[DL輪読会]World Models

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October 12, 23

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"2018/04/27
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1.

DEEP LEARNING JP [DL Papers] World Models David Ha, Jürgen Schmidhuber Presenter: Masahiro Suzuki, Matsuo Lab http://deeplearning.jp/ 1

2.

本輪読発表について • World Models – David Ha, Jürgen Schmidhuber • arXiv: 1803.10122 • Haさんはアカウント名「hardmaru」でおなじみ – 直訳すると「世界モデル」 • 世界モデルのコンセプトと本論文の提案モデルについて説明します – モデル自体はシンプルですが,コンセプトが非常に重要です • より詳しい背景や関連研究については「強化学習アーキテクチャ勉強 会(5/15)」で説明する予定です. 2

3.

余談 • このスライドを作り終わったタイミングでこんなツイートが 3

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目次 • 世界モデルの背景 • 提案モデル • まとめ 4

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脳の内部モデル • 人間はあらゆるものを知覚できるわけではない – 脳に入ってくる情報は限られている. – したがって脳の内部では,情報から世界をモデル化した内部モデルをつくって いる. • 内部モデル: – 外界からの刺激を元に,外界世界をシミュレートするモデル – 世界モデルは,これとほぼ同じ概念 5

6.

内部モデルによる予測 • 「今までの記憶から未来を予測する力。それが知能である。 」 – by ジェフ・ホーキンス(「考える脳 考えるコンピュータ」より) • より正確に言うと,現在の運動や行動を使って将来の刺激を予測して いる. – これは,学習した脳の内部モデルによって未来をシミュレーションしていると いうこと. – 人間はこれを常に行っていると考えられる. 6

7.

内部モデルによる予測の例 • 例:野球(バットを振ってボールに当てる) – バットを振るのを決めるのに数ミリ秒かかる – しかし,視覚信号->脳にかかる時間はそれよりも短い. ⇒Q. なぜバットを速球ボールに当てることが可能なのか? A. 内部モデルから無意識に予測を行い,それに従って筋肉を動かしているから 7

8.

内部モデルをどう設計するか? • ダイナミクスモデルをどのようにモデル化するかは古くか研究されて いた – 1980年代:フィードフォワードNNによるモデル – 1990年代:RNNによるモデル • 「Making the World Differentiable」(Schmidhuber, 1990) – より詳しくは「強化学習アーキテクチャ勉強会」にて • 最近の大規模RNNは,大量のデータから時間的表現を学習することが できる. • またAE系は,空間的表現を学習できる. ⇒内部モデルとして使えそう 8

9.

強化学習での利用 • 強化学習: – 状態と行動,そして環境からの報酬によって,エージェントの最適な方策を求 める. – このときエージェントは,過去や現在の状態の良い表現や未来の予測モデルが あれば,効率的に学習できると考えられる(モデルベース強化学習). • つまりエージェントは, – 世界(環境)をモデル化する大規模な内部モデル – タスクを実行するための小規模なモデル(コントローラー) を分けて学習すればいい ⇒本研究のアイディア 9

10.

提案モデル • これまでの考察から,シンプルなモデルを提案 • 次の3つの要素がある – Vision Model(V):高次元の観測データを低次元のコードに圧縮 – Memory RNN(M):過去のコードから未来の状態を予測 – Controller(C):VとMから良い行動を選択する 世界モデル 10

11.

Vision Model(V) • 2D画像から良い表現を学習するためにVariational Autoencoder(VAE) を利用 – VAEは深層生成モデルの一つ. – Disentangleな表現を学習できることで知られている. – 個人的にはあまりイケてない扱い方 11

12.

MDN-RNN(M) • Mモデルでは,圧縮した表現z_tから次の時間ステップの表現z_t+1を 予測する. – 具体的には,p(z_t+1|a_t, z_t, h_t) をモデル化する. • aは行動,hはRNNの隠れ状態 – 決定論的ではなく,確率的にz_t+1をサンプルする. • Mモデルには,Haらが提案したMDN-RNNが使われている. – RNNと混合密度ネットワークを組み合わせている. • 温度パラメータで不確かさを調節できる. – Haらとしては,今までの研究を利用したかった感じ. 12

13.

補足:混合密度ネットワーク • 混合密度ネットワーク[Bishop+ 1994]: – 尤度をガウス分布から混合ガウス分布に変更したもの – 背景:単峰だと右図のようなデータへの適合が困難 • あるxに複数の対応するyが存在する. • 実装的には,混合数だけ平均・分散・混合係数を出力させる感じ. 13

14.

MDN-RNNを用いた例 • SketchRNN: – MDN-RNNによって,現在の筆跡から未来の絵を予測. 14

15.

Controller (C) Model • コントローラーは,累積報酬を最大化するような行動を決める. – 世界モデルに複雑さを託したので,意図的に次のようなシンプルな線形モデル を考える. – 現在の状態zとRNNの隠れ状態(内部モデルの現在の状態の予測)hが入力と なる. – モデルがシンプルなため,従来の方法にとらわれない最適化戦略の選択が可能 • 今回は,進化戦略の一つである共分散行列適応進化戦略(CMA-ES)を選択 • パラメータ数が少ない(実験1では867パラメータ)ため,利用可能 15

16.

全体の構造 • V,M,Cの環境との相互作用 16

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実験1:カーレース • 提案モデルでカーレースのタスクを解く. – 行動は,左/右への操作,加速,ブレーキの3つの連続的な行動 – 環境に対してランダムなロールアウトによって10000データを集める • ランダムな行動とその状態を記録しておく. 17

18.

VとMの(世界モデル)の学習 • まず,データ集合からVAE(V)を学習する. • 次に,学習したVからzをエンコードしてMを学習する. – このとき,記録したランダムなaを利用する • 世界モデルの学習では報酬を一切用いていないことに注意. 18

19.

実験結果 1. Vモデルだけを利用した結果 – M(予測モデル)を入れない場合 • それなりに学習できているが,ショートコーナーでうまく曲がれな かったりして不安定 – 隠れ層を入れるとスコアが上がるっぽいが,それでもまだ不安定 19

20.

実験結果 1. VとMの両方を利用した結果 – 予測モデルにもアクセスできる場合 • 運転がかなり安定するようになっている 20

21.

実験結果 • 平均スコアの比較 – OpenAI Gymのleaderboard – 既存手法は色々特徴抽出とかやってたが,本研究では生のRGBデータを利用. – 本研究の手法が初めてこのタスクをまともに解いた,という主張 21

22.

世界モデルの「夢」 • SketchRNNと同じ要領で,世界モデルから未来の状態をサンプリング できる. – VAEなので,生成画像はぼやけてます. ということは,夢だけで学習して,実際の環境でうまく動作できる? (イメトレっぽい感じ) 22

23.

実験2:VizDoom • VizDoom: Doomをつかった強化学習用のベンチマーク – ここでは火の玉を避けるように学習 – タイムステップ数を累積報酬とする(平均750タイムステップ生きられるよう にする) 23

24.

実験設定 • 世界モデルだけでエージェントを学習したいので,Mモデルに次のス テップで死ぬかどうかを予測する部分を入れる. – done _tという2値状態 – P(z_t+1, d_t+1| a_t, z_t, h_t) • データから世界モデルを学習し,その世界モデルによる仮想環境のみ からCを学習する. 24

25.

実験結果:夢の中での訓練 • エージェントは仮想環境で学習して,900タイステップというスコア を達成. • 仮想環境は,不確実性を入れることができるので,より挑戦的なゲー ムをシミュレートできる. – 不確実性はτパラメータで調節可能. – 不確実性を増やすと,実際の環境よりも難しくなる(急に死んだりとか) 25

26.

実験結果:実際の環境でのテスト • 仮想環境で学習したエージェントを実際のゲーム環境でテストする. – スコアは1000タイムステップとなり,仮想環境よりも高いスコアとなった • 不確実な(理不尽な)環境でも学習できるエージェントは,現実世界 なら余裕 26

27.

世界モデルのチート • 小さい頃にビデオゲームをやっていると,ゲームのバグを発見するこ とがある. – ポケモンの13番目セレクトBBとか – しかしバグ技をつかいまくると,ゲーム本来のクリアに必要なスキルが失われ る. • 今回の場合でも,仮想環境内に敵対的な方策があることがわかった. – 火玉がみえたときに,ある移動をすると消せちゃう. – 世界モデルは近似的な確率モデルに過ぎないので,いくらでも現実世界にはな いチートをみつけてしまえる. 27

28.

確率モデルによる解決可能性 • 今回は実際の環境の取りうる結果の確率分布をモデル化するために MDN-RNNを用いた. – 確率的にすることで,CがMの欠点を悪用することを防げる. – 不確実性(温度τ)が,世界モデルのリアルさと悪用可能性のトレードオフに なっている. – また混合密度モデルなので,環境の背後にある複雑な論理をモデル化できる可 能性が高い. 28

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反復的な訓練 • 今回のタスクは簡単だったので,それっぽい世界モデルを訓練できた. – より複雑なタスクでは,反復的な訓練が必要 – 世界モデルが良くなるように新しい観測を収集する. • 関連テーマ: – 好奇心・内発的動機づけ • Mの尤度をみて,大きいところ(不確かなところ)に行くように行動を選択することで, 内部モデルが改善されそう. – 行動や報酬の予測 • 模倣学習とか – 神経科学とのつながり • 海馬のリプレイによる記憶の固定化( 「Replay Comes of Age」) – カリキュラム学習とか 29

30.

まとめ • 世界モデル中で訓練できる可能性を実証した. – 世界モデルを深層学習フレームワークで学習できるというところに色々利点が ある. – これは,世界を微分可能にしているということに対応(Schmidhuber先生や松 尾先生の考え) • 感想: – 手法よりも,関連研究周りのまとめが面白かった. – 内部モデルの「信念の更新」をどう入れ込むかに興味がある. • 好奇心だけだと内部モデルが学習しきれないのでうまくいかない可能性がある. • 個人的には信念の更新をベイズ的に考えたい. • 外部的に常に尤度をチェックする機構があるといい(「意識」のモデル化) – 内部モデルはまとめて深層生成モデルで扱いたい. 30