いもの Schneeweiss eta al: Ann Intern Med. 2019 Mar 19;170(6):398-406. 42
留意事項①データベース加入の保証期間 (enrollment window) データベース加入の保証期間 データベース加入の保証期間 共変量の評価期間 曝露の評価期間 追跡期間 2013/1/1 2014/4/1 2015/3/31 入院日 2016/3/31 2016/9/30 退院日 2014年4月から2015年3月の間における統合失調症/双 極性障害の診断を有する精神病床への新規入院 Okumura Y et al: Psychiatry Res. 2018 Dec;270:490-495. 43
留意事項②残薬への対処法(stockpiling) ◼リフィルが早まった場合における残 薬への対処法 7日分 (2日重複) 7日分 2日追加 Go AS et al: Ann Intern Med. 2017 Dec 19;167(12):845-854 44
留意事項③曝露の猶予期間(grace period) ◼想定されるよりも処方間隔が空く場 合に,曝露が継続しているとみなす 方法 処方 (7日間) 処方なし (7日間) 処方 (7日間) 処方 (21日間) Go AS et al: Ann Intern Med. 2017 Dec 19;167(12):845-854 45
留意事項④追跡期間に影響する期間 期間の種類 誘導期間(induction period) 潜伏期間(latent period) 持ち越し期間(carry-over period) 定義 薬剤がアウトカムに影響する ために必要な期間 アウトカムの発現から診断ま での期間 薬剤が体内に残存している期 間 Lund et al: Curr Epidemiol Rep. 2015 Dec;2(4):221-228. 46
事例①抗菌薬処方と アナフィラキシー反応 処方終了日=追跡終了日 処方開始日=追跡開始日 誘導期間 (0日) 潜伏期間 (0日) Lund et al: Curr Epidemiol Rep. 2015 Dec;2(4):221-228. 持ち越し期間 (0日) 潜伏期間 (0日) 47
事例②抗うつ薬処方とがん診断 処方開始日 誘導期間 (180日) 追跡開始日 潜伏期間 (180日) 処方終了日 追跡終了日 潜伏期間 (180日) 持ち越し期間 (3日) Lund et al: Curr Epidemiol Rep. 2015 Dec;2(4):221-228. 48
デザイン・ダイアグラム入門 デザイン・ダイアグラム改定版 49
患者データの観察可能期間を重ねる ◼暗い色の実線…観察可能な期間 ◼暗い色の点線…部分的に観察可能な期間 ◼明るい色の実線…観察できない期間 Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 50
事例PECO P: COVID-19による入院患者 (基準日) E: ファモチジン使用 現在 C: ファモチジン非使用 未来 O: 入院30日以内の死亡 (打ち切り: 死亡,退院,研究期間の終了) Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 51
通常のデザイン・ダイアグラム Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 52
改定版デザイン・ダイアグラム データ源が米国レセプトだけの場合 曝露の評価期間 入院日の処方は包括算定のため観察できない Day [0, 0] Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 53
改定版デザイン・ダイアグラム データ源が電子カルテだけの場合 曝露のウォッシュアウト 入院前の処方は他院のものは観察できない Day 0 Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 54
改定版デザイン・ダイアグラム データ源が統合レセプト・電子カルテの場合 4つの情報源が全体的に観察可能 ・外来の診断・予後・処方 ・外来の検査 ・入院の診断・予後・処方 ・院内死亡 Wang SV, Schneeweiss S: Clin Epidemiol. 2022 Apr 29:14:601-608. 55
Take Home Messages ◼ 二次アンカーは「日」単位で相対的に設定する ◼ 曝露のウオッシュアウト期間を設けたデザインが標 準的 ◼ アウトカムが質的変数の場合は,アウトカムが基準 日に発現していないことを確認する ◼ 加入者台帳のないDBではデータベース加入の保証期 間を意識する ◼ 薬剤とアウトカムの特徴を基に,誘導期間・潜伏期 間・持ち越し期間を意識する ◼ 観察可能期間を被せる 56
研究計画書テンプレート 57
研究計画書のテンプレート Wang et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2022 Oct 10. doi: 10.1002/pds.5507. 58
構成 1. 2. 3. 4. 5. 6. 標題 要旨 修正履歴 タイムライン 研究の背景と研究実施の合理性 研究疑問 Wang et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2022 Oct 10. doi: 10.1002/pds.5507. 59
構成 7. 研究法 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 研究デザイン デザイン・ダイアグラム セッティング 変数 統計解析 データ源 データ管理 品質管理 研究サイズと実施可能性 Wang et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2022 Oct 10. doi: 10.1002/pds.5507. 60
構成 8. 方法の限界 9. 倫理的事項 10. 有害事象の報告 11. 引用文献 12. 付録 Wang et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2022 Oct 10. doi: 10.1002/pds.5507. 61
テンプレートと模擬例の入手先 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pds.5507?af=R 模擬例 テンプレート Wang et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2022 Oct 10. doi: 10.1002/pds.5507. 62
模擬例の一覧 Files Example 1 Comparative Eff (word) Use case Empagliflozin versus DPP4i on 3P-MACE Question Effectiveness New cancer therapy compared to standard of care Pioglitazone and risk of bladder cancer Topiramate and oral clefts Palivizumab and RSV Effectiveness Example 1 appendices (excel) Example 2 Cancer new vs standard of care (word) Example 3 Case-control (word) Example 4 Pregnancy Safety (word) Example 5 SCCS effectiveness (word) Safety Safety Effectiveness What is unique Existing protocol was reconstructed with more details added to match expectations in harmonized template (cohort study) Harmonized template used for new protocol in development (cohort study) Nested case-control design Pregnancy cohort study with more complexity in design parameters Self-controlled design Wang et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2022 Oct 10. doi: 10.1002/pds.5507. 63
日本語の模擬例 テンプレート 模擬例 深澤俊貴 他: 薬剤疫学 28(1): 17-35, 2023. https://doi.org/10.3820/jjpe.28.17 64
研究計画書テンプレート 実例 65
妊娠中の抗精神病薬の有害事象 https://catalogues.ema.europa.eu/node/4035/administrative-details https://catalogues.ema.europa.eu/system/files/202404/Antipsychotics%20in%20pregnancy%20and%20the%20risk%20of%20adverse%2 0pregnancy%20outcomes.pdf 66
1. 標題 Title 標題 Research question & Objectives 研究疑問 Protocol version 版 Last update date 最終更新日 Contributors 共同研究者 Antipsychotics in pregnancy and the risk of adverse pregnancy outcomes - a nationwide study 1) To assess the association of antipsychotic medication use with spontaneous abortions (primary) 2) To assess the association of antipsychotic medication use with other adverse pregnancy outcomes (secondary) V1 30/04/2024 Primary investigator: Prof Hedvig Marie Egeland Nordeng, PhD. Professor and Head, PharmacoEpidemiology and Drug Safety (PharmaSafe) Research Group, Department of Pharmacy, University of Oslo, Oslo, Norway 67
1. 標題 Study registration 研究登録 Site: We plan to register the study in the HMA-EMA Catalogue of real-world data studies. Sponsor 資金源 Identifier: Organization: iAPOGEE program, Pharmacoepidemiology and Drug Safety Research group, Department of Pharmacy, University of Oslo, Norway Conflict of interest 利益相反 Contact: Hedvig Nordeng None declared 68
2. 要旨 背景 ◼ 妊婦への抗精神病薬使用は近年増加傾向にあり,全妊娠 の0.28%から4.64%に認められる1)。妊娠中の抗精神病薬 使用の安全性に関する先行研究は,主として先天異常に 焦点を当てており,リスク増加は認められていない2,3)。 しかし,自然流産を含むその他の妊娠転帰については, 未解明の部分が多い。デンマークのレジストリ研究によ ると,妊娠中に抗精神病薬を使用した女性は,使用して いない女性と比較して,自然流産のリスクが高い (RR [95%CI]: 1.34 [1.22-1.46]),一方で,妊娠中ではなく妊娠 前に抗精神病薬に処方された女性との比較では,リスク は同程度であった (1.04 [0.93-1.17])。[中略] 69
2. 要旨 研究実施の合理性と目的 ◼ 妊娠初期に抗精神病薬を使用した女性における自然流産 のリスクについては,自然流産を転帰として検討する際 の方法論的課題もあり,未だ解明されていない点が多 い。そこで,本研究では,初期の自然流産を特定するア ルゴリズムを用い,妊娠中における第二世代抗精神病薬 の使用と自然流産との関連を評価することを目的とす る。加えて,他の母体および妊娠転帰との関連について も評価する。 70
2. 要旨 データ源 ◼ 本研究では,ノルウェーの全国レジストリを使用する。このデータは,ノル ウェー出生登録,ノルウェー処方薬データベース,プライマリケアの診療記 録を含む医療費償還管理データ,セカンダリケアの診療記録を含むノル ウェー患者登録を母体の個人識別番号に基づき連結したものである。(後 略) 71
2. 要旨 研究デザイン ◼ 本研究における主要な曝露群は,妊娠初期(妊娠20週ま たは妊娠終了の23日前まで)に第二世代抗精神病薬を使 用した群と定義する。対照群として以下の複数の群を設 定する:①非曝露だが基礎疾患を有する群,②妊娠中に 第一世代抗精神病薬を使用した群,③妊娠前のみ第二世 代抗精神病薬を使用し,その後中止した群。主要アウト カムは自然流産とし,中絶は競合するアウトカムとす る。(後略) 72
3. 修正履歴 Version date 日付 30/04/2024 Version number 版数 1 Section of Amendment or update protocol 修正内容 該当箇所 Final first draft Reason 修正理由 73
4. タイムライン Milestone マイルストーン Date 日付 First feasibility counts フィージビリティチェックを初めて実 施した日 30/09/2023 Protocol finalized 研究計画書の最終版 30/04/2024 Registration of protocol 研究計画書の登録日 Final report of study results 研究報告の予定日 30/04/2024 28/02/2025 74
5. 研究の背景と研究実施の合理性 ◼ 状態について明らかになっていること What is known about condition ◆ 抗精神病薬が処方される精神疾患には,統合失調症,双極性障害,および うつ病性障害が含まれる。これらの疾患はいずれも,妊娠転帰の悪化と関連し ていることが報告されている6–9)。例えば,フランスの人口ベースの研究では, 統合失調症を有する女性は,重度の精神疾患を有さないない女性と比較し て,妊娠合併症と帝王切開の発生率が高いことが報告されている10)。(後 略) 75
5. 研究の背景と研究実施の合理性 ◼ 関心のある曝露について明らかになっていること What is known about the exposure of interest ◆ 多くの国において,妊娠中の抗精神病薬処方率は増加しており,特に 第二世代抗精神病薬が増加傾向にある。その処方率は典型的には 0.17%から1.53%と報告されている1)。ノルウェーでは,妊娠期間中の 抗精神病薬の処方率は1.16%であり,第二世代抗精神病薬が0.24%, 第一世代抗精神病薬が0.95%であった1)。デンマークの報告によれ ば,妊娠中に抗精神病薬を使用した女性は,非曝露群の女性と比較し て自然流産のリスクが34%高いとされているが,妊娠前のみ抗精神病 薬の処方があった女性との比較ではリスクは同等であった。(後略) 76
5. 研究の背景と研究実施の合理性 ◼ 知見のギャップ Gap in knowledge ◆ 妊娠初期の抗精神病薬使用による自然流産のリスクについては未だ明らかでは ない。特に,第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬といった異なる薬剤 クラスのリスクは不明である。 77
5. 研究の背景と研究実施の合理性 ◼ 本研究により期待される貢献 What is the expected contribution of this study? ◆ 本研究は,ノルウェーの全国レジストリを活用し,妊娠中の第二世代抗精神病 薬の使用が先天異常以外の出生アウトカムに及ぼす安全性情報に寄与するも のである。 78
6. 研究疑問 主目的 Objective: 目的 Hypothesis: 仮説 To evaluate the association of exposure to second-generation antipsychotics during pregnancy with the risk of spontaneous abortion while taking into account competing risks of elective terminations. The risk of spontaneous abortion is elevated with secondgeneration antipsychotic use during pregnancy. Population (mention key inclusion-exclusion criteria): 対象集団 All pregnancies identified in the MBRN (Medical Birth Registry of Norway) for pregnancies lasting ≥12 weeks, and primary and secondary care registries for pregnancies lasting <12 weeks. We will use the recently developed pregnancy algorithm by PharmaSafe researchers at UiO including approximately 860,000 pregnancies (2008-2018), including live-births (74.8%), spontaneous abortions (13.1%), elective terminations (11.0%), ectopic pregnancies (0.7%), stillbirths (0.3%), and molar pregnancies (0.1%). Ectopic and molar pregnancies will be excluded. 79
6. 研究疑問 主目的 Exposure: 曝露 Comparator: 対照 Second-generation antipsychotics during early pregnancy (23 days prior to gestational week 20/end of pregnancy), having a mental disease diagnosis up to 6 months prior to pregnancy 1. Unexposed, diseased-comparison group (Unexposed, having a mental disease diagnosis up to 6 months prior to pregnancy, no antipsychotic) 2. Active comparator (First-generation antipsychotics during early pregnancy, having a mental disease diagnosis up to 6 months prior to pregnancy) 3. Discontinuer (Exposed to second-generation antipsychotics only prior to pregnancy, having a mental disease diagnosis up to 6 months prior to pregnancy) Outcome: アウトカム Time (when follow up begins and ends): 追跡期間 Setting: セッティング Main measure of effect: 主たる効果の指標 Spontaneous abortion (=miscarriage) From the start of the pregnancy to 20 weeks of gestation Primary and secondary care (Dx), Outpatient (Rx), MBRN information Hazard Ratio with 95% confidence intervals 80
7.1 研究デザイン ◼ 研究デザイン Research design ◆ コホート研究 ◼ 研究デザイン選択の合理性 Rationale for study design choice ◆ 単一の曝露と複数のアウトカムとの関連を検討する予定であるため,コ ホート研究デザインを採用する。 81
7.2 デザイン・ダイアグラム 82
7.3.1 セッティング 基準日の背景と合理性 ◼ 本研究では,妊娠開始日(最終月経日)を基準日とす る。主解析においては,追跡期間は妊娠終了日または妊 娠20週のいずれか早い方で終了するものとする。 83
7.3.1 セッティング 基準日の操作的定義 Study population name(s) 研究対象集団の名称 Pregnant women Time Anchor Description (e.g. time 0) 時間的アンカーの説明 Start of the pregnancy Number of entries 組入回数 Multiple (women with multiple pregnancies are allowed to contribute multiple times) Incident Type of entry 組入の種類 Washout window ウォッシュアウト期間 See pregnancy algorithm Care Setting ケアセッティング See pregnancy algorithm 84
7.3.1 セッティング 基準日の操作的定義 Code Type コードの種類 Diagnosis position 診断の位置 ICD-10, ICPC-2, MBRN variables Incident with respect to… 何に対する初回か NA Measurement characteristics/validation バリデーション NA Source of algorithm アルゴリズムの出典 MBRN, NPR, KUHR See pregnancy algorithm 85
7.3.2 セッティング 選択基準の背景と合理性 ◼ UiO妊娠アルゴリズムを用いてMBRNに基づき特定され た妊娠12週以上継続した妊娠,ならびに妊娠12週未満に ついて一次および二次医療のレジストリを用いて特定さ れた妊娠が本研究の対象に含まれる。十分な観察期間を 確保するため,対象となる女性は最終月経日の6か月前 から妊娠終了までの間,レジストリに含まれている必要 がある。 86
7.3.2 セッティング 選択基準の操作的定義 (抜粋) Criterion 基準 Pregnancies identified in MBRN, NPR, KUHR Details 詳細 --- Order of application 適用の順序 Before selection of study population Assessment window 評価期間 See pregnancy algorithm Care Setting ケアセッティング See pregnancy algorithm 87
7.3.2 セッティング 選択基準の操作的定義 (抜粋) Code Type コードの種類 See pregnancy algorithm Diagnosis position 診断の位置 See pregnancy algorithm Applied to study population 適用する研究対象集団 Pregnant women Measurement characteristics/validation バリデーション --- Source of algorithm アルゴリズムの出典 pregnancy algorithm 5) 88
7.3.3 セッティング 除外基準の背景と合理性 ◼ 出生の可能性のない妊娠(例:子宮外妊娠および胞状奇 胎)は,主解析から除外する。 89
7.3.3 セッティング 除外基準の操作的定義 (抜粋) Criterion 基準 Ectopic and molar pregnancies Details 詳細 NPR for identification Order of application 適用の順序 After selection of study population by inclusion criteria Assessment window 評価期間 [LMP, GW12] Care Setting ケアセッティング n/a 90
7.3.3 セッティング 除外基準の操作的定義 (抜粋) Code Type コードの種類 ICD-10 Diagnosis position 診断の位置 n/a Applied to study population 適用する研究対象集団 Pregnant women Measurement characteristics/validation バリデーション Pregnancy algorithm5) Source of algorithm アルゴリズムの出典 n/a 91
7.4.1 変数 曝露の背景と合理性 ◼ 無作為化をしていないため,曝露群と比較群の間の比較 可能性を最大化する方法を用いる。精神疾患を有し抗精 神病薬に曝露されていない群は疾患マッチ対照群とし, 精神疾患を有さず抗精神病薬に曝露されていない群は人 口比較群と定義される。第一世代抗精神病薬は,いくつ かの適応(統合失調症,躁病,双極性障害)において第 二世代抗精神病薬と重複するため,積極的比較対照群と して使用される。妊娠前180日以内に使用歴があるが, 妊娠期間中には曝露されていない者は「中止者」と定義 される。対照群の選定は,曝露群と非曝露群の交換可能 性を高める唯一の方法ではなく,測定された交絡因子に ついても調整を行う予定である。 92
7.4.1 変数 曝露の操作的定義 Exposure group name(s) 曝露群の名称 Washout window ウォッシュアウト期間 Exposure: SecondComparator 1: generation antipsychotics Unexposed, diseasedcomparison group Second-generation With mental illness but no antipsychotics antipsychotic up to 6 exposure as listed in months prior to pregnancy Appendix C and during pregnancy. [LMP-180, LMP] Assessment window 評価期間 [LMP, EoP/20w-23]** Disease: [LMP-180,LMP] Care Setting ケアセッティング NA [LMP-180, EoP/20w23]** Disease: [LMP-180,LMP] NA Code Type コードの種類 ATC code ATC code Details 詳細 93
7.4.1 変数 曝露の操作的定義 Exposure group name(s) 曝露群の名称 Diagnosis position 診断の位置 Applied to study population 適用する研究対象集団 Exposure: SecondComparator 1: generation antipsychotics Unexposed, diseasedcomparison group n/a n/a Pregnant women with psychiatric disorder* Pregnant women with psychiatric disorder* Measurement characteristics/validation バリデーション No validation study No validation study Source of algorithm アルゴリズムの出典 Investigator defined Investigator defined Incident with respect to… 何に対する初回か 94
7.4.2 変数 アウトカムの背景と合理性 ◼ 第二世代抗精神病薬を妊娠初期に使用した場合の自然流 産のリスクについては,ほとんど知られていない。 95
7.4.2 変数 アウトカムの操作的定義 (抜粋) Outcome name アウトカムの名称 Spontaneous abortion Elective termination Primary outcome? 主要アウトカムか? Yes No Type of outcome アウトカムの種類 Time-varying (binary) Time-varying (binary) Washout window ウォッシュアウト期間 n/a n/a Care Setting ケアセッティング 入院,外来 入院,外来 Code Type コードの種類 Using variables in MBRN, NPR, KUHR Using variables in MBRN, NPR, KUHR 96
7.4.2 変数 アウトカムの操作的定義 (抜粋) Outcome name アウトカムの名称 Spontaneous abortion Elective termination Diagnosis position 診断の位置 Applied to study population 適用する研究対象集団 Measurement characteristics/validation バリデーション Primary Primary Pregnant women Pregnant women Source of algorithm アルゴリズムの出典 Pregnancy algorithm 5) Pregnancy algorithm 5) 97
7.4.3 変数 追跡期間の操作的定義 Follow up start 追跡開始日 Follow up end* 追跡終了日 Start of the pregnancy (LMP) Select all Specify that apply Date of outcome アウトカムの発現日 Yes Date of death 死亡日 No End of observation in data 観察期間の終了日 No Day X following index date 基準日からの経過日 Yes End of study period 観察期間の終了日 No 20 weeks of gestation * Follow up ends at the first occurrence of any of the selected criteria that end follow up. 98
7.4.3 変数 追跡期間の操作的定義 End of exposure 曝露の終了日 No Date of add to/switch from exposure 増強療法/処方変更の日 No Other date その他の日 No 99
7.4.4 変数 共変量の背景と合理性 ◼ 母親の特性として,人口統計学的特性,併存疾患,併用 薬,妊娠の特徴を測定する。これらは,以下の有向非巡 回グラフ(DAG)に基づき,交絡因子または効果修飾因 子として作用する可能性があるため選定した。 100
7.4.4 変数 共変量の操作的定義 (抜粋) Characteristic 特性 Age Details 詳細 Marital status Married or not Type of variable 変数の種類 Continuous Binary Assessment window 評価期間 [LMP, LMP] [LMP, LMP] Care Setting ケアセッティング n/a n/a Code Type コードの種類 MBRN (numerical) MBRN (categorical) 101
7.4.4 変数 共変量の操作的定義 (抜粋) Characteristic 特性 Age Marital status Diagnosis position 診断の位置 n/a n/a Applied to study population 適用する研究対象集団 Pregnant women Pregnant women Measurement characteristics/validation バリデーション n/a n/a Source of algorithm アルゴリズムの出典 MBRN MBRN 102
7.5. 統計解析 主解析 Hypothesis: 仮説 Maternal use of second-generation antipsychotics during pregnancy increases the risk of spontaneous abortion Exposure contrast: 曝露の比較 Second-generation antipsychotics vs Comparator 1: Unexposed, diseasedcomparison group Second-generation antipsychotics vs Comparator 2: Active comparator Second-generation antipsychotics vs Comparator 3: Discontinuer Outcome: アウトカム Spontaneous abortion Analytic software: ソフトウェア R 103
7.5. 統計解析 主解析 Model(s): モデル Outcome model: HRs will be estimated with Cox proportional hazards regression models. We will use robust standard errors to account for correlation within women who participated with >1 pregnancy in this study. An elective termination could potentially have ended in a spontaneous abortion, if the pregnancy had not already been terminated. This case should be censored, thereby taking competing risks into account. If mother filled a prescription before pregnancy that overlaps LMP, Exposed person-time starts on the index date. Otherwise, exposed person-time will be defined to start on the date of the first prescription fill during pregnancy; thereafter, women were considered exposed throughout follow-up 19) . Propensity score model: Cox regression model, Exposure = covariates Covariates: Maternal age, Marital status, Maternal employment status, Smoking status, Maternal weight, Calendar year, Charlson Comorbidity Index before pregnancy, CNS-acting comedications, Folate use, Previous pregnancy loss, Parity, Maternal infection in pregnancy, Psychiatric disorder-related outpatient visit, Psychiatric disorder-related hospitalization 104
7.5. 統計解析 主解析 Confounding adjustment method 交絡の調整法 Propensity scores will be estimated using Cox regression with the time to exposure as a dependent variable and potential confounders and risk factors for the outcome as independent variables. Including all potential confounders and risk factors for the outcome in the propensity score estimation has demonstrated increased precision without increased bias. After checking the propensity score distribution, we will decide how to deal with the extreme scores. Based on the predicted time-dependent propensity scores, a patient exposed to second-generation antipsychotics during pregnancy at any given time from LMP to EoP will be sequentially matched with a patient who was at risk of being exposed to second-generation antipsychotics and had the nearest propensity score within the same time. In the matched cohort, we will estimate HRs with Cox proportional hazards regression models. Depending on the results of the exploratory data analyses, we may apply other confounding adjustment methods (e.g. pooled logistic regression) of deemed more appropriate with regard to exposure patterns. 105
7.5. 統計解析 主解析 Missing data methods 欠測値の処理法 Subgroup Analyses サブグループ分析 If information derived from the MBRN on covariates is missing, obtain the information from other registries as long as possible. If the information is still missing, imputation by chained equations with the R mice package will be used to address the missing values of aforementioned factors. Datasets will be imputed and results will be summarized over the imputed datasets using Rubin’s rules. Number of datasets will be determined on % of pregnancies with missing values. Subgroup analysis according to subclass or ingredients of second-generation antipsychotics exposure 106
7.5. 統計解析 感度分析1 Sensitivity Analysis 1 What is being varied? How? 何を変えるか?どのように? Why? (What do you expect to learn?) なぜ?何を知ることを期待してい る? Redefined exposure as having at least 2 pharmacy dispensing records for antipsychotics during pregnancy (but exposure start date will not change). Pregnant women who have only one pharmacy dispensing record for antipsychotics during pregnancy will be considered as unexposed. To evaluate the effect of exposure misclassification. Non-differential misclassification generally tends to bias results towards the null. Strengths of the sensitivity The assumption is that women with at least 2 prescriptions filled analysis compared to the primary are more likely to have adhered to at least the first one. 主解析と比較した感度分析の強み Limitations of the sensitivity Reduces sample size of exposed patients. analysis compared to the primary 主解析と比較した感度分析の弱み 107
7.5. 統計解析 感度分析2 Sensitivity Analysis 2 What is being varied? How? 何を変えるか?どのように? Restricting the maternal psychiatric disorder to schizophrenia only. Why? (What do you expect to learn?) なぜ?何を知ることを期待してい る? To reduce the confounding by indication. First generation antipsychotics are not so often prescribed for mania, bipolar disorder. Strengths of the sensitivity Potentially improve exchangeability between the exposure group analysis compared to the primary and comparator. 主解析と比較した感度分析の強み Limitations of the sensitivity Reduces sample size of exposed patients, unexposed diseasedanalysis compared to the primary comparison group, active comparator group. 主解析と比較した感度分析の弱み 108
7.6. データ源 背景と合理性 ◼ データ源の強み Strengths of data source(s): ◆ 本研究は,全国規模のカバレッジを有するレジストリデータを基盤とし ており,10年以上の期間にわたるデータを対象としている。このよう な大規模な人口規模により,複数の個別抗精神病薬について分析が可能 となる。また,母体の特性,ライフスタイル要因,合併症に関する重要 な情報を利用することで,重要な交絡因子を制御できる。本研究のもう 一つの重要な強みは,前向きに登録されたデータである点にあり,これ により想起バイアスや選択バイアスが排除される。さらに,新たに開発 された妊娠特定アルゴリズムを用いて,早期自然流産および選択的中絶 (妊娠12週未満)を特定できる点も本研究の強みである。加えて, MBRNにおけるいくつかの妊娠転帰(早産,出生体重,帝王切開,子癇 前症)に関する情報の妥当性が非常に高いことが示されており,ロバス トな結果を得るための必須要件を満たしている。 109
7.6. データ源 背景と合理性 ◼ データ源の弱み Limitations of data source ◆ 精度を低下させる潜在的な交絡因子が測定されていない。これには,薬 物乱用,不適切な食事,ストレス,アルコール摂取が含まれる。これら は自然流産などの有害転帰のリスク因子となる可能性がある20)。 110
7.6. データ源 背景と合理性 ◼ データ源の出所あるいは公開 Data source provenance/curation ◆ ノルウェーのデータ源は研究で広く使用されており,データ保有者に よってデータ内容,仮定,限界についての詳細な文書が提供されてい る。 111
7.7. データ管理 ◼ データファイルはノルウェーの健康登録機関によって提供され,プロジェクト番 号,バージョン,アクセス日付に基づいてラベル付けされている。これらの健康登 録機関からオスロ大学(UiO)の研究者に提供されたデータは,オスロ大学が運営す るTjenester for Sensitive Data(TSD)と呼ばれる安全なサーバーに保存される。TSD は,申請に基づき,適切なオペレーティングシステムと専用の暗号化されたスト レージおよびCPUリソースを備えた,プロジェクトごとに分離された仮想マシン (VM)を割り当てる。このVMには,登録データから提供されたデータが保存され る。VMは分離されており,UiOネットワーク内でのみアクセス可能で,セキュアな 認証プロトコルを通じてアクセスが制限されている。TSDおよびVMへのアクセス権 を持つのは,特定のプロジェクト番号に登録された研究者のみである。本プロジェ クトは,新しいGDPR(一般データ保護規則)の要件を満たしている。ノルウェーの 健康登録機関は,元のIDをプロジェクト専用の生成IDに置き換えることでデータを 匿名化しつつ,異なるデータソースをリンクする能力を保持してTSDに送付する。 TSDからの結果のエクスポートは厳格に制限されており,プロジェクト管理者との承 認ミーティングで調整される必要がある。また,個人識別にリンク可能な結果のエ クスポートは許可されていない。データのバックアップは,TSDインフラ内でオスロ 大学によって週に複数回,自動かつ定期的に実行される。 112
7.8. 品質管理 ◼ データソースは,登録機関の管理者によって徹底した品 質管理手続きが実施されている。新しいデータが登録機 関の管理者から受領される際,研究グループ内での品質 確認プロセスが行われる。このプロセスには,信頼性の 評価および想定される妥当な値への適合性の確認が含ま れる。問題が発見された場合,それはデータ品質チーム に報告され,解決される。解決の過程では意思決定の記 録が行われ,データのクリーンアップが完了した後に研 究チームへ提供され,研究が実施される。 113
7.9. 研究サイズと実施可能性 ◼ 対象母集団は,2008年から2018年の間におけるノル ウェー全土の出産母集団のデータを含み,約86万件の妊 娠が含まれる予定である。最終的な対象集団の規模は, 各研究目的に応じて異なる選択基準および除外基準に基 づき決定される。全体の抗精神病薬曝露率は1.16%と予 測されており,第二世代抗精神病薬の曝露率は0.24%と 予測される。 114
7.9. 研究サイズと実施可能性 115
8. 方法の限界 ◼ データは研究目的で収集されたものではなく,一部の重 要な変数が収集されていない,あるいは不完全に測定さ れている可能性がある ◼ ランダム化は行われない 116
9. 倫理的事項 ◼ 本研究は観察研究であり,日常診療の一環として収集さ れたデータを二次利用するものである。研究において は,患者への介入,標準的な臨床ケアの変更,またはい かなる手技の実施も行わない。そのため,本研究自体に 起因する有害事象は発生しない。また,提案されている 研究のいずれにおいても患者への直接的な連絡は行わな い。データの取得前に,すべての個人識別情報は暗号化 される。この暗号化により,データセキュリティの侵害 が発生した場合でも,患者の再識別リスクは極めて低い ものとなる。 117
10. 有害事象の報告 ◼ 本研究は観察研究であり,日常診療の一環として収集さ れたデータを二次利用するものである。研究において は,臨床ケアに対する介入や変更を伴わない。そのた め,本研究に関連する有害事象の報告は適用されない。 本研究における安全性評価は,4.4.2節で規定された特定 の安全性アウトカムに限定される。 118
研究計画書テンプレート 好事例の探し方 119
RCT DUPLICATE Initiative Franklin et al: Circulation. 2021 Mar 9;143(10):1002-1013. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.051718. 120
10研究の研究計画書が公開 1. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03936049 2. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04215523 3. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04215536 4. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03936010 5. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03936036 6. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03936062 7. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03936023 8. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03648424 9. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04237935 10. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04237922 121
研究計画書と統計解析計画書が公開 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04237935 122
全ケースで,ダイアグラムが掲載 https://clinicaltrials.gov/ProvidedDocs/35/NCT04237935/Prot_SAP_000.pdf 123
被引用文献検索も役立つ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30856654/ 124
Google検索も役立つ (ダイアグラム) 125
Google検索も役立つ (プロトコル) 126
おわりに ◼デザイン・ダイアグラムの作成は データベース研究の第一歩 ◼好事例をたくさん手に入れよう 127