3.8K Views
December 06, 21
スライド概要
Game Developers Meeting Vol.53 講演時に使用した心理的安全性に関する資料です。
一部公開禁止のスライドは変更しています。
https://gdm53online.peatix.com/
株式会社ヘキサドライブの資料共有用アカウントです。 公式ブログ:https://hexadrive.jp/hexablog/ note :https://note.com/hexadrive
「私たちのチームは心理的安全性が高いです!」それホント? 株式会社ヘキサドライブ 森田 和則
自己紹介 森田 和則 R&Dグループ ヘッド QAエンジニア / スクラムマスター 【略歴】 2005年にゲームプログラマーとしてーム業界へ。 2018年11月に株式会社ヘキサドライブに合流。 前職でリードプログラマー/マネージャーを経験した後、QAエンジニアに。 現職でもQAエンジニアとして採用されたが、マネージャーを経て、 R&Dグループのヘッドの立場に 【社外活動】 ・CEDEC運営委員 セッションWG プロダクション分野担当 ・コミュニティ「スクラム道関西」代表 ・スクラムフェス大阪実行委員 【キーワード】 コーチング、ファシリテーション、サーバントリーダーシップ アジャイル、スクラム、心理的安全性、チームビルディング
スクラム道関西 隔週開催のオープン・ジャム(を2019年までやってました) 年2回の Scrum Boot Camp (を2019年までやってました) アジャイルラジオ その他いろいろ
Scrum Fest Osaka 2021 @ online 2019年 大阪にて開催 2020年 19の全国各地・コミュニティを集めてオンライン開催 2021年 今年もオンライン開催しました!
心理的安全性についてのワークショップや登壇 2017/11 - スクラム道関西 スクラムナイト #9 2018/1 - Regional Scrum Gathering Tokyo 2018 2019/9 - CEDEC 2019
心理的安全性とは
心理的安全性の誤解 誰にも指摘されない 批判されない 仲が良い 無理しない 出来る事だけやる 必ず良い物が作れる
心理的安全性とは、Psychological Safetyを和訳した心理学用語 メンバー一人ひとりが、気兼ねなく発言でき、 「本来の自分を安心してさらけ出せる」 と感じられるような雰囲気や場、状態 Photo by Cherrydeck on Unsplash
2012年 “Project Aristotle” - Google 2016年 “What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team” - Charles Duhigg The New York Times Magazine
プロジェクトアリストテレス Googleで行われた “チームのパフォーマンス"に関する 研究 「Googleにおいて、 高いパフォーマンスの チームを作るには?」 影響する5つの因子
2012年 “Project Aristotle” - Google 2016年 “What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team” - Charles Duhigg The New York Times Magazine
2012年 “Project Aristotle” - Google 1965年 1999年 “Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams” - Amy C. Edmondson Administrative Science Quarterly 2016年 “What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team” - Charles Duhigg The New York Times Magazine
2012年 2016年 “Project Aristotle” - Google 1965年 1999年 “Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams” - Amy C. Edmondson Administrative Science Quarterly 2012年 “What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team” - Charles Duhigg The New York Times Magazine 2017年 2014年 2018年 2021年
心理的安全性が低い状態 発言する事で、 同僚、リーダーや上司が気分を害してしまい、 叱責や、無能扱いされたりするのではないか。 評価が下がったり、職を失うのではないか といった不安がある。 それならば言わないでおこうと、 多くのスタッフが考えている状態 = 保身
不安 無知だと思われないか? 無能だと思われないか? ひとりでなにも出来ないと思われるのが怖い ネガティブだと思われないか? そんな事も知らないのかと思われそうで聞けない 批判ばかりで難癖をつけたがる人だと思われないか 邪魔ばかりする人間だと思われないか? 人の作業の邪魔になると思って聞けない エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳, チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ, 英治出版, 2014年.
つまり 意見を言えない 質問できない 助けてと言えない 提案ができない ミスを報告できない
心理的安全性に関する 意識調査 エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳、村瀬俊朗 解説、 恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす, 英治出版, 2021年.
心理的安全性が高いと リスクある行動をとっても、 このチームなら大丈夫だと信じられる 不確かなことでも、質問・指摘し合える 非を認める事ができる 失敗をおそれず皆で挑戦できる
心理的安全性が高いと 耳が痛い話も 言われるし 言う
言える化 Lv1 Lv2 Lv3 • 思い込みを取り除き、気軽に発言できる • 不確かな事でも発言できる • 相談が出来る • 「助けて」と言える • 問題や間違いを指摘しあえる
より高みを目指し、安心して斬り合える Photo by Ina Zhynko on Unsplash
言える化を始める為には コミュニケーション量・接触タイミングを増やす 質は大切だが、まずは質よりも量 信頼を得る必要がある 相互理解 相手が何を考えているのか、何を大切にしているのか 自己開示
相互理解/相互信頼を得るには 相手を知る・自分を知る 趣味、価値観やこだわり、モチベーションの源泉 直接業務に関わらないがパーソナルな部分 謙虚、尊敬、信頼 (「Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか」より) チームについて考える 良いチームとは何か? 私たちの”失敗”とは何か? 私たちはどうなりたいのか?
相互理解に役立つツール 自己紹介系 偏愛マップ (斎藤 孝著、偏愛マップ―キラいな人がいなくなる コ ミュニケーション・メソッド, NTT出版, 2004年.) パーソナルマップ (出自:Management 3.0) 雑談系 1分間スピーチ(出自: Tigerspike Tokyo) ブレイクタイム 自己紹介ボード
まだある誤解や困った事 すぐに“心理的安全性が無いからだ”と言う 心理的安全性のせいにして本質を見失う 心理的安全性高いよね?ね?と一方的に言う ヒエラルキー上位者と現場の意識の乖離
オフィスワークとリモートワークの違い
オフィスワークで自然に出来ていた事 自席と会議室の移動中に会話ができた 相手、チームの状況をなんとなく察する事が出来た 質問や確認、会議後にちょっとした立ち話ができた 聞く耳を立てておいて、ヘルプに入る事が出来た 今話しかけてよさそうか、確認がしやすかった 忙しい相手を見かけた瞬間、“ちょっと後で…”と言えた 相手が捕まらないという場合でも割り込みがしやすかった
テレワークで起きたこと 自席と会議室の移動中に会話ができた 相手、チームの状況をなんとなく察する事が出来た ビデオ会議に集まったらすぐ会議。終わったら切断 自然に入ってくる情報が減った。 相手が席にいるのか、忙しいのかもわからない 忙しい相手を見かけた瞬間、“ちょっと後で…”と言えた メッセージに既読がつかない。返信が来ない
上手く話せる環境のチームは? コミュニケーションロスが 多くなる事を チームメンバーが認識 対応する方法を チームメンバーで考え 実施出来ている
同期タイミングを強制的に増やす 常時ビデオ会議接続 声を掛けたら反応できるような環境を作る為に常時接続 (作業し)ながら会 無言でもOK。業務をしながらビデオ会議を接続する 朝礼、終礼の間に設置 雑談やコミュニケーションOK ちょっと聞いてみようを気軽にしやすく
質問しやすいと思える約束(ルール)を作る 質問歓迎な時間帯を用意する その時間帯は質問して良いんだと思いやすくなる リマインドのルールを決める これどうなってますか?と聞きやすくなる
わかるけど、 それが、上手く行かない… Photo by Nik Shuliahin on Unsplash
リーダーシップ “心理的安全性は、 個人の性格の違いによるものではなく、 むしろリーダーが生み出すことができるし、 生み出す努力をすべき職場の特徴によって 生じるということなのである。“ エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳, チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ, 英治出版, 2014年.
意義や目的、なぜ大切だと考えているのか伝える Photo by Austin Distel on Unsplash
試して、ゆらぎを起こす
関係性を高める為に“ふりかえり” 心的安全性を高める為に”行動科学マネジメント”
ふりかえり ふりかえりは、カイゼンを行うだけでは無い 全員で立ち止まり、視野を広げる チームを成長させる
ふりかえりの目的 チーム全体が、行動可能な改善策を探し、試す勇気を得ること。 チーム全体が、これまでの行動を思い返し、新たな気づきを得ること。 チーム全体が、やってみてうまくいった行動を、チームに定着させること。 チーム全体が、メンバーの多様性を受け入れ、信頼関係を築くこと。 プロジェクトファシリテーション 実践編 ふりかえりガイド 天野 勝 http://objectclub.jp/download/files/pf/RetrospectiveMeetingGuide.pdf CC BY 2.0
行動科学マネジメント 良い行動が増えるかどうかは、行動の結果次第。 行動にフォーカスし、良い行動を繰り返してもらえるようにする。 行動意欲を上げ、 「しなければいけない(Have to)」から 「やりたい(Want to)」に 変えていくメソッド 石田 淳著, マンガでよくわかる 教える技術2 <チームリーダー編>,かんき出版
上司への報告 A:スケジュールが遅れる事になりました L:なぜ遅れるんだ!! 報告した事によって 責められると認識する
上司への報告 A:スケジュールが遅れる事になりました L:なぜ遅れるんだ!! 報告してくれてありがとう。何があった? 報告すると言う“行動は望ましい”と認識 (理由を聞いて結果責められる事はあるかも)
心理的安全性を高め、グループからチームへ Photo by Alora Griffiths on Unsplash
参考文献一覧 【Webサイト】 Google, 「効果的なチームとは何か」を知る, re:Work, 閲覧日 2019-08-21, https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-teameffectiveness/steps/introduction/ 【書籍】 エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳, チームが機能するとはどういうことか ― 「学習 力」と「実行力」を高める実践アプローチ, 英治出版, 2014年. エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳、村瀬俊朗 解説、恐れのない組織――「心理的安全 性」が学習・イノベーション・成長をもたらす, 英治出版, 2021年. Brian W. Fitzpatrick著、Ben Collins-Sussman著、角 征典訳, Team Geek ―Googleのギー クたちはいかにしてチームを作るのか, オライリージャパン, 2013年. 石田 淳著, マンガでよくわかる 教える技術2 <チームリーダー編>, かんき出版, 2015年.