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May 17, 26
スライド概要
分子力学法は原子を球、結合をばねとして扱い、数値的に3次元構造や結合の伸縮振動、分子の安定性を予測します。エネルギーは結合距離(伸張)、結合角度(曲げ)、二面角(ねじれ)および非結合相互作用(ファンデルワールス力や水素結合)に分解し、レナード‑ジョーンズポテンシャルなどで表現します。代表的な力場としてMM2‑MM4、MMFF94、UFF、AMBER、CHARMMがあり、各々が異なる関数と係数で最適化された構造を提供します。MM4を用いた計算例では、エタンのC‑C結合距離変化、プロパンの結合角変化、ブタンの二面角変化、6員環の軸位とエクアトリアル位の安定性比較を行い、距離短縮や角度狭小がバンドワールス相互作用を増大させ、エネルギーに反映されることを示しています。また、非結合ペア間の距離とエネルギーを解析し、どの原子間で反発が起きているかを可視化します。分子力場計算のメリットは計算速度が速く、大規模分子やコンフォメーション探索に適し、化学者にとって結合歪みや相互作用が直感的に把握できる点です。一方、パラメータ化されていない官能基を含む分子では誤差が大きく、電子遷移や相関効果は扱えないというデメリットもあります。
zennでも記事を書いています。
https://zenn.dev/poclab_techblog/articles/what_is_molecular_mechanics
https://zenn.dev/poclabweb/books/chemoinfomatics_theory_descriptor/viewer/lesson06_020_computational_chemistry
横浜国立大学化学生命系学科にて、化学と情報科学に関わる研究(ケモインフォマティクス)を行っています。 無料で読めるケモインフォマティクス入門書を執筆中です。 https://zenn.dev/poclabweb?tab=books データ駆動型のアプローチを通じて、新しい分子と材料の発見と設計を加速することを目指し、化学構造の情報を整理し世界中の人々がアクセスして使えるようにしていきます。
1 分子力学法とは何か
原子と結合単位まで分解し数値的な手法 原子と結合を球とばねで考える 未知物質 も算出 得られる結果 1. 3次元構造 X線構造解析による結晶構造等で 確かめられる。 2. 結合の伸縮振動 赤外分光法のスペクトル等で 確かめられる。 数値計算 3. 分子の安定性 生成熱などの測定により 確かめられる。 2
分子力学法の計算の基本概念 レナード-ジョーンズ・ ポテンシャルの例 横軸は原子間距離 3 2面角 角度 Ed : 2原子間の結合距離のエネルギー Ea : 3原子間の角度のエネルギー Et : 4原子間の二面角のエネルギー En : 結合を介さない2原子が空間的に接近することによるエネルギー ファンデルワールス力 水素結合 静電相互作用 双極子相互作用
分子力学法の手法色々 代表的な分子力学法に使われる力場の種類としては以下のようなものが挙げら れる。それぞれターゲットとしている用途や分子に特色がある。 • MM2、MM3、MM4 (Molecular Mechanics program 2 or 3 or 4) • MMFF94 (Merck Molecular Force Field 94) • UFF (Universal Force Field) • AMBER (Assisted Model Building and Energy Refinement) • CHARMM (Chemistry at HARvard Macromolecular Mechanics) それぞれの手法で、関数や係数が異なる。 →最適化された後の構造も異なってくるので、計算化学では計算手法や バージョンを書くことが必要。 4
MM4による計算結果 ①エタンのC-C間の 距離を変化 ②プロパンのC-C-C間の 角度を変化 5 ③ブタンのC-C-C-C間の 二面角を変化 ④6員環のアキシアルとエカトリアルの安定性を比較 VS 今回はNorman_Allingerらが 開発したMM4及びMeditを用 いて計算した結果を示す。
①結合距離が変わるとどうなるか? 6 kcal/mol 1,結合距離は、 Stretching に反映される。 2,結合距離が短く なると、 Vander Waals の相互作用が大きく なる。 1.3 Å 1.4 Å 1.5 Å 1.6 Å 1.7 Å
②角度が変わるとどうなるか? 7 kcal/mol 1,結合角度は、 Bending に反映される。 2,結合角度が狭く なると、Vander Waals の相互作用が 大きくなる。 90° 110° 120° 150°
③2面角が変わるとどうなるか? 8 kcal/mol 1. 2面角は、主 にTortionalに反 映される。 2. 1,4 Van der Waalsも重要に なってくる。 0° 45° 90° 135° 180°
kcal/mol ④ 6員環の置換位置は、どちらが安定か? アキシアルは、 Van der Waals の反発がより大 きい 9
どこが反発しているか?を見る。 NON-BONDED DISTANCES, VDW AND EPR ENERGY ATOM PAIR ENERGY H(11), H( 25) 38.2341 H( 14), H( 26) 36.7156 C(3), H(25) 4.2765 C(5), H(26) 4.1281 H(11), C(23) 4.092 H(14), C(23) 3.6692 H(17), H(29) 2.1461 H(8), H(22) 2.0175 ( 345 PAIRS)について計算している。 summaryをみると、計算結果の詳細が記載してある。 10
分子力場計算の特徴 メリット • 計算時間が、分子軌道法の計算よりも速い (巨大分子や配座探索に用いられる。) • どこの結合が歪んでいる、相互作用しているなど、有機化学者にわかりやすい。 デメリット • パラメーター化されていない化合物(官能基)を含む化合物では、ずれが大きい。 • 電子の遷移や相関を含む計算は出来ない。 11