-- Views
November 05, 25
スライド概要
AI駆動開発カンファレンス 2025秋でのスポンサーセッション『AI駆動開発実践! SI企業における開発プロセス再設計の取り組み紹介』の公開資料です。
シンプレクスは1997年の創業以来、メガバンクや大手総合証券を筆頭に、日本を代表する金融機関のテクノロジーパートナーとしてビジネスを展開してきました。現在では、金融領域で培った豊富なノウハウを活用し、金融機関以外の領域でもソリューションを展開しています。2019年3月にはAI企業のDeep Percept株式会社、2021年4月には総合コンサルティングファームのXspear Consulting株式会社がグループに加わり、創業時より付加価値の創造に取り組んできたシンプレクスとワンチームとなって、公的機関や金融機関、各業界をリードする企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援しています。
AI駆動開発Conference Autumn 2days AI駆動開発実践! SI企業における開発プロセス再設計の取り組み紹介 2025/10/31 シンプレクス株式会社 氏弘一也 © 2025 Simplex Inc.
本セッションの要旨 • SIerにおける「AI駆動開発」の取り組みを通じて、AIを事業の価値創出につ なげるための考え方とプロセス設計をお伝えします • CoE組織のリーダーとして、AI駆動開発の事例・成果・課題を共有し、明日 からのAI活用のヒントを持ち帰っていただけるセッションを目指します 1 © 2025 Simplex Inc.
目次 • 自己紹介 • 会社紹介 • 生成AI活用 取り組み概要 • 事例詳細:基盤整備・普及 • 事例詳細:案件特化 • 今後の展望 • まとめ 2 © 2025 Simplex Inc.
自己紹介 氏弘 一也(うじひろ かずや) • • アーキテクト データサイエンティスト 経歴の概要 シンプレクスにて金融市場系システムの開発に従事した後、AIベンチャー企業にてコミュニケーションロボットに搭載する対話エン ジン、画像分析、レコメンデーションなどのAI開発を経験。 シンプレクス復帰後は、開発部門の技術責任者としてAIソリューションの開発や金融マーケットにおける時系列データの分析プロ ジェクトをリード。「AIを使って利益を出したい、コストカットしたい」という顧客の課題を支援。 現在は、生成AI活用推進チーム(CoE)のリードとして、生成AIによる社内の業務効率化にも取り組んでいる。 プロジェクト経験 <AI> • 金融業全般 • eKYCなどのAIプロダクト開発・導入(OCR、顔認証などの画像分析) • 生成AIの利用環境整備、PoCサポート • 証券業 • 金融商品と投資家のAIマッチング • その他 • リモートワーク時の不正検知ソリューションの開発 (物体検出、モーション特定などの画像分析) • データ分析プラットフォーム開発 • コミュニケーションロボットの対話エンジン、感情分析モデル開発 • 生成AIの社内導入推進 他多数 3 <社内生成AI活用推進> • 利用ルール整備 • 生成AI利用ガイドライン、生成AI利用手引きの作成 • 利用環境整備 • 様々な生成AIサービスの利用環境を構築 • 専用ツール作成 • 課題ヒアリング、優先度付けを行いツールを作成 • 社内ドキュメント検索 • 影響範囲調査 • コード生成 • 開発業務効率化のためのプロセス・プロンプト整備 © 2025 Simplex Inc.
4 © 2025 Simplex Inc.
会社紹介 金融機関のフロントシステム開発を中心に金融機関のテクノロジーパートナーとして成長してきました。 近年は官公庁、製造など様々な業界に対して、上流から下流まで一気通貫でシステム開発やDX推進を支援しています。 会社概要 社名 グループ会社 シンプレクス株式会社 持ち株会社:シンプレクス・ホールディングス株式会社 東京証券取引所プライム上場 事業概要 金融機関の収益業務に関わるシステム・ソリューションの提供 • 業務コンサルティング • システムコンサルティング • システム開発 • 保守・運用 • パッケージシステム販売 • ASPサービス提供 等 創業年月日 1997年9月16日 連結従業員数 1,792名(2025年4月1日現在) 主なクライアント様 • あおぞら銀行 • みずほ銀行 • 住友商事 • 東海東京証券 • いちよし証券 • みずほ証券 • SMBC三井住友銀行 • 日本カストディ銀行 • インヴァスト証券 • 岡三証券 • 三菱UFJ銀行 • りそな銀行 • auじぶん銀行 • オリックス生命 • 住友生命 • 野村證券 • マネックス証券 • 外為どっとコム • 大同生命 • PayPay銀行 • SMBC日興証券 • 三井住友信託銀行 • 大和証券 • 松井証券 • SBI証券 • 埼玉りそな銀行 • LINE Xenesis • SBI生命 • GMOクリック証券 • DMM.com証券 • SBI損保 • 三菱マテリアル • 明治安田 5 © 2025 Simplex Inc.
シンプレクスの基本コンセプト 1. お客様のビジネスを成功に導くテクノロジーパートナーとして、お客様との直 接取引(プライム受注)にこだわり、下請けに丸投げを行わない 2. コンサルティングからシステム開発、運用保守、改善提案まで、全フェーズを 一気通貫体制のもと、自社内で完遂する 3. ビジネスパーソンとして高いポテンシャルを持つ人材の獲得・育成に注力し、 ビジネスとテクノロジーに精通したハイブリッド人材全員が「プレイヤー」として 顧客に価値提供する 6 © 2025 Simplex Inc.
生成AI活用 取り組み概要 7 © 2025 Simplex Inc.
CoEチームの設立 2023年7月にCoEチームを設立。これまでのAI開発の経験を活かしつつ生成AIを用いた開発効率化に取り組んでいます。 各領域の専門人材を含め、スピード感を持って推進できる体制を構築することが成功の鍵と考えています。 生成AI活用推進チーム(CoE)を中核とした生成AI活用促進体制 チーム構成 3 先進活用事例の収集 CoEチーム リード シンプレクス ホリゾンタルアプローチ 1 (基盤整備・普及活動) 5 コンプライアンス・ ガバナンス整備 生成AI 専門チーム 〇 〇 部 門 〇 〇 部 門 〇 〇 部 門 〇 〇 部 門 バーチカルアプローチ 2 (特化施策の展開) 〇〇部門 PM システム開発 法務 AI クラウド シスアド イノベイター/ アーリーアダプター アーリー マジョリティ レイトマジョリティ/ ラガード セキュリティ コーポレート 部門を横断して専門技術の研鑽や人材 育成を行う組織「コンピテンシー」からメンバ ーを選出 PMコンピテンシー システム開発コンピテンシー インフラコンピテンシー 4 教育・啓蒙施策の展開 金融工学・AIコンピテンシー 8 © 2025 Simplex Inc.
CoEチームのミッション AIを使う・普及するという段階を超え、 AIを事業価値へと変換する仕組みを構築する 9 © 2025 Simplex Inc.
AI活用による開発業務領域の価値創出:課題と対策 これまでの取り組みの中で多くの課題に直面しました。AI駆動開発を推進する際は以下の対策に基づいて取り組んでいます。 過去に直面した課題 1 2 3 対策 個人・個別タスク最適にとどまり、組織としてのAI活用につながっていない AIフレンドリーな開発プロセスを構築する • 個人が独自にAIを使っているが、ノウハウや設定が共有されずチームに還元 されない、AI出力に再現性がない • プロンプトやAIツールをチームで共通利用できる仕組みとして整備、横展開 • 「AIを使う人」と「使わない人」の差が拡大 • 個別タスクの改善にとどめず、要件定義からテスト・運用保守に至るまで、 開発工程全体をAI活用前提として再設計 生成AIの進化スピードに、開発プロセスが追いつかない 個別カスタムではなく、コンテキスト整備を中心に設計する • モデルやサービスの更新が速く、個別にカスタマイズしたAIツールや利用ルー ルが陳腐化 • ツールの個別カスタムは最小限に留め、コンテキストの整備に取り組む • 開発期間1年~、長期間の運用保守を前提とした開発プロセスの整備が 必要 • モデルやツールの更新を前提とした活用の仕組み整備 (= 評価データの整備) 個人の効率化は進むが、事業価値につながっていない 効率化による効果を測定し、新たな案件対応や顧客価値への追及に活用 • 「便利になった」で終わり、余剰リソースが活用されず、結果的に生産性の 向上や利益構造の改善につながらない • AI導入による工数削減を測定し、アサイン計画時にどこまで体制をスリム化 できるかを見極めることで、効率化による余力を新たな案件対応に割り当て、 売上拡大 • 組織としての意思決定や投資判断に活用できない • AIに量産部分を任せて、より刺激的な技術要素や顧客が求める価値の追 求にシフト 10 © 2025 Simplex Inc.
取り組みの全体像 生成AI利用の文化を醸成するため、基盤整備と普及を推進しています。そのうえで、事業価値の創出のために特定の案件で成 果を出した後、横展開を目指します。また、制約のない研究環境でAIの新たな活用可能性を探っています。 本セッションの紹介スコープ 施策1 • 全社員が各種生成AIツールを利用できるよう整備 基盤整備・普及 • ノウハウの共有 • AI駆動開発を特定の開発案件で適用、効果測定 • 測定結果をもとに案件立ち上げ期のアサイン計画に反映、より少ない体制でのデリバリを目指す • 成功事例を横展開 施策3 • 制約の少ない環境で既存の枠組みにとらわれない開発プロセスや様々な生成AIツールを検証 研究環境の整備・活用 • 現時点における開発効率化の上限を測定 • 成功事例を通常の開発環境に展開 施策2 案件特化 11 © 2025 Simplex Inc.
生成AI活用 事例詳細:基盤整備・普及 12 © 2025 Simplex Inc.
基盤整備・普及の取り組み セキュリティを確保しながら、生成AIサービスを安全に利用できる環境の整備を進めています。 個人利用にとどまらず、チーム全体でAIを活用できるよう普及活動を展開しており、実際に活用事例も生まれ始めています。 さらに、AIが用途に応じて横断的にデータを活用できる基盤の構築を目指しています。 基盤整備 API チャットアプリ 開発関連 普及活動 Azure OpenAI Service 社内ポータルサイトの活用 Amazon Bedrock • AI利用方法やユースケースを公開 • Figmaから画面設計書、コード作成 Simplex Chat (文書検索機能含む) • 標準化施策として、AI駆動開発ガイド ラインを公開 • コードレビュー • 影響調査 M365 Copilot など 社内チャット(Slack)の活用 GitHub Copilot • 利用相談、活用事例共有など様々な 用途毎に専用チャンネルを作成 AIツール作成 • 困りごとの解消やノウハウの共有の機 会を整備 • ER図からDDL、Entity作成の効率化 • シーケンス図作成 • エラーログ分析 • アーキテクチャ解説 Claude Code Playwright Figma Dev Mode 勉強会の実施 Serena • エンジニアやバックオフィス向けにAI活 用の勉強会やハッカソンを企画 • 各部門主体での勉強会も開催 など データ整備 プロンプト整備 ChatGPT Codex(整備中) MCP AI活用事例 セキュリティを担保しつつAI のデータアクセシビリティ整備 13 など © 2025 Simplex Inc.
普及活動 社内ハッカソンでは、生成AIを活用したプロダクト開発や実際の作業における生成AIの活用を実施しました。 これにより、エンジニアが生成AIの活用方法を実体験として学ぶ機会を創出しました。 Oops Digest 生成AIを活用しエラーログ監視を効率化 • チームごとにAWSのアカウントとClaude Codeのライセンスを発行し、Amazon Bedrockなど のAWSサービスを利用したプロダクト開発環境を提供 • 1チーム4名の10チームが参加 • 取り組みは「シンプレクス エンジニア公式note」で公開中 https://note.com/simplex_engineer/n/n9f46251e0753 Code Compass プロダクトで利用しているライブラリの情報を蓄積、使用実績や使用感を自然言語で問合せ可能 14 © 2025 Simplex Inc.
普及活動 社内向けの技術・ビジネスイベント「Tech Day」「Biz Day」を年に数回開催しています。 2025年5月に実施したTech Dayでは、全17セッション中8セッションが生成AI関連の内容となり、社内でのAI活用が広がりつ つあることを示す結果となりました。 • Tech Dayの詳細は「シンプレクス エンジニア公式note」で公開中 https://note.com/simplex_engineer/n/n4afcc3d1e175 15 © 2025 Simplex Inc.
基盤整備・普及の取り組みにおける課題と対策 課題 全社的にAIを普及させ、ボトムアップで活用を進めると、各案件やチームごとに個別最適化が進む傾向があります。 その結果、似たような試行錯誤が各所で繰り返され、知見の分散と非効率が生じます。 また、AI活用で生まれた余力が、新たな案件や事業拡大に活かされず、案件内で使い切られてしまいます。 対策:案件特化の取り組み(施策2)の実施 個別最適から脱却するために、案件特化型のAI駆動開発手法を確立し、効果を測定します。 AI駆動開発手法を横展開し、従来よりも小さな体制で新たな案件チームを組成することで、AI活用による効率化 を利益につなげることを目指します。 16 © 2025 Simplex Inc.
生成AI活用 事例詳細:案件特化 17 © 2025 Simplex Inc.
開発領域におけるAI活用のテーマ一覧 今年度の取り組み対象 優先度 高 テーマ 概要 新規開発 (要件定義~テスト) • • AI駆動開発で要件定義~テストまでの効率化の実現を目指す シンプルなCRUD機能が中心で機能数の多いシステム開発から始め、最終的には取引システムや 金融リスク管理システムなどセキュリティや性能の要求水準が高いシステムでも活用 エンハンス開発 (要件定義~テスト) • • AI駆動開発で構築したシステムのエンハンス開発にAIを活用 売上比率の高い従来案件についても、順次対応を拡大予定 プロジェクト(案件) 管理 • • • プロジェクト計画やタスクプランニングのドラフトをAIが作成 プロジェクトの進捗をAIがモニタリングし、期日のリマインドやリスク要因の検知を行い炎上を防止 週次進捗資料・議事録などの資料をAIが作成 リバースエンジニアリング • • • 自社プロダクトの設計書とソースコードをAIが解析し、有識者の代わりにFAQを回答 顧客から提供された設計書とソースコードをAIが解析し、要件定義や設計書のドラフトを作成 リファクタリングや最新のアーキテクチャを使ったリビルドも実施 提案 • • • RFPや顧客会議と過去の提案資料をもとにAIが提案書のドラフトを作成 過去の見積実績やデリバリ実績をもとに見積のドラフト作成 RFPへの回答漏れや誤字脱字などのレビューをAIが実施 運用保守 • • 障害発生時の原因調査をAIがサポート 運用報告書などの定期レポートのドラフトをAIが作成 低 18 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み 達成したいこと:AIを事業価値へと変換する仕組みの構築 1. 新規開発案件を対象にAI駆動開発手法の確立 2. AI駆動開発を適用し効果測定 3. 横展開時に従来より少ない体制で案件チームを組成 4. 余力を新たな案件対応に割り当て、売上拡大 19 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み 案件伴走型、案件独立型の2つのアプローチを実施しました。 CoEメンバー少数で検証可能な案件伴走型から実施し、効果がある程度確認できたので案件独立型にシフトしました。 A)案件伴走型 CoEメンバーが開発案件に参画し、メンバーの一員としてAI駆動開発を推進 特徴 • CoEメンバーは少数でも検証可能、他メンバーにAI活用ノウハウを共有できる • デリバリが優先となるため案件スケジュールに影響がでるほど試行錯誤や振り返っての改善ができない • 削減工数が開発案件の様々なタスクで消化されてしまい、数字として見える化されにくい B)案件独立型 AI駆動開発を用いて、過去の案件の成果物をどれくらいのコストや期間で開発できるか検証 特徴 • デリバリスケジュールに依存しないため様々な試行錯誤が可能 • 再現する成果物のスコープを狭めるにしても検証に多くのメンバーが必要 • 実際の案件では要件変更など様々な遅延要因が発生するため効果測定時に仮定を設定する必要がある 20 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:A)案件伴走型 対象とした案件の概要 • 他社開発 & 運用のオンプレシステムを AWS へクラウドリフト • .NET Framework アプリ (WEB/コンソール) • 基本的に既存アプリは修正せずそのまま移行 • インフラは AWS CDK (TypeScript) で新規構築 21 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:A)案件伴走型 開発環境 • VSCode「DevContainer」で CDK 開発環境を構築 • WSL2/Mac で同じ環境を利用可能 • 初期設定はスクリプトで簡単に → 環境差異によるトラブル削減、オンボーディングコストの削減 22 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:A)案件伴走型 ドキュメント管理における工夫 1. 開発エディタ上で文書とソースコードを一元管理 • AIのアクセシビリティが高いため設計書をインプットにソースコード作 成の実現が容易 開発エディタ上のフォルダ構成例 2. プロンプトも開発エディタ上で整備 • チーム全体でのAI活用を促進 • チーム間で同じプロンプトを利用することでAI出力の品質安定化 3. ADR(Architecture Decision Records)の導入 • 技術選定や設計判断を文書として記録 • 生成AIが過去の判断を参照して一貫性のある提案が可能 23 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:A)案件伴走型 成果物フォーマットにおける工夫 成果物サンプル 1. Excelなどのバイナリファイルはなるべく避ける • AIの解釈性を考慮し、保守性・可読性のデメリット がない場合は、Markdownで定義 • 成果物の納品などの都合でバイナリファイルが必要 な場合、バイナリファイル⇔Markdownの変換ツー ルの整備も必要に応じて検討 • その際は、変換しやすいフォーマットで定義、特に Excelの場合は方眼紙フォーマットは利用しない 2. Markdownで表を記載する場合、要否を検討する • 列数が多い表など可読性や編集難易度が高くなる ので表を使わない、表分割などレイアウトを見直す 3. 一般的な記法を用いて定義する • AIの解釈・出力性能の改善のため、UMLは MermaidやPlantUML記法、テストケースは Gherkin記法を利用 24 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:A)案件伴走型 Claude Codeの活用(カスタムスラッシュコマンドの一部共有) PR作成・レビュー • /app-pr-gen : 適切な PR テンプレートを自動選択して PR 作成 • /infra-pr-gen : PR 作成 • /pr-review : タスクに応じた適切なレビューガイドライン適用 • /local-review : ローカルファイルのレビュー → 用途別にレビューガイドラインを整備し、Claude Codeでチェックすることで品質を担保 タスク管理 • /app-task-gen : 変更内容をもとにタスクチケット作成 VRT(Visual Regression Testing) 関連 • /vrt-gen : Gherkin 形式の .feature ファイルから VRT コードを生成(PageObject の自動作成・修正) 25 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:A)案件伴走型 要件定義~IT/ST初期フェーズにおいて、AI活用したタスクに対して平均33%工数削減、案件全体で8%の工数削減を実現。 削減した工数は追加ニーズ取込等、顧客リレーション強化に投資しました。 AI活用業務 要件定義 要件定義書 作成・レビュー 課題 設計 設計書作成/レビュー • インフラ設計書 • バッチ定義書 • ロバストネス図 • API一覧 • API仕様書 開発/UT IT/ST IT仕様書作成 • テスト観点 • テストケース • テスト手順 コード作成/レビュー • CDK AWS Well-Architected Frameworkレビューの 自動化 画面打鍵テストコード 作成 ST仕様書作成 • テスト観点 • テストケース • テスト手順 1. AI効果を阻害する要因 • AI適用タスクの拡大/出力品質には改善の余地があるが、案件と伴走 しながら検証したことによる制約上、試行錯誤が十分できていない • AIが自律的にタスクを実行できるスケーラブルな仕組みを整備しなけれ ば、人間がボトルネックとなり効果は限定的 • 効果が少なかったケースとして「仕様があいまいで人間同士の確認作業 がほとんどの時間を占める」などの事象があった ※ 要件定義/設計フェーズの品質が効率化に影響を与える 2. リソース・アサインの課題 • 人的リソースを最大限に活用してデリバリする傾向があり、 工数を削減 しても何らかのタスクで穴埋めが行われる • 案件途中で人員を減らすことは難しい(アサイン先の調整含め) 効果測定方法 3. メンバーのAIツール習熟度に効果が依存 • 習熟度によっては、AIが利用できるという発想がなく手作業が散見 • 勉強会、プロンプト整備、ユースケースの標準化などで改善 • 習熟度に依存しない仕組みづくりが他案件展開においても重要 各タスクごとに、担当者が以下の2項目を記録。 a:AIを活用した場合の実績工数 b:AIを使用しなかった場合の想定工数(見積値) 上記2項目の差分(b − a)を削減工数として集計。 ※ a・bはいずれも担当者の主観が含まれるため、測定結果には一定のバイアスや恣 意性が生じる可能性がある点に留意が必要 26 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 さらなる効率化の実現に向けて案件スケジュールに依存しないアプローチでAI駆動開発に取り組んでいます。 対象案件の特徴 • シンプルなCRUD機能が中心のWebアプリ開発案件 アプローチ • AIフレンドリーな開発プロセスを構築、過去案件の成果物をどの程度のコストと期間で再現できるかを検証 • 人手による開発との比較を通じて、AI活用の効果を定量的に評価 • 横展開時に従来より少ない体制で案件チームを組成 • 余力を新たな案件対応に割り当て、売上拡大 27 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 開発プロセス検討のポイント 1. 既存の開発プロセスにとらわれない設計 • 既存の開発プロセスにとらわれず、AIを最大限に活かせる“AIフ レンドリーなプロセス”を設計 • 要件定義からテスト・運用保守に至るまで、開発工程全体をAI 活用前提として再設計 • ただし、最終的な成果物の品質は従来手法以上であることが前 提であり、品質を担保する仕組みづくりにも十分な配慮が必要 3. 柔軟性と保守性を考慮 2. AIによるスケーラブルなタスク実行の仕組み整備 • 逐次人間がAIを使ってアウトプットするのではなく、AIが自律的 にタスク遂行できるようタスク粒度やプロセスを整備しスケーラブル なタスク実行を目指す 4. 長期運用を前提としたAI活用 • 生成AI登場以前では強い制約や複雑なルールを設けた自動生 成を試みたが、運用・普及が難しく、結果的にレガシー化した • 開発期間1年以上、運用保守も長期に及ぶことを前提としなが ら、AIサービスの進化スピードに対応できるプロセスを設計 • 同様の問題を避けるため、ルールやソースコードに過度に依存す る効率化は行わず、技術トレンドに追従可能な柔軟な開発手 法を目指す • 個別カスタマイズは必要最小限に留め、新規AIサービスが適用 しやすい仕組みと評価データの整備を進める 28 © 2025 Simplex Inc.
生成AI活用の未来 – 目指す開発プロセスイメージ AI Agentによるスケール可能なタスク遂行の仕組みを構築することで、少人数体制でのデリバリの実現を目指します。 要件定義やテストなど他フェーズも実装フェーズと同様の方針で効率化を実現します。 実装フェーズにおける開発プロセス 実装・UT w/ AIツール エンジニア コア機能やコードベース、サンプルコード作成など 一部エンジニア依存のタスクは残る想定 後続タスク に続く 最終レビュー ソースコード ナレッジ(コンテキスト) 各アクションで活用 AI Agent 開発規約 実装・UT タスク一覧 設計書 タスク作成 ソースコード AI Agentで 完遂するタスク 実装・UT 他案件 成果物 AIフレンドリーなデータ管理を推進。 AIに対する人間のフィードバックや効果 測定結果を蓄積し、改善につなげる。 当該タスク比率を上げることが生産性向上に重要 末端機能を中心に実装/UTの自動化を目指す ソースコード 「実装・UT w/ AIツール」のタスクで出力品質を改善し、 一定の品質が担保できたら自動化につなげる。 ナレッジ整備、タスクの粒度や依存関係の工夫、最新モデ ル利用によりAI Agentのタスク比率向上を検証。 29 レビュー AIにより量産される成果物の 品質担保は案件推進で重 要な観点 修正 フィードバックを蓄積することで AIのアウトプット品質を改善 レビュー結果 のフィードバック 品質担保のためにAI or エンジニアによるレビュータイミング、 テストでカバーする内容を整理・検証。 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 実装・UTフェーズにおける開発プロセス フロントエンド実装 E2Eテスト バックエンド実装 30 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 実装・UTフェーズにおける開発プロセス:バックエンド実装 コードベース DDL・Entity・ Enum 共通設計書 (.md) 【人間 w/ AIツール】 サーバ起動できない場 合など最低限の修正 【AI】 バックエンド実装 ソースコード (不具合解消済) 実装手順書 (.md) ソースコード ほぼAI Native バックエンドUT JUnit、Tavern UT結果 開発指示書 (CLAUDE.md) 画面設計書 (.md) ※ 実装・UTの成果物作成は、 人間をなるべく介さないでAIのみで完結 = スケーラブルなタスク実行 【AI】 UT実装 ※ UTバグがある場合、 解消するまでAIが自律的に複数回修正を繰り返す 個別UT観点 (.md) ※ 品質担保のため ルールベースでUT観点を作成 UT手順書 (.md) 【ツール】 UTケース・期待値作成 31 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 実装・UTフェーズにおける開発プロセス:E2Eテスト フロントエンド ソースコード バックエンド ソースコード 共通設計書 (.md) 画面設計書 (.md) ※ UTバグがある場合、 解消するまでAIが自律的に複数回修正を繰り返す ※ 品質担保のため担当者、開発リーダが それぞれ最終成果物をチェック 【人間 w/ AIツール】 手打鍵 バグFix 【AI】 E2Eテスト フロントエンド ソースコード 開発指示書 (CLAUDE.md) バックエンド ソースコード E2E手順書 (.md) UT Playwright UT結果 ※ UTケース不足の場合、追加 【人間 w/ AIツール】 開発リーダレビュー バックエンド ロジックUT Junit 【人間 w/ AIツール】 PR作成 フロントエンド ロジックUT Vitest バックエンド API UT Tavern 【AI】 UTケース修正 E2Eテスト Playwright ※ UTバグがある場合、 解消するまでAIが自律的に複数回修正を繰り返す 32 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 実装・UTフェーズのステップ 1. バックエンド 実装 2. バックエンド UT/バグFix 実装・UTフェーズにおけるAIへのインプットデータ インプットデータ プロンプト 3. フロントエンド レイアウト実装 開発指示書 (CLAUDE.md) 低 バックエンド、フロントエンドそれぞれ作成。 以下を定義。 • 各種ドキュメントのパスや役割 • アーキテクチャ • 開発方針 中 左記の「実装・UTフェーズのステップ」毎に作成。 以下を定義。 • 作業手順 • AIによるセルフレビューのためのチェックリスト 中 認証認可や例外処理などのコア機能 フロントエンドコンポーネント DDL、Entity、Enum サンプル実装 高 共通設計書 デザインガイドライン、開発規約 高 個別設計書 画面定義書、API定義書 高 6. E2Eテスト 実装 7. UTケース修正 案件依存度 左記の「実装・UTフェーズのステップ」毎に以下のようなプロンプ トを定義。 @xxx_手順書.md に記載の手順に従って、以下の機能を修正してください。 ‘/docs/xxx_個別設計書.md' 4. フロントエンド ロジック実装 5. フロントエンド UT/バグFix 概要 手順書 コードベース 33 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 バックエンドの開発指示書(CLAUDE.md) 重要な項目 • 制約事項 • 開発フロー • 品質保証のためのチェックリスト • コードベースのスコープと扱い • アーキテクチャ依存関係 34 © 2025 Simplex Inc.
案件特化の取り組み:B)案件独立型 実装・UTフェーズのステップ バックエンド UT/バグFix用の手順書 重要な項目 1. バックエンド 実装 • 実装順序 2. バックエンド UT/バグFix • テスト方針 3. フロントエンド レイアウト実装 • テスト失敗時の対応 • タスク完了のためのチェックリスト 4. フロントエンド ロジック実装 5. フロントエンド UT/バグFix 6. E2Eテスト 実装 7. UTケース修正 35 © 2025 Simplex Inc.
今後の展望 • 要件定義・設計、テストフェーズにおけるプロセスの整備を行い、効果測定 • ボトルネックを明らかにし、さらなる効率化に取り組む • 横展開時に従来より少ない体制で案件チームを組成し利益化 • エンハンス案件の効率化など他テーマの実施 • 既存の慣習にとらわれない開発プロセスの再設計・検証 • 要件定義完了で開発を行い、コードから設計書を作成し仕様を固める • 複数AIによる協調・自律的なタスク実行 36 © 2025 Simplex Inc.
まとめ • AIは高コストかつ不確実性が高く、単に導入するだけでは利益創出にはつながりません • AIフレンドリーな開発プロセスを整備し、効果を定量的に測定することが不可欠です • 横展開時にどこまで体制をスリム化できるかを見極めることで、効率化による余力を新たな 案件対応に割り当て、売上拡大と利益構造を最適化することができます 37 © 2025 Simplex Inc.