[DL輪読会]Ab-Initio Solution of the Many-Electron Schr?dinger Equation with Deep Neural Networks

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October 25, 19

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2019/10/25
Deep Learning JP:
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1.

1 DEEP LEARNING JP [DL Papers] “Ab-Initio Solution of the Many-Electron Schrödinger Equation with Deep Neural Networks” Kensuke Wakasugi, Panasonic Corporation. http://deeplearning.jp/

2.

書誌情報 2 タイトル: Ab-Initio Solution of the Many-Electron Schrödinger Equation with Deep Neural Networks 著者: David Pfau, James S. Spencer, and Alexander G. de G. Matthews(DeepMind) その他: 19/09/05にarXivに投稿. 選書理由: 計算科学の分野におけるDNNを使った研究分野で,今後期待できそうな論文なため. ※特に断りがない限り,図・表・式は上記論文より引用したものです. Wakasugi, Panasonic Corp.

3.

背景 3 Many-Electron Schrödinger Equationの求解は計算困難 ➢ ➢ R_I r_i r_j R_J ψ:波動関数 H:ハミルトニアン E:エネルギー r:電子座標(負電荷) R:原子核座標(正電荷) Z:電荷 Schrödinger Equationとは,物質中の原子核,電子に要請される関係性を 表す方程式 原子核と電子の配置から電気的・力学的・化学的特性が計算可能なため, 材料開発に有効 ➢ ➢ しかし,一般にこの方程式を解くことは困難 窒素(N₂)の場合,電子14個に関する微分方程式となり 14個の電子分布を表すパラメータについて数値求解が必要 ➢ そこで,実行可能な計算量になるように,近似を行うが, 近似の程度と計算精度がトレードオフ 物理法則からの要請を満たし,効率的に計算可能な 波動関数ψの表現方法が求められる ハミルトニアンの第1項は,運動エネルギーに対応. 第2~4項は,原子核・電子の全組み合わせについての 静電ポテンシャルエネルギーに対応(多体問題となっている) Wakasugi, Panasonic Corp.

4.

関連研究 4 計算したエネルギーを教師データとして学習 ➢ ➢ ポテンシャルを入力画像とし,一電子エネルギーを予測 波動関数ψを直接扱っていない 引用:Mills, K., Spanner, M., & Tamblyn, I. (2017). Deep learning and the Schrödinger equation. Physical Review A, 96(4), 042113. Wakasugi, Panasonic Corp.

5.

計算科学の従来法 5 反対称性を満たす波動関数としてスレーター行列式を利用 x1 反対称性 ψ(x1, x2) = -ψ(x2,x1) x2 電子座標を交換すると,波動関数の符号が反転する φ1(x) φ2 (x) φ3 (x) φ4 (x) スレーター行列式による波動関数 ψ(x1, x2) = φ1(x1)φ2(x2) – φ2(x1)φ1(x2) = det[Φk] ただし, k={1,2} 重み付き線形和に拡張(Coupled Cluster法) イメージ図 電子が2個の系 ψ(x1, x2) = Σk ωkdet[Φk] 電子軌道φの様々な組み合わせについて考慮 Wakasugi, Panasonic Corp.

6.

提案手法 6 物理法則からの要請を組み込んだNNを構築 ① ③ ① 電子 → 電子のベクトル(とノルム),電子 → 原子核 のベクトル(とノルム)を入力に取る ⇒ハミルトニアンの構成要素を反映 ② 電子-電子の特徴量を,電子-原子核の特徴量にconcat ⇒2電子の特徴量を1電子の特徴量に付加し, 層を重ねることで,多体問題を扱う ② ③ 1電子波動関数から行列式を構成し, Coupled Cluster法に倣った波動関数を出力 ※Coupled Cluster法は,現在,計算科学分野で最も高精度な手法. ただし,計算コストは高い Wakasugi, Panasonic Corp.

7.

提案手法 7 物理法則からの要請を組み込んだNNを構築 ④ ④ 原子核から無限遠方で0になる.減衰には異方性を含む 前層の出力(と重みとバイアス) 物理的な制約を直接NNに組み込んでいる 学習パラメータ Wakasugi, Panasonic Corp.

8.

波動関数の最適化 8 エネルギーの期待値を最小化する波動関数パラメータを求める ➢ ➢ 量子力学に特有の期待値計算の式だが,基本的には統計学と同様. ψが確率分布,Hが期待値の計算対象になっている n個の電子座標Xに関する期待値となっており,計算困難なポイント 近似計算は、従来の計算科学の手法を踏襲 𝜓 𝐗 ෡ 𝐻𝜓 𝐗 𝜓 𝐗 ∫ 𝑑𝐗𝜓 ∗ 𝐗 𝜓 𝐗 ∫ 𝑑𝐗𝜓 ∗ 𝐗 = ෡ 𝐗 ∫ 𝑑𝐗 𝜓 𝐗 2 𝜓 −1 𝐗 𝐻𝜓 = ∫ 𝑑𝐗 𝜓 𝐗 2 ∫ 𝑑𝐗 𝜓 𝐗 2 𝐸𝐿 (𝐗) = ∫ 𝑑𝐗 𝜓 𝐗 2 = 𝑬𝑝 𝑿 𝐸𝐿 𝐗 ෡ 𝐗 ∵ 𝐸𝐿 (𝐗) = 𝜓 −1 𝐗 𝐻𝜓 ∵𝑝 𝑿 = 𝜓 𝐗 2 Wakasugi, Panasonic Corp.

9.

波動関数の最適化 9 サンプリング,自然勾配法,クロネッカー積により,微分を近似計算 微分を計算するために, サンプリングによる積分計算と, Fisher情報行列を使った自然勾配法, クロネッカー積による情報行列の近似計算, を行う. Wakasugi, Panasonic Corp.

10.

Pre-training 10 計算効率および収束安定化のため,HF法に基づき事前学習 Hartree-Fock(HF)法 ψ(X) = det[Φ] スレーター行列式1つを使い,基底状態の電子について考慮. 電子相関は考慮しない ➢ ➢ NNによる波動関数と,HF法による波動関数の誤差を目的関数とする ただし,期待値計算のサンプリングには両者を混合した分布を採用 Wakasugi, Panasonic Corp.

11.

計算対象 NH3 11 C2H4 ➢ ➢ CH4 論文中に座標表記されているものを可視化. この他にも,単原子やCOなども計算している. C4H6 可視化にはVESTAを使用. K. Momma and F. Izumi, "VESTA 3 for three-dimensional visualization of crystal, volumetric and morphology data," J. Appl. Crystallogr., 44, 1272-1276 (2011). Wakasugi, Panasonic Corp.

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比較手法 12 エネルギーの値に関して,CCSD法を基準に比較 手法 説明 Hartree-Fock 1つのスレーター行列式を 使う基本的な解法 事前学習に利用 Fermi Net 物理制約を組み込んだNN 提案手法 Slater-Jastrow Net Slater-Jastrowの補正項の係数を NNで出力 比較手法 VMC/DMC with Slater-Jastrow HF法に電子相関補正項を 追加したもの 比較手法 CCSD(T): 複数のスレーター行列式を使う解法 比較手法 複数のスレーター行列式を使う解法 正解値扱い coupled cluster FCI: full configuration interaction ※最も正確な計算モデルは 計算対象によって異なる Wakasugi, Panasonic Corp.

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結果 13 Slater-Jastrow(Net)と比較し高精度を達成 ➢ ➢ a:行列式を1つに限定して,従来法と比較 b:行列式の個数と性能の推移 Wakasugi, Panasonic Corp.

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結果 14 実験値との比較において,CCSD法を上回る精度を達成 ➢ ➢ Exact(一番正確な計算)に近いものを太字で表示 Fermi Netが全体としては最も誤差が少ない Wakasugi, Panasonic Corp.

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結果 15 低分子についてもCCSD法と同等の性能を達成 Wakasugi, Panasonic Corp.

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結果 16 CCSD法では計算を誤る系においても,正確な計算が可能 Wakasugi, Panasonic Corp.

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この論文の良い点 17 従来法では,計算対象の系に応じてモデルを選択する必要があったが, Fermi Netは同じNNを用いて,それぞれの系の最適な既存モデルに匹敵す る性能を達成した 汎用的な計算科学のモデルとして期待される Wakasugi, Panasonic Corp.

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まとめ 18 • 波動関数の表現方法として,物理法則の制約を組み込んだFermi Netを提案 • 計算対象の系ごとの既存最適モデルに匹敵する精度を達成した Wakasugi, Panasonic Corp.

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雑感 19 • NNの構造レベルで,物理法則の制約を満たすような作り方が面白い • 従来の波動関数に関する知見を直接組み込んでおり, 物理・化学の研究者にも受け入れやすいのではないか. (従来法の段階で,任意設計できる箇所があり,そこをNN重みで学習させている) • 計算コストに関してはCCSD法などと同等と述べており,計算効率化につい ては今後に期待される. Wakasugi, Panasonic Corp.