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April 28, 25
スライド概要
2025年4月28日のForkwell Library #92の登壇資料です。
https://forkwell.connpass.com/event/350841/
2019年の初版発売以来、FinOps界隈では“The Book”と呼ばれ、FinOps を学ぶ上でのバイブル的な存在として親しまれている『クラウドFinOps 第2版』の書籍紹介を通じて、グローバルでは組織での実践が当たり前になりつつあるFinOpsの概要と、FinOpsを導入実践するメリットについてご紹介します。
クラウドCoEの何でも屋と呼ばれてました。クラウド資格いっぱい持ってます。ありがたいことに2021年から3年連続でJapan AWS Top Engineersなどに選出いただきました。とはいえAzureもGoogle Cloudも得意です。SRE/FinOpsなどの方法論の普及啓発にも力を入れてます。好きなものは赤いスポーツカーとロックミュージック、趣味は投資と仕事です(え?w
クラウドFinOps ―単なるクラウドコスト改善のその先へ 松沢 敏志 株式会社 日立製作所、シニアクラウドアーキテクト Hitachi Application Reliability Centers(HARC) Japan 兼 Hitachi OSPO Date April 28, 2025 ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
自己紹介 松沢 敏志(まつざわ さとし) シニアクラウドアーキテクト @ 株式会社日立製作所、HARC*1 Japan 兼 Hitachi OSPO*2 | FinOps Foundation Japan Chapter運営 & FinOpsメンター | New Relic Trailblazer 現在: - クラウドサービスやクラウドネイティブ技術を活用したソリューション開発支援 - クラウドエンジニアリング/SRE/FinOpsチームへの技術的なアドバイスや指導 - コミュニティー活動を通じたクラウド技術/SRE/FinOpsの普及促進 過去: in/satoshi-matsuzawa - Linuxカーネルなどのソフトウェア開発、Linux/KubernetesなどのOSSサポート - 国内HCI事業などの企画/立ち上げ、クラウドCoE組織の立ち上げ/推進、など @chacco38 その他: - FinOps業界のバイブル本「Cloud FinOps」の日本語版翻訳者 2021-2023 Japan AWS Top Engineersなどの受賞歴 好きなもの = 真っ赤なスポーツカー x ロック音楽 趣味 = 投資 x 仕事 x 子どもたちと遊ぶこと *1: Hitachi Application Reliability Centersの略、日本市場ではハルクと読む。 *2: Open-Source Program Officeの略 1 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ New! 3/19発売 ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
いきなりですがこの数字は何でしょうか? 49 50 2 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ 49 of the Fortune 50 join FinOps Foundation Community つまり、米国フォーチュン誌が選ぶ 世界で最も称賛される企業ベスト50社の内、 49社は「FinOps」に関する取り組みを始めている 社 出典: FinOps Foundation websites by FinOps Foundation ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
グローバルでは当たり前となりつつある一方で 日本におけるFinOpsの現状は? 世界的インフレ、歴史的にも異例な円安の影響もあって、クラウドコストの削減に関心を持つ企業は多いものの、 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」かのように一時的な改善で満足し、その先のFinOpsの導入、実践まで至っていない (、、、かつてのグローバル市場と同じように) クラウドの普及自体が米国から 5~7年ほど 遅れていると言われている FinOpsの取り組みを 始めている国内企業は 10%前後 と言われている 出典: Gartner、「日本におけるクラウド・プラットフォームのハイプ・サイクル:2024年」を発表 3 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ 世界の歴史が物語っているようにクラウドジャーニーが進めば 日本でもFinOpsの導入、実践へと進むのが自然な流れ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
本日のゴール SPEAKER SIDE: 『クラウドFinOps 第2版』の書籍紹介を通じて、グローバルでは単なるクラウドの利用から一歩先に進み、組織での 実践が当たり前になりつつある「FinOps」の概要と、本書籍の内容について概要をザックリと知っていただくこと (そしてFinOpsに興味を持っていただき、あわよくば書籍を買っ、、、はわわわわ) LISTENER SIDE: • FinOpsとは何か?を知る • FinOpsを実践すると何がうれしいのか?を知る • この書籍がどのような本で、 どんなことを学べるのか?を知る 4 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
改めて、今日紹介する書籍はこれだ! 『クラウドFinOps 第2版』 著者:J.R. Storment、 Mike Fuller 訳者:松沢 敏志、風間 勇志、新井 俊悟、福田 遥、門畑 顕博、小原 誠 発行:株式会社オライリー・ジャパン 販売:株式会社オーム社 本文:488ページ 価格:印刷書籍版・電子書籍版 各4,950円 (税込) 発売日:2025年3月19日 (原著発売日:2023年1月 (初版発売日:2019年12月)) 5 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
『クラウドFinOps 第2版』はどんな書籍か? • 事前の予測が難しいクラウドコストを継続的に最適化しながら、クラウド利用 の費用対効果を最大化するための方法論”FinOps”の包括的な解説書 わい • 2019年の初版発売以来、FinOps界隈では“The Book”と呼ばれ、FinOps を学ぶ上でのバイブル的な存在として親しまれている • 三大クラウドサービスのコスト削減ノウハウなどのテクニカルな側面だけではなく、 FinOpsを組織全体に浸透させ、コスト意識の高い文化を醸成していくための アプローチについても解説している • 業界問わずクラウドを利用するすべての人/チーム、特にコスト効率の改善や クラウド投資の最適化をめざす企業にとって学びの多い内容となっており、 エンジニアだけではなく財務担当者や経営層にもぜひ読んでほしい一冊 • 日本語版オリジナルで書き下ろした独自コラムでは、日本の商習慣に基づく FinOpsの考え方やグローバル企業との違いなども交えた解説を追加 6 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
『クラウドFinOps 第2版』の原著者 著者は、FinOpsの概念を提唱し、普及と標準化に大きく貢献した中心人物であるFinOps Foundation (Linux Foundationプログラムの一部) 創設者兼エグゼクティブディレクターのJ.R. Storment氏と同CTOのMike Fuller氏 J.R. Storment氏 7 Mike Fuller氏 Founder & Executive Director, FinOps Foundation | ex- co-Founder, Cloudability CTO, FinOps Foundation | ex- Principal engineer, Atlassian 画像引用:FinOps X 2024 Image Gallery in FinOps Foundation 画像引用:FinOps X 2024 Image Gallery in FinOps Foundation Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
補足、FinOps Foundationとは FinOps Foundation(F2)は、ベストプラクティス、教育、標準などの提供を通じてFinOpsを実践する人々の支援に 注力するLinux Foundationのプログラムのひとつ、 Slackチャンネルやさまざまなイベントなどを通じてメンバー同士に よる技術的な質疑応答や特定のテーマに沿った議論、最新動向や事例紹介のナレッジ共有などを行っている 出典:FinOps Foundation website in FinOps Foundation 出典:Intro to FinOps slides in FinOps Foundation 8 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ※図内の数値は、2025年3月時点の情報です。 出典:Member Organizations in FinOps Foundation ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
『クラウドFinOps 第2版』の訳者 訳者6名は、それぞれの役割でFinOpsに携わる取り組みをしていましたが、2023年12月に日本で初めて開催され たFinOps Foundation公式ミートアップ@株式会社メルカリがきっかけで出会い、原著に感銘を受けた話と「日本 でFinOpsの正しい理解を広げるには翻訳版が絶対に必要だ!」という共通の熱い思いでつながり、今に至る 松沢 敏志 シニアクラウドアーキテクト 株式会社日立製作所 9 風間 勇志 シニアエンジニアリングマネージャ 株式会社メルカリ Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ 新井 俊悟 COO兼CFO アルファス株式会社 福田 遥 門畑 顕博 小原 誠 シニアアカウントエグゼクティブ アルファス株式会社 執行役員 CTO UPWARD株式会社 シニアソリューションアーキテクト ネットアップ合同会社 ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
『クラウドFinOps 第2版』の目次 第1部 FinOpsの紹介 第3部 Optimizeフェーズ • 1章 • 2章 • 3章 • 4章 • 5章 • 6章 • 7章 • 8章 • 14章 • 15章 • 16章 • 17章 • 18章 • 19章 FinOpsとは何か? なぜFinOpsが必要なのか? 文化的転換とFinOpsチーム FinOpsの共通言語 クラウド請求書の解剖学 FinOpsの導入 FinOps Foundationフレームワーク FinOpsのユーザーインターフェース (UI) 第2部 Informフェーズ • 9章 FinOpsライフサイクル • 10章 Informフェーズ:あなたの現在地はどこですか? • 11章 配賦:すべての費用を割り当てる • 12章 タグ、ラベル、アカウント、あぁ大変! • 13章 正確な予測 Optimizeフェーズ:目標達成のための調整 使用量の低減:使用量の最適化 支払いの低減:料金 (レート) の最適化 コミットメント割引の理解 コミットメントベースの割引戦略の構築 持続可能性(サステナビリティ):FinOpsとGreenOpsの連携 第4部 Operateフェーズ • 20章 • 21章 • 22章 • 23章 • 24章 • 25章 • 26章 • 27章 Operateフェーズ:ビジネスゴールへのチームの適合 コスト管理の自動化 メトリクス駆動型コスト最適化 コンテナの世界におけるFinOps エンジニアとの協力によるFinOpsの実現 他のフレームワークとの結び付き FinOpsの悟りの境地:データ駆動型の意思決定 「秘密の材料」、それはあなた自身 次のスライドから中身についてピックアップして紹介してきたいと思います。 10 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 1章 FinOpsの紹介 FinOpsとは何か? • 1.1 FinOpsの定義 • 1.2 FinOpsヒーローの旅 • 1.3 FinOpsはどこからきたのか? • 1.4 データ駆動型の意思決定 • 1.5 リアルタイムでのフィードバック (いわゆる「プリウス効果」) • 1.6 FinOpsの基本原則 • 1.7 FinOpsをいつ始めるべきか? • 1.8 目的を念頭において開始: データ駆動型の意思決定 • 1.9 本章の結論 ”FinOpsは、エンジニアリング、財務、技術、ビジネスチームがデータ駆動型な 支出決定の協力をし合うことで、組織が最大のビジネス価値を得られるように支援する、 進化し続けるクラウド財務管理の規律および文化的な実践です。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、1.1 FinOpsの定義、 p.4 ザックリ言えば、従来のデータセンターと根本的に異なる消費モデルである「クラウド」の利 用を通じて、最大のビジネス価値を得るための考え方や手法、組織文化の総称 FinOps = 財務(Finance) × DevOps 概念自体は古くからあって時代の流れとともに用語が変化してきた • 2010年代半ば、クラウドの初期の利用者が、クラウド使用量の急激な拡大に対して開始しだした 単にその実践を「クラウドコスト管理」と呼び、その後、「クラウドコスト最適化」が広がり始めた • その後、AWSや他のクラウド事業者が「クラウド財務管理(CFM)」というフレーズを使い始めた • 部門横断的でアジャイルを想像させる後発用語である「FinOps」に置き換えられるようになった 11 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 FinOpsの紹介 2章 なぜFinOpsが必要なのか? • 2.1 • 2.2 • 2.3 • 2.4 正当な理由でのクラウド利用 クラウド支出の加速 FinOpsを導入しない場合の影響 本章の結論 ”(クラウドは)オンデマンド、セルフサービス、スケーラブルであるため、 エンジニアは従来の財務や調達のプロセスを経ることなく、ボタンをクリックしたり コードを1行書いたりするたけで、会社のお金を使うことができます。 その結果、すべての人の役割が変化しました。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、2.2 クラウド支出の加速、p.22 • FinOpsの考え方なしには組織がクラウドを効率的に管理することはできないからで、 クラウドを事業を加速させる手段として扱うのであればFinOpsは必要不可欠な存在 • たとえ積極的なFinOpsの 運用を実施する時間や リソースがなかったとしても、 クラウド支出の割り当て、 追跡、予測の実践だけは 今すぐはじめておくべき ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図2-2 組織は、クラウドによるビジネス価値の向上によって正当化される限り、FinOpsへの投資を継続すべき、p.25 12 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 FinOpsの紹介 3章 文化的転換とFinOpsチーム • 3.1 デミングのビジネス変革 • 3.2 誰がFinOpsを行うのか? • 3.3 なぜ集中型のチームなのか? • 3.4 FinOpsチームがFinOpsを担うので はない • 3.5 FinOpsにおける各チームの役割 • 3.6 新たな協働方法 • 3.7 FinOpsチームはどこに報告をする のか? • 3.8 動機の理解 • 3.9 組織全体にわたるFinOps • 3.10 FinOpsのための人材採用 • 3.11 FinOps文化の実践 • 3.12 本章の結論 “君はクラウドの新たな問題を抱えているわけではない。 君は、自分が望むことを他の人にやってもらうための動機付けという、 古くからある問題を抱えているんだ” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、3.8.11 動機付けの難しさは今に始まったことではない、p.48 • FinOpsチームだけがFinOpsの実践を担うのではない、FinOpsチームはFinOpsの専門 知識を有する他の組織を支援するイネーブリングチームで、組織の隅々までFinOpsの実 践を浸透させるため、再現可能なパターンを組織全体に普及させることをめざす • クラウドに特化した考え方から 一歩引き、本質的な問題に 焦点を当てて他チームが行動 を促進する要因と阻害する 要因を理解し、行動へと促す 施策を実施していくこと ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図3-1 FinOpsをめぐるチームの相互作用、p.37 13 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 4章 FinOpsの紹介 FinOpsの共通言語 • 4.1 共通用語集の定義 • 4.2 基本用語の定義 • 4.3 クラウドプロフェッショナルのための ファイナンス用語 • 4.4 抽象化による理解促進 • 4.5 クラウド用語 対 ビジネス用語 • 4.6 DevOpsと財務部門をつなぐ「万 能翻訳機」の作成 • 4.7 すべての分野に通じる必要はある か • 4.8 ベンチマーキングとゲーミフィケーショ ン • 4.9 本章の結論 “財務部門がクラウドの言葉を理解しやすいように、 物事を金銭で理解する人々に向けてクラウド特有の用語をかみくだき、 他方では、エンジニアリング部門のために財務要件を単純化する。 これがFinOpsチームの仕事です。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、4.6 DevOpsと財務部門をつなぐ「万能翻訳機」の作成、p.66 • 組織内の各部門は、それぞれの専門分野特有の用語を使っているため、効率的な協 働を可能にするにはそれぞれの用語について理解をそろえておくことが重要である • 常にFinOpsチームが会議において 翻訳者を務める必要はないものの、 チーム間コミュニケーションを各チーム が自分たちでできるように、学びを 支援する必要がある • 各部門が他部門で使用される言 語を学ぶほど、会話が良い方向へ 早く至るようになってくる 14 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図6-2 FinOps推進者とペルソナの相互作用、p.96 ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 FinOpsの紹介 5章 クラウド請求書の解剖学 • 5.1 クラウド請求書の種類 • 5.2 クラウド請求の複雑さ • 5.3 請求データの基本的な形式 • 5.4 時よ、なぜ私を罰するのか? • 5.5 小さな部品の合計 • 5.6 クラウド請求データの略史 • 5.7 毎時データの重要性 • 5.8 「1か月」は1か月ではない • 5.9 「1ドル」は1ドルではない • 5.10 請求に影響を与える2つの要素 • 5.11 誰がコストを回避し、誰が料金を 低減すべきか? • 5.12 料金低減の一元化 • 5.13 なぜ使用量の削減を分散化す べきか • 5.14 本章の結論 “AWSのPricing APIから取得できる個別のSKUだけで、79万1,000を超えました。 (中略)私たちはこれまで、これらの請求データの中に毎月何十億もの 個別の料金項目を持つ、大規模なクラウド利用者を見たことがあります。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、5.2 クラウド請求の複雑さ、p.70 • 各クラウドの請求データは、粒度や細部が異なるだけではなく用語も異なり、コミットメン ト割引の適用方法も異なるため、分析するには専門知識が必要、FinOpsチームには データエンジニアリングの役割を果たすためのスキルセットも必要となる • とはいえ、クラウド支出に関する公式は実に単純で、使用量が増えれば支出は増える し、コミットメント割引などで料金を引き下げれば支出も減ることを認識しておくべし 支出 = 使用量 × 料金 「1か月」は1か月ではない • 2月と他の月の日数差によってコスト削減が効果的だったと誤信してしまう事例がよく発生していた 15 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 FinOpsの紹介 6章 FinOpsの導入 • 6.1 告白 • 6.2 レベルごとに異なる経営層への説 明 • 6.3 経営層のスポンサーへの提案 • 6.4 経営層に応じた対応 • 6.5 FinOps推進者が影響を与えなけ ればならない主要なペルソナ • 6.6 FinOpsの導入を促進するための ロードマップ • 6.7 組織アライメントの種類 • 6.8 フルタイム、パートタイム、片手間の 時間:リソースに関するメモ • 6.9 ゼロから設計された複雑なシステム は決して機能しない • 6.10 本章の結論 “機能する複雑なシステムは、常に機能した単純なシステムから進化したものです。 ゼロから設計した複雑なシステムは、決して機能しませんし、 機能するようにパッチを当てるようなこともできません。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、6.9 ゼロから設計された複雑なシステムは決して機能しない、p.106 • 組織に本当の意味での文化変革をもたらすには何年もかかるということをあらかじめ念 頭に置いておく必要がある • まずはシンプルを心がけ、最重要なことから優先的に取り組み、過剰なことはしない。 小さく反復し、着実に成果を上げながら時間をかけて成熟させていくこと ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図6-1 FinOps導入ロードマップ(一部)、p.88 16 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第1部 FinOpsの紹介 7章 FinOps Foundationフレームワーク • 7.1 • 7.2 • 7.3 • 7.4 • 7.5 連 • 7.6 実践のための運用モデル フレームワークモデル ドメインとケイパビリティ フレームワークの導入 他のフレームワーク/モデルとの関 “クラウドを導入するすべての組織は、クラウドコストを管理する仕組みを作る 必要があります。このフレームワークは、クラウドコスト管理のベストプラクティスに従った、 FinOps実践のための運用モデルを提供します。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、7章 FinOps Foundationフレームワーク、p.109 本章の結論 フレームワークの構成要素 • • • • • • 原則 ペルソナ 成熟度 フェーズ ドメイン ケイパビリティ ※最新版では構成要素にスコープが追加されている ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図7-1 FinOps Foundationフレームワーク2022 年度版ポスター、p.111 17 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第2部 Informフェーズ 9章 FinOpsライフサイクル • 9.1 • 9.2 • 9.3 • 9.4 • 9.5 い • 9.6 FinOpsの6原則 FinOpsライフサイクル 考慮事項 どこから始めるべきか? すべての答えを見つける必要はな “FinOpsのライフサイクルはループ状であり、決して終わることはありません。 最も成功している企業は、サイクルを通じて段階的に改善するアプローチを取り、 反復と改善を繰り返すことで、企業に合った最適な方法を見出しています。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、9.2 FinOpsライフサイクル、p.153 本章の結論 • Informフェーズ 企業の支出と支出の出所を把握できるようにするとともにチームに責 任意識を醸成するため、リアルタイムに近いコストデータの可視性を 提供するフェーズ • Optimizeフェーズ 現状のクラウド利用状況の改善点を特定し、次のOperateフェーズ で達成すべきコスト回避とコスト最適化の目標を設定するフェーズ • Operateフェーズ Optimizeフェーズで設定した目標を達成するために、プロセスを継続 的に改善しながらアクションを実行するフェーズ ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図9-1 FinOpsライフサイクル、p.153 18 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第2部 Informフェーズ 10章 • 10.1 味 • 10.2 • 10.3 • 10.4 • 10.5 • 10.6 • 10.7 Informフェーズ:あなたの現在地はどこですか? コンテクストのないデータは無意 まず理解すること 本フェーズでの組織的な業務 透明性とフィードバックループ チームパフォーマンスのベンチマーク 理想的なFinOpsとは 本章の結論 “成熟したFinOpsプロセスを何度も構築したことがあるような 経験豊富なFinOps実践者であっても、FinOpsの成熟度に合わせて、 段階的にプロセスを進め、実践する必要があります。 最初の目標は、簡単に実現できる成果からスキルを覚え、信頼性を築くことです。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、10.1 コンテクストのないデータは無意味、p.164 • FinOpsの実践は、クラウド環境の状態を正確に把握するために、まず質問をすることか ら始まり、この質問をするという行為がこのフェーズのすべてと言っても過言ではない • 最初に答えを出さなければいけないことは、「クラウドの支出は合計でいくらか、それは 将来どうなるか、どんなスピードで支出が増えるか」である • サイクルを重ねながら、より難しい問いかけを行い、常にFinOpsチーム以外のチームの状 況を確認しながら歩幅をそろえて一緒に進むことが重要である 19 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第2部 Informフェーズ 11章 配賦:すべての費用を割り当てる • 11.1 適切に配賦することの重要性 • 11.2 減価償却:発生主義会計の 世界 • 11.3 監査可能性と会計部門との良 好な関係の構築 • 11.4 「想定外の支出によるパニック」 の転換点 • 11.5 共有コストの分配 • 11.6 チャージバック 対 ショーバック • 11.7 目的に適したモデルの組み合わ せ • 11.8 アカウント、タグ付け、アカウント の組織階層 • 11.9 ショーバックモデルの実践 • 11.10 チャージバックおよびショーバック を活用する際の考慮事項 • 11.11 本章の結論 “コスト配賦はビジネス価値とクラウド支出を結ぶ重要な役割を果たします。 各々が自分たちの行動とその影響について認識することで、よりリーンな文化推進し、 (中略)各チームに責任感を持たせます。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、11.1 適切に配賦することの重要性、p.173 • 10章で提起されていた質問に答えられるようにするため、コスト配賦戦略はFinOpsライ フサイクルの中でも重要な要素の1つである • 「まだクラウドコストの改善に焦点を当てる必要がない」というビジネスリーダーやエンジニ アチームの判断は初期段階ではよくあることで、これ自体は問題ではない • ただし、優先度が低いからと支出 効率を計測もせず単純に「無視」 する (=何もしない) のではなく、 計測はした上で「情報に基づく 意図的な無視」からはじめること ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、図11-2 支出の成長と主要なイベント、p.178 20 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第4部 Operateフェーズ 26章 FinOpsの悟りの境地:データ駆動型の意思決定 • 26.1 ユニットエコノミクスと指標 • 26.2 ユニットエコノミクスは必ずしも収 益と関連させる必要はない • 26.3 ユニットエコノミクス指標の計算 • 26.4 支出は良いが、浪費は良くない • 26.5 アクティビティベースのコスト計算 • 26.6 鉄のトライアングルへの回帰 • 26.7 ユニットエコノミクスの計算式に 欠けているものとは? • 26.8 FinOpsをやりきった状態とは? • 26.9 本章の結論 21 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ “FinOpsの悟りの境地とは、組織がビジネス価値に基づき、クラウドコストについて データ駆動型の意思決定を継続的に行える状態に達するということである。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、26.9 本章の結論、p.436 サービスや製品の「単位(ユニット)あたり」の収益性とコストを示す指標(=ユニットエコノミク ス)が健全であるかを測定することで、ビジネスにとって適切であるかを測定可能となる ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
第4部 Operateフェーズ 27章 「秘密の材料」、それはあなた自身 • 27.1 実際のアクションへ “「わが家のスープに『秘密の材料』などないよ。 『秘密の材料』なんて、作り手のことさ」。” ―引用:『クラウドFinOps 第2版』、27章 「秘密の材料」、それはあなた自身、p.437 • クラウドから価値を引き出すゲームに勝つためには、組織内でクラウド支出に影響を与え るすべての人がそれぞれの役割で貢献していく必要がある • その推進役である「FinOps実践者(=あなた自身)」の存在は重要なポジションである • 他のいかなる分野と同様、FinOpsに精通する熟練者が一朝一夕にうまれることはない、 学習にコミットすること、コミュニティへの貢献を始めることからチャレンジしてみよう! FinOpsの世界へようこそ、良い旅を! 22 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
改めて、『クラウドFinOps 第2版』の目次 第1部 FinOpsの紹介 第3部 Optimizeフェーズ • 1章 • 2章 • 3章 • 4章 • 5章 • 6章 • 7章 • 8章 • 14章 • 15章 • 16章 • 17章 • 18章 • 19章 FinOpsとは何か? なぜFinOpsが必要なのか? 文化的転換とFinOpsチーム FinOpsの共通言語 クラウド請求書の解剖学 FinOpsの導入 FinOps Foundationフレームワーク FinOpsのユーザーインターフェース (UI) 第2部 Informフェーズ • 9章 FinOpsライフサイクル • 10章 Informフェーズ:あなたの現在地はどこですか? • 11章 配賦:すべての費用を割り当てる • 12章 タグ、ラベル、アカウント、あぁ大変! • 13章 正確な予測 Optimizeフェーズ:目標達成のための調整 使用量の低減:使用量の最適化 支払いの低減:料金 (レート) の最適化 コミットメント割引の理解 コミットメントベースの割引戦略の構築 持続可能性(サステナビリティ):FinOpsとGreenOpsの連携 第4部 Operateフェーズ • 20章 • 21章 • 22章 • 23章 • 24章 • 25章 • 26章 • 27章 Operateフェーズ:ビジネスゴールへのチームの適合 コスト管理の自動化 メトリクス駆動型コスト最適化 コンテナの世界におけるFinOps エンジニアとの協力によるFinOpsの実現 他のフレームワークとの結び付き FinOpsの悟りの境地:データ駆動型の意思決定 「秘密の材料」、それはあなた自身 中身についてピックアップして紹介しましたがいかがだったでしょうか? 23 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
改めて、『クラウドFinOps 第2版』はどんな書籍か? • 事前の予測が難しいクラウドコストを継続的に最適化しながら、クラウド利用 の費用対効果を最大化するための方法論”FinOps”の包括的な解説書 わい • 2019年の初版発売以来、FinOps界隈では“The Book”と呼ばれ、FinOps を学ぶ上でのバイブル的な存在として親しまれている • 三大クラウドサービスのコスト削減ノウハウなどのテクニカルな側面だけではなく、 FinOpsを組織全体に浸透させ、コスト意識の高い文化を醸成していくための アプローチについても解説している • 業界問わずクラウドを利用するすべての人/チーム、特にコスト効率の改善や クラウド投資の最適化をめざす企業にとって学びの多い内容となっており、 エンジニアだけではなく財務担当者や経営層にもぜひ読んでほしい一冊 • 日本語版オリジナルで書き下ろした独自コラムでは、日本の商習慣に基づく FinOpsの考え方やグローバル企業との違いなども交えた解説を追加 24 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
余談、『クラウドFinOps 第2版』の表紙の動物について • 表紙の動物は、ルリガシラタイヨウチョウ (英名: Blue-headed Sunbird、学 名: Cyanomitra alinae) で、サハラ以南のアフリカ大湖地域に生息 • オスとメスで外見が異なり、オスの方が鮮やかな羽毛を持つ • ハチドリやミツスイと同様に花の蜜を吸う習性を持つ (小さな昆虫も食べる) • アフリカ大陸の象徴的な植物であるアロエ、プロテアなどの多くが、ルリガシラタ イヨウチョウの受粉に依存しており、生態系にて重要な役割を果たしている • 機会があればルリガシラタイヨウチョウを見に、ルワンダのニュングェ国立公園や ウガンダ南西部のブウィンディ原生国立公園などに足を運んでみてください 25 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
最後に、FinOps Foundation Japan Chapter運営より FinOpsコミュニティーへのお誘い ツールベンダー企業 サービスベンダー企業 FinOpsに携わる人々でつながり、 みんなで情報共有、時にはアドバイスを しながら切磋琢磨していきましょー!! ユーザー企業 日本では依然としてFinOpsの知名度は低い状況、 ぜひ一緒に日本の業界を盛り上げていきませんか? ※詳細はこちらをご確認ください!→ https://finops-jp.github.io/ 26 Hitachi | クラウドFinOps―単なるクラウドコスト改善のその先へ ©Hitachi, Ltd. 2025. All rights reserved
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