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July 05, 20
スライド概要
「第19回情報メディア学会研究大会」の発表スライドです。
1977年茨城県生まれ|皇學館大学文学部国文学科准教授・図書館司書課程|つくば→スロベニア→伊勢|図書館情報学(文学館・文学散歩・文学アーカイブ・ウィキペディアタウン・学生協働・読書会)|ビブリオバトル普及委員会代表理事(二代目)済|知的資源イニシアティブLibrary of the Year選考委員長|伊勢河崎一箱古本市
皇 皇 學 學 館 館 大 大 学 学 文 文 学 学 部 部 コ 国 ミ 文 学 ニ 科 ケ 准 教 シ 授 ン 学 科 准 教 授 つ ぶ ツ や イ か タ れ の た デ ビ タ か ブ ら 見 リ た オ 普 及 バ の 進 ト み 方 ル ―― 桐 岡 村 野 裕 喬 行 情 報 二メ 〇デ 二 〇ア 年学 七会 月第 四十 日九 回 土研 究 大 会
1.ビブリオバトルとは ビブリオバトル普及委員会 http://www.bibliobattle.jp/
1.ビブリオバトルとは ビブリオバトルの歴史 ①2007年:谷口忠大がビブリオバトルを考案する。 ②2010年:ビブリオバトル普及委員会が発足する。 ③2010年:大学生・大学院生の全国大会「ビブリオバトル首都決戦」が始まる。 ●2014年より「全国大学ビブリオバトル」に名称が変更される。 ④2012年:「Library of the Year 2012」大賞を受賞する。 ⑤2013年:文部科学省「第三次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」 のなかで言及される。 ⑥2013年:ビブリオバトルをテーマとした本の出版が始まる。 ⑦2014年:高校生の全国大会「全国高等学校ビブリオバトル」が始まる。 ⑧2016年:「第10回高橋松之助記念 文字・活字文化推進大賞」特別賞を受賞する。 ⑨2017年:中学生の全国大会「全国中学ビブリオバトル」が始まる。
2.研究の進め方 研究の目的 ①ビブリオバトルがいつ頃にどの程度話題になっていたのかは、雑誌や新聞 などのメディア報道の記録から探ることができるが、個人レベルにおいて どの程度話題にされてきたのかについては、これまでまとまった研究が されていない。 ②ビブリオバトルの考案から14年目、ビブリオバトル普及委員会の発足から 11年目となり、これまでの普及過程をたどれるような記録が求められる。 ●従来は「どう普及するのか」「どのように実施するのか」という問題意識が主流だったが、 「どのように普及してきたのか」という歴史を問う時期になっている。 ③本研究では、ツイッターに投稿された位置情報付きデータをもとに、 ビブリオバトルに対する世の中の関心の推移を確認する。
2.研究の進め方 研究の方法 ①2012年2月より桐村が収集しているツイッターの位置情報付き データから、文字列のなかに「ビブリオバトル」という単語が 含まれるツイートを、都道府県別・月別にする。 ②2012〜2014年までの初期3年間分の抽出データについて、 都道府県別・月別のツイート数の合計を算出して整理する。 ●2015年4月を境としてツイッターのデータの仕様が変わり、同一条件での データの取得がなされていない。 ●今回の発表では、同一条件でデータを取得できた初期3年間を対象とする。 ③ツイート数と内容を、その当時の実際の普及状況と照らし合わせ ながら、以上のような特徴が見られた背景について検討する。
個人レベルにおいて、どの程度話題にされてきたのかについては、 これまで特にまとまった研究がされてはいない。 ●本研究では、ツイッターに投稿された位置情報付きデータをもとに、 ビブリオバトルへに対する関心の推移を確認する。 3.調査結果 ●2016年:「第10回高橋松之助記念 文字・活字文化推進大賞」特別賞を 受賞した。 ●2016年以降:小中高等学校の国語科教科書に掲載されはじめた。 ②初期の大きなできごととして、2010年から毎年続く全国大会と、 2012年の「Library of the Year 2012」大賞受賞がある。 3. 研究の方法 2012〜2014年までのツイートデータを都道府県別・月別に集計すると、 以下のように整理することができる。 ①2012年2月より桐村が収集しているツイッターの位置情報付きデータから、文字列のなかに「ビブリオバトル」という単語が 含まれるツイートを、都道府県別・月別にする。 ②2012〜2014年までの初期3年間分の抽出データについて、都道府県別・月別のツイート数の合計を算出して整理する。 ③その当時の実際の普及状況と照らし合わせしながら、以上のような特徴が見られた背景について検討する。 4. 調査結果 2012〜2014年までのツイートデータを都道府県別・月別に集計すると以下のようになる。 ※赤い囲い部分の分析は予稿に掲載 2012年 2013年 2014年 合計 都道府県 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計 北海道 2 1 3 青森県 0 岩手県 0 宮城県 1 1 秋田県 0 山形県 0 福島県 0 茨城県 0 栃木県 0 群馬県 0 埼玉県 0 千葉県 0 東京都 1 1 1 12 15 神奈川県 0 新潟県 0 富山県 0 石川県 1 1 福井県 0 山梨県 0 長野県 0 岐阜県 0 静岡県 0 愛知県 3 1 4 三重県 0 滋賀県 1 1 京都府 1 1 2 大阪府 1 1 1 1 4 兵庫県 3 3 奈良県 1 1 1 3 和歌山県 0 鳥取県 0 島根県 0 岡山県 0 広島県 0 山口県 0 徳島県 0 香川県 1 1 愛媛県 0 高知県 0 福岡県 1 1 佐賀県 0 長崎県 0 熊本県 0 大分県 0 宮崎県 0 鹿児島県 1 1 2 沖縄県 0 合計 3 2 3 2 6 3 0 2 14 4 2 41 都道府県 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計 北海道 2 1 1 4 青森県 0 岩手県 1 4 5 宮城県 0 秋田県 0 山形県 0 福島県 0 茨城県 1 1 栃木県 0 群馬県 0 埼玉県 1 1 2 2 千葉県 1 3 東京都 2 1 1 3 2 2 1 1 5 18 神奈川県 2 2 新潟県 0 富山県 0 石川県 0 福井県 0 山梨県 0 長野県 1 1 岐阜県 0 静岡県 0 愛知県 1 1 1 1 4 三重県 1 1 1 滋賀県 1 京都府 1 2 1 3 1 10 18 大阪府 1 1 1 4 1 兵庫県 0 奈良県 1 1 2 和歌山県 0 鳥取県 0 島根県 0 岡山県 0 広島県 2 1 1 1 1 6 山口県 0 徳島県 0 香川県 0 愛媛県 0 高知県 0 福岡県 0 佐賀県 0 長崎県 0 熊本県 0 大分県 0 宮崎県 0 鹿児島県 2 2 沖縄県 0 合計 2 5 5 4 6 5 4 3 5 9 25 1 74 都道府県 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計 北海道 2 10 2 14 青森県 0 岩手県 1 1 宮城県 1 1 秋田県 1 1 山形県 1 1 福島県 0 茨城県 1 1 2 栃木県 0 群馬県 1 1 埼玉県 1 1 千葉県 1 2 3 東京都 2 1 1 1 3 3 3 2 1 6 3 3 29 神奈川県 1 1 1 2 5 新潟県 0 富山県 1 1 石川県 2 1 3 福井県 0 山梨県 1 1 長野県 1 1 岐阜県 0 静岡県 0 愛知県 1 1 1 1 1 5 三重県 1 1 滋賀県 1 1 1 3 京都府 2 3 5 5 5 2 1 3 1 27 大阪府 1 2 2 1 6 兵庫県 1 3 1 1 6 奈良県 1 3 1 3 1 9 和歌山県 0 鳥取県 0 島根県 0 岡山県 0 広島県 4 1 1 6 山口県 2 3 1 徳島県 0 香川県 1 1 愛媛県 1 1 高知県 0 福岡県 1 1 1 1 4 佐賀県 0 長崎県 0 熊本県 0 大分県 0 宮崎県 0 鹿児島県 0 沖縄県 0 合計 7 11 7 8 13 25 15 7 6 18 9 11 137 都道府県 総計 北海道 21 青森県 0 岩手県 6 宮城県 2 秋田県 1 山形県 1 福島県 0 茨城県 3 栃木県 0 群馬県 1 埼玉県 3 6 千葉県 東京都 62 神奈川県 7 新潟県 0 富山県 1 石川県 4 福井県 0 山梨県 1 長野県 2 岐阜県 0 0 静岡県 愛知県 13 三重県 2 5 滋賀県 京都府 47 大阪府 14 兵庫県 9 奈良県 14 和歌山県 0 鳥取県 0 島根県 0 岡山県 0 広島県 12 山口県 3 徳島県 0 香川県 2 愛媛県 1 高知県 0 福岡県 5 佐賀県 0 長崎県 0 熊本県 0 大分県 0 宮崎県 0 鹿児島県 4 沖縄県 0 252 ①赤い線で囲ったところは、 数値が多くなっていた時期。 ②全体的には、以下に示した 6都道府県の数値が大きい。 ●北海道 ●東京都 ●愛知県 ●京都府 ●大阪府 ●奈良県
4.本研究で明らかになったこと ツイート時期の早さ/ツイート数の多さの確認 ①各都道府県にビブリオバトルが到達した時期がわかる。 それぞれの都道府県において、ビブリオバトルを実施し始めていた各団体の 初期の関係者が、開催に合わせてツイートをしていたことが確認できる。 ●2012年2月:室蘭工業大学のサークル「ビブリオバトル室蘭」(北海道) ●2012年2月:堺市立図書館によるイベント開催(大阪府) ●2012年3月:奈良県立図書情報館によるイベント開催(奈良県) ②各都道府県でどの程度話題になっていたかがわかる。 ビブリオバトル関係者が多く集まる機会が催された際に、参加者同士での ツイートが増加していることが確認できる。 ●2012年6月:ビブリオバトル普及委員会「春のワークショップ2012」(愛知県) ●2012年10月:「ビブリオバトル首都決戦2012 ファイナル」(東京都)
4.本研究で明らかになったこと 2013年・2014年のツイート内容からわかること ①2013年11月の東京都では、「ビブリオバトル首都決戦2013」及び カフェ(荻窪6次元)の開催に関係したツイートだった。 ②2013年11月の京都府では、ラジオ番組(FM802)でビブリオバトルが 取り上げられており、考案者・谷口忠大が個人アカウント(@tanichu)で ラジオの感想を連続ツイートしていた。 ③2014年6月の愛知県では、「ビブリオバトル春のワークショップ2014」に 関係したツイートが多く見られた。 ④2014年2月の広島県では、ある大学生がゼミ内で実施するビブリオバトルの 発表者に選ばれたが、「資格の勉強と車校とアルバイトでとても忙しい」 「準備の時間が足りなくて大変だ」という気持ちを連続ツイートしていた。
4.本研究で明らかになったこと ツイートの事例 @tanichu が2013年11月に京都府内でつぶやいた内容 ツイート日時 ツイート内容 2013/11/4 14:18 FM802でビブリオバトルやってるの。 やっぱりビブリオバトルにおいてノンバーバル情報って大事だなぁ。#bibliobattle 2013/11/4 14:19 よくがんばってはるわぁ。 2013/11/4 14:24 ラジオでビブリオバトルはしんどいかなぁ。映像あった方がいいなぁ。 原宿ブックカフェ流れのビブリオバトルは勝者の方にフォーカスしてる。チャンプ本の 2013/11/4 14:26 方にフォーカスを移して欲しいもんだ。勝つのは人でなくて本ですよー。#bibliobattle まぁ、代表してビブリオバトルの実験をしていただいているような心持ちできいてる。 2013/11/4 14:27 >>FMラジオでビブリオバトル。 2013/11/4 21:01 「ビブリオバトルenjoy委員会」
4.本研究で明らかになったこと 3年間のツイート数の総計からわかること ①北海道では、「ビブリオバトル室蘭」「ビブリオバトル春のワークショップ2014」 に関係したツイートが多く見られる。 ②東京都では、2012年および2013年の「ビブリオバトル首都決戦」のほか、 書店(紀伊國屋書店新宿南店や有隣堂)、図書館(千代田図書館や六本木ライブラリー)、 イベント空間(東京カルチャー カルチャー)、カフェ(荻窪6次元)、 本のイベント(神保町古本まつりや一箱古本市)などに関係したツイートが見られる。 ③愛知県では、「ビブリオバトル春のワークショップ」(2012〜2013年にかけて 2年連続で開催した)に関係したツイートが多く見られる。 書店(ちくさ正文館書店本店)や図書館(愛知県図書館と名古屋市図書館)での ツイートもいくつか見られる。
4.本研究で明らかになったこと 3年間のツイート数の総計からわかること ④京都府では、ビブリオバトル考案者・谷口の個人アカウント(@tanichu)の ツイートが半分以上を占めている。 ●47ツイートのうち26ツイートが該当する。 ●ハッシュタグ #bibliobattle とともに、ツイッター上で話題にすることを意識していた。 ⑤大阪府では、堺市立図書館でのイベント開催「ビブリオバトル in さかい」に 関係したツイートのほかは、単発的なものが多く見られる。 ●堺市立図書館は、公共図書館のなかでは全国で2番目に実施した図書館である。 (初開催は2012年1月) ⑥奈良県では、奈良県立図書情報館での開催に関係したツイートが多く見られる。 ●14ツイートのうち8ツイートが該当する。 ●奈良県立図書情報館は、公共図書館のなかでは全国で最初に実施した図書館である。 (初開催は2011年4月)
5.まとめ 今後の課題 ①ツイートデータの収集範囲を広げることで、2011年以前や2015年以降の 状況も調査対象とすることで、普及過程の変化をより細かく分析できる。 ②本研究ではあくまでもツイッターのデータをもとに分析をしているため、 ビブリオバトルが実際に広がっている現実の状況と、そのまま重なるように 対応しているとは言い切れない。 ●あくまでも傾向を捉えただけであるため、実情との照合も必要となる。 ③本研究では、位置情報付きツイートのデータに依拠しているため、 実際に「ビブリオバトル」とツイートされた数はさらに多い。 ●位置情報がついていないツイートから普及状況を補うことも必要となる。 ④「ビブリオ」「ビブバト」などの省略形のほか、“Bibliobattle”という表記も 散見されるため、表現の多様性にも注意を払う。