250619_価値を引き出すための引き算の品質

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June 17, 25

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20250619 jasst nano vol.49

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各ページのテキスト
1.

1 価値を引き出すための 引き算の品質 2025/6/19 JASST NANO VOL.49 @TOSHIMANAPLUS1

2.

2 自己紹介 https://gihyo.jp/book/2020/978-4-297-11061-1

3.

3 はじめに • 発表概要 • 「ソフトウェアテスト技法練習帳」を例にして、 価値を引き出すための「引き算の品質」の考え方を紹介 • 対象 • ものづくりに関わる人 • 発表の目的 • 視聴者が価値を効果的に伝えるためのヒントが得られる

4.

4 もくじ • はじめに • ソフトウェアテスト技法練習帳で目指したところ • 集中してもらうためにできること • 引き算の品質 • おわりに

5.

5 もくじ • はじめに • ソフトウェアテスト技法練習帳で目指したところ • 集中してもらうためにできること • 引き算の品質 • おわりに

6.

6 ソフトウェアテスト技法練習帳の想定 • だれが • テスト技法を学び始めた人 • テストチームのリーダーから書籍を託された人 • どうなるか • 一人で勉強してテスト技法を身に着けられること • どんな特徴があるか • 試行錯誤できる十分な問題数 • 問題ごとの細かな解説

7.

7 ソフトウェアテスト技法練習帳で目指したところ • 解いた人が成長を実感できること • わたし頑張った! • 自分たちのプロジェクトではどうやってテストできるだろうか? • もっとテストについてもっと学んでみたい! • 解いているときに学習に集中できること • 究極的には解いている人を「フロー状態(=ゾーン)」に入れる

8.

8 もくじ • はじめに • ソフトウェアテスト技法練習帳で目指したところ • 集中してもらうためにできること • 引き算の品質 • おわりに

9.

9 【補足】 相手の状況は制御できない • 問題を解く環境は書籍では制御できない • どこで、どのような状況で問題を解くかは本人の自由 • 集中するには環境や本人の状態も重要 • 書籍の範疇で解いている人の集中を引き出す工夫を目指す

10.

10 集中してもらうためにできること • 「意識を集中させる」=「意識を発散させない」 • 意識を発散させる要因を排除する • 集中してもらいたいこと :問題を解くこと • 集中してもらいたくないこと:問題を解くこと以外

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11 意識を発散させないためにやったこと • 文章校正・校閲 • 誤字・脱字をなくす • 文調を揃える(ですます調) • 開きを揃える(例:出来ます→できます) • 単語を揃える(例:組合せ、組み合わせ) • 誤解しやすい表現を避ける(例:以下のとおり…→下記のとおり…)

12.

12 狩野モデル 「満足感」と「物理的充足状況」を 軸とした2次元グラフで表す品質モデル • 魅力的品質要素 • それが充足されれば満足を与えるが, 不充足であってもしかたないと受けとられる • 当り前品質要素 • それが充足されれば当り前ととらえられるが、 不充足であれば不満を引起こす 引用:狩野 紀昭, 瀬楽 信彦, 高橋 文夫, 辻 新一, 魅力的品質と当り前品質, 品質, 1984, 14 巻, 2 号, p. 147-156

13.

13 文章校正・校閲で得られるものはどんな品質か • 「解いている人を『フロー状態(=ゾーン)』に入れる」ものは 魅力的品質に近そう • 文章校正・校閲(「誤字・脱字をなくす」や「文調を揃える」など)で 得られるものは当り前品質に近そう 【主張】 品質要素の「満足度」と「物理的充足状況」による考え方(足し算の品質)では なく、何を伝えるために何を伝えたくないかの考え方(引き算の品質)が適合

14.

14 もくじ • はじめに • ソフトウェアテスト技法練習帳で目指したところ • 集中してもらうためにできること • 引き算の品質 • おわりに

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15 引き算の品質 • 本資料では「要素を減らすことで、 より本質的な価値を引き出す品質の考え方」を指す • 概念は良く知られているが、定義は知らない… • 対になる考え方として足し算の品質が挙がる • 要素を足すことで、価値を高める品質の考え方

16.

16 SN比による例え • 引き算の品質は「伝えたいことのSN比向上」を目指すもの • SN比:目的としている信号(Signal)と雑音(Noise)の比 • 信号→伝えたいこと • 雑音→伝えたくないこと • 伝えたいことを伝えるには、伝えたいことが強く発信する だけでなく、伝えたくないことを発信しないことが望ましい • 一般論として信号を増幅すると、雑音も増幅する 引用:https://www.circuitdesign.jp/technical/about-sn/

17.

17 伝えたくないことの特定 • 伝えるつもりがなくても伝わってしまうことが多い • 一般的に雑音の原因は多様 • 伝えたくないことは意識して排除しないと減らせない • 原因を特定するために違和感を見つけたら言語化する • 違和感がある ≒ 整合性がとれていない • 他の人と共有できたり、違和感を具体化できるようになり、原因特定しやすくなる

18.

18 表現の整合性 • 表現の整合性をとることで、表現に対する認知負荷が下がる • 不要な認知負荷がないことで、集中しやすくなる • コミュニケーションでは、相手は説明がないことに対しても 対象がどのようなものかのルールを推察しながら理解する • 本資料は「日本語で発表する」ことを説明していない • それがアヒルのように歩き、アヒルのように鳴くのなら、それはアヒルに違いない • 推察したルールから逸脱した事象は認知負荷が高くなる • シンプルなルールを一貫した方が集中しやすい

19.

19 予想通りの価値 • 相手に「予想通り」と思われることは、適切な価値が伝えられたということ • 余計な認知負荷がかかっていない状態。似た表現として「驚き最小の法則」 • 「期待通り」とも読み替えられる • 上手く価値が伝えられない場合は「期待外れ」になる • 相手の「予想通り」を実現できるのであれば、 「予想以上」や「予想外」も実現できるのではないか?

20.

20 おわりに • 「引き算の品質」で、より本質的な価値を引き出すことができる • 情報のSN比を高めるために、伝えたくないことを発信しない • 伝えるつもりがなくても伝わってしまうことが多い • 違和感をもとに修正を行い、表現の整合性をとることで、価値が伝わりやすくなる