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February 13, 25
スライド概要
複数の事業・文化の集合体たる DeNA グループにおいて、社内 IT に責任を持つ IT 戦略部が、どのように AI 技術と向き合い、活用を考えているのか。
また、従業員がより気軽に、より早く AI 機能を使えるよう、どのようなポイントに気を付けているのか。
これから AI 機能・製品の導入を検討されている方、導入までのスピードを早めたい方、自社製品への AI 機能組み込みを考えている方に、一例として生の声をお届けできればと思います。
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DeNAの情報システム部⾨の AIとの付き合い⽅ 1 © DeNA Co., Ltd.
⾃⼰紹介 利根川 宏之(Hiroyuki Tonegawa) 2022年12⽉DeNAに⼊社。 全社提供のOkta、Google Workspace を主に、様々な社内ITの運⽤整備や 導⼊⽀援を進める傍ら、最新情報の キャッチアップや後進育成を担う。 過去に インシデントマネージャー SaaSプリセールスなどの 経験を持つ。 2 © DeNA Co., Ltd.
本⽇の主旨とIT戦略部について 3 © DeNA Co., Ltd.
本セッションの内容 ● ● ● ● 4 IT戦略部について 社内向けGPT系Slackアプリ「ChatAI」について 各クラウドサービスのAI活⽤ 【まとめ】社内ITにおける⽣成AIとの付き合い⽅ © DeNA Co., Ltd.
IT戦略部とは IT本部IT戦略部はDeNAグループ全体の社内ITに責任を持つ「情シス」 従業員向けヘルプデスク、IT資産管理、ITコスト管理 従業員向け全社ITツールの契約、導⼊〜運⽤保守など全てを実施 IT本部 IT基盤部 5 IT戦略部 セキュリティ部 品質管理部 © DeNA Co., Ltd.
IT戦略部の内訳 IT戦略部は5グループで構成されています ● ● ● ● ● 端末管理‧ヘルプデスクを担うエンプロイーエクスペリエンスグループ 社内向けITツールを担うテクニカルオペレーショングループ 社内向けドメイン管理やサーバー、GitHubなどエンジニアを⽀える基盤グループ システム間連携や社内ツールの設計‧開発を担う開発グループ 会計‧⼈事などバックオフィスに特化したツール/システム専⾨のコーポレートオペレーショングループ IT戦略部 エンプロイー エクスペリエンス 6 テクニカル オペレーション 基盤 開発 コーポレート オペレーション © DeNA Co., Ltd.
社内向けChatGPT Slackアプリ 「ChatAI」について 7 © DeNA Co., Ltd.
⾃⼰紹介 ⽐嘉 ⾵(Hayashi Higa) 2022/04 新卒⼊社 IT戦略に配属後、社内システムの保守、開発を担当 2024年3⽉からは新チームのリーダーを拝命 既存システムや新システムの開発などに携わりながら ⽣成系AIを始めとした新たな領域へチャレンジ中 専⾨領域はVim 8 © DeNA Co., Ltd.
ChatAIとは 「最速で全従業員にAIを使ってもらう」をコンセプトに開発、提供されているSlack Bot 9 © DeNA Co., Ltd.
ChatAIとは 現在利⽤可能なモデルは以下の4種類 ‧通常のGPT4o mini と会話が可能な「GPT-4o mini」 ‧通常のGPT-4oと会話が可能な「GPT-4」 ‧社内情報を学習させた「INTERNAL Model」 ‧部⾨やプロジェクトに閉じた情報を学習させるモデル「Closed Model」 10 © DeNA Co., Ltd.
本⽇お話する内容 ‧現在⼒を⼊れている取り組み ‧ChatAIの部内活⽤の推進 ‧ChatAI 進化のための取り組み 11 © DeNA Co., Ltd.
本⽇お話する内容 ‧現在⼒を⼊れている取り組み ‧ChatAIの部内活⽤の推進 ‧ChatAI 進化のための取り組み 12 © DeNA Co., Ltd.
Closed Modelの提供 特定の範囲のメンバーしか閲覧できない情報を学習させるためのモデル このモデルの提供により活⽤の幅がさらに広がった 【主な機能】 ‧利⽤者の制限 ‧部⾨毎の独⾃ドキュメントの学習 (関係者外秘の資料など) 昨年のTechCon時点では⾃部⾨に留められていたが、 現在では16個のClosed Modelが展開され、各部⾨で活⽤されている 13 © DeNA Co., Ltd.
全社従業員への利⽤促進アナウンス ⽉に2回ChatAIの機能や使い⽅を配信 Closed Modelの紹介後に導⼊相談が急増するなど、⼀定の効果を出している 14 © DeNA Co., Ltd.
チャンネルでの利⽤ ChatAIへの質問をSlackチャンネル上でできるように改修(従来はDM画⾯のみ) 改修により以下の使い⽅が可能になりました。 ‧他のユーザーとAIの回答を共有する。 ‧他のユーザーから使い⽅を学ぶ。(他の⼈のプロンプトを参考にする) ‧⻑くなったスレッドを要約する。 ⼀⼈で使うだけでなく、周りのユーザーと⼀緒に使うことが可能に 15 © DeNA Co., Ltd.
チャンネルでの利⽤ 利⽤例 16 © DeNA Co., Ltd.
本⽇お話する内容 ‧現在⼒を⼊れている取り組み ‧ChatAIの部内活⽤の推進 ‧ChatAI 進化のための取り組み 17 © DeNA Co., Ltd.
ヘルプデスクでの活⽤事例 チケット返信での活⽤ DeNAのヘルプデスクには⼀⽇平均20件ほどの新規チケットが起票される ヘルプデスク担当者は来た相談を⼀度ChatAIに聞き、その上で起票者に返信を⾏なっている 18 © DeNA Co., Ltd.
ヘルプデスクでの活⽤事例 チケット返信での活⽤ 19 © DeNA Co., Ltd.
ヘルプデスクでの活⽤事例 チケット返信での活⽤ - 2024年12⽉に起票されたチケットについて ChatAI活⽤範疇内チケットのうち、48%のチケット解決に役⽴っていた ChatAIが使えなかったチケットのクローズにかかる時間 ‧早くて30分、⻑いと 60 分以上 ChatAIが使えたチケットのクローズにかかる時間 ‧⻑くても 30 分程度 20 © DeNA Co., Ltd.
ヘルプデスクでの活⽤事例 ナレッジの⾃動拡充 ‧AIを使い、ヘルプデスク上で⾏われたやり取りから個⼈情報を削除させ、要約 ‧要約したやりとりをwikiに保存 ‧保存されたwikiの内容を⼈が確認し、問題無ければChatAIの学習対象に追加 対応者の知識や調査が今後のChatAIの回答に繋がり、 他のユーザーが同じことで困った際の助けに繋がる 21 © DeNA Co., Ltd.
部全体での利活⽤の取り組み 部全体での利活⽤の取り組み ChatAIを提供しているIT戦略がAIを使いこなし、部内の課題を解決 最終的に「欲しい情報は全てChatAIのClosed Modelから探せる/辿れる」状況を作る これを達成するために2つの取り組みを実施している 22 © DeNA Co., Ltd.
部全体での利活⽤の取り組み リアクションを活⽤した返信 投稿されたメッセージにリアクションを付けるとChatAIから回答が貰える機能 ‧⾃分の投稿に対して後からChatAIの回答を貰う ‧他の⼈が⾏った質問に対してリアクションを付け、ChatAIに回答させる ChatAIを使っているユーザーはより楽に質問できる ChatAIに聞く意識の無いユーザーも受動的に活⽤可能になった 23 © DeNA Co., Ltd.
部全体での利活⽤の取り組み リアクションを活⽤した返信 利⽤例 ←対象のリアクション 24 © DeNA Co., Ltd.
部全体での利活⽤の取り組み Closed Model精度向上のための取り組み 回答精度の低下にはいくつかの原因が考えられる 例: ‧wikiの不⾜ ‧ChatAI側の精度が低い それらの原因を特定し、修正していくための取り組みを実施している 25 © DeNA Co., Ltd.
部全体での利活⽤の取り組み アンケートの実施 IT戦略部向けClosedModelで実施しているアンケート ‧ChatAIの回答に⾃動的にgood/badのリアクションが付く ‧ユーザーが良かったらgood、悪かったらbadを付け、回答を評価する 26 © DeNA Co., Ltd.
部全体での利活⽤の取り組み やり取りの保存 プライバシー/機密保護の観点から通常、質問と回答は保存していない IT戦略部向けClosed Modelに対して⾏われた質問とその回答は保存するように変更 先述のアンケート結果と合わせて今後の分析に活かしていく 27 © DeNA Co., Ltd.
本⽇お話する内容 ‧現在⼒を⼊れている取り組み ‧ChatAIの部内活⽤の推進 ‧ChatAI 進化のための取り組み 28 © DeNA Co., Ltd.
学習ソースの追加 昨年のTechCon(2024年2⽉)時点ではINTERNAL Modelの学習ソースは以下の2つだけだった ‧社内wiki ‧社内ヘルプデスクのQ&A 2024年度にはこれらに加え、様々な学習ソースを追加した 29 © DeNA Co., Ltd.
学習ソースの追加 Google Drive上の資料の学習 PDF、Docs、Slidesの3種類を学習可能 現在は業務規則や⼈事制度、セキュリティ情報を中⼼に学習している この機能はINTERNAL Modelだけでなく、Closed Modelでも利⽤可能 現在INTERNAL Modelも含め5つのModelで利⽤されている 30 © DeNA Co., Ltd.
学習ソースの追加 kintoneのアプリの学習 社内で利⽤されているkintoneアプリを学習対象に追加 wikiが無いkintoneアプリの情報やkintone上にしかない情報を聞き出すことも可能に 例: ‧○○の申請について教えて 31 © DeNA Co., Ltd.
学習ソースの追加 社員名簿システム「TALENTBASE」の学習 社員の⽒名や部署、⾃⼰紹介が記載されたシステム「TALENTBASE」の学習をスタート 「○○に詳しい⼈は?」「○○さんの部署は?」など⼈に関する質問が可能になる想定だった データと検索アルゴリズムの相性が悪く、結果に反映されていない 32 © DeNA Co., Ltd.
学習ソースの追加 社員名簿システム「TALENTBASE」の学習 社員の⽒名や部署、⾃⼰紹介が記載されたシステム「TALENTBASE」の学習をスタート 「○○に詳しい⼈は?」「○○さんの部署は?」など⼈に関する質問が可能になる想定だった データと検索アルゴリズムの相性が悪く、結果に反映されていない このあと紹介するアルゴリズム改修により改善されることを確認済み 33 © DeNA Co., Ltd.
学習ソースの追加 今後の取り組み 現在、DeNA内ではwikiとしてConfluenceが主に活⽤されている しかし、Notionを利⽤している部⾨もあり、それらの部⾨はChatAIの恩恵を受けづらい Slackのログなど、知⾒は⼤量にあるが学習できていないツールもある 内製であるからこそできるDeNAに合った学習ソースの追加を続けていく 34 © DeNA Co., Ltd.
検索アルゴリズムの検証 / 改修 RAG周りの検証/修正 LLMに情報を追加し、回答精度を上げるための技術にRAGがある 今まではベクトル検索を⽤いてRAGを実現していた 35 © DeNA Co., Ltd.
検索アルゴリズムの検証 / 改修 従来のRAGの仕組み (ベクトル検索) 36 © DeNA Co., Ltd.
検索アルゴリズムの検証 / 改修 hybrid検索の導⼊ 従来のベクトル検索では⽂脈が似ているドキュメントを取得することを得意としていた 単語の⼀致を検索するのは不得意なため、TALENTBASEなどの結果が反映されなかった 37 © DeNA Co., Ltd.
検索アルゴリズムの検証 / 改修 hybrid検索の導⼊ 従来のベクトル検索では⽂脈が似ているドキュメントを取得することを得意としていた 単語の⼀致を検索するのは不得意なため、TALENTBASEなどの結果が反映されなかった 全⽂検索を新たに導⼊し、単語が⼀致しているものも検出できるように改修 →ベクトル検索と全⽂検索を組み合わせたものをhybrid検索という 38 © DeNA Co., Ltd.
検索アルゴリズムの検証 / 改修 hybrid検索の導⼊ 39 © DeNA Co., Ltd.
検索アルゴリズムの検証 / 改修 hybrid検索の導⼊ (導⼊前と導⼊後の回答の違い) 40 © DeNA Co., Ltd.
ChatAIの紹介 - 最後に 今後実施していくこと ‧ChatAIをより活⽤できる機能の開発 ‧ChatAIの回答精度向上 ‧⽣成された回答の分析 ChatAIから社内の情報を全て引き出せる環境を作っていく 41 © DeNA Co., Ltd.
各クラウドサービスのAI活⽤ 42 © DeNA Co., Ltd.
DeNA社内で利⽤しているITツール DeNA社内で利⽤中のツールは以下に分類されます。 ● 全社利⽤ツール ○ IT戦略部でライセンス調達‧管理‧運⽤を実施。 ● 事業⽤ツール ○ 購買やSSO設定など基本的な内容をIT戦略部で実施。 ツール運⽤は各部⾨で実施。 申請 43 上⻑承認 法務チェック セキュリティチェック AIチェック 購買 利⽤ マスタ登録 © DeNA Co., Ltd.
DeNA 社内ITツールカオスマップ 会計‧⼈事 バックオフィス 向け 経費精算 給与‧⼈事申請 労務管理 SAP Conucr ヘルプデスク ドキュメント管理 PBX デバイス管理 コミュニケーション/ミーティング 課題管理 ホワイトボード IDaaS/IdP グループウェア ファイル共有 全社提供ツール 資産管理 インフラ 営業 特定業務向け 44 ワークフロー デザイン ソース管理 顧客サポート Adobe © DeNA Co., Ltd.
DeNA 社内ITツールカオスマップ 会計‧⼈事 バックオフィス 向け 経費精算 ※ が左下にある物が ⽣成AI機能搭載製品 給与‧⼈事申請 労務管理 SAP Conucr ヘルプデスク ドキュメント管理 PBX デバイス管理 コミュニケーション/ミーティング 課題管理 ホワイトボード IDaaS/IdP グループウェア ファイル共有 全社提供ツール 資産管理 インフラ 営業 特定業務向け 45 ワークフロー デザイン ソース管理 顧客サポート Adobe © DeNA Co., Ltd.
カオスマップから分かるDeNAの社内IT事情 ● ツールの種類が多様。業務要件に最適なツールを選択している ○ ○ 機能重複は絶対悪ではなく、業務要件/コスト/運⽤⾯で評価 上記に合致する最適なツールを選定している 1つの製品にまとめないことでロックインを防ぐ効果を期待 ● エンタープライズ向け製品‧プランを採⽤する製品が多い ○ ○ DeNAは幅広い事業を⼿掛けているため、多様な業務ニーズがある 多様なニーズに応えられるエンタープライズプランの採⽤が多い ■ 利便性/管理/セキュリティを実現している ● 海外クラウドサービスの利⽤が多い ○ ○ 46 製品の改善スピードが早く、最新の機能を使⽤できる ⼀⽅で為替影響を受けやすいデメリットがある © DeNA Co., Ltd.
社内利⽤ツールにおけるAI機能の提供状況 ● カオスマップを元に各ツールにおける「AI機能の提供状況」を整理 ○ 2025年2⽉時点の機能展開状況 ○ AI機能有効化におけるDeNA情シスの判断ポイント 47 © DeNA Co., Ltd.
各製品のAI機能とその評価軸(展開済み①) 提供元 AI機能名称 機能概要 有償/無償 導入判断 Google Cloud Gemini for Google Workspace Google Workspaceのオ フィススイート製品のAI補 助 無償 展開中 Google Geminiアプリ 対話型AIサービス 無償 展開中 Google NotebookLM RAGツール 無償 展開中 Zoom Zoom AI Companion ミーティングの要約など 無償 展開中 理由 Google Workspaceライセ ンスに内包されるため追加 費用不要 有償ライセンスに内包される ため、追加費用不要 ※有償=追加でAI機能や上位のプラン契約が必要 48 © DeNA Co., Ltd.
各製品のAI機能とその評価軸(展開済み②) 提供元 AI機能名称 機能概要 有償/無償 導入判断 理由 Atlassian (Jira/Conflue nce) Atlassian Intelligence JQL(JiraのSQL言語)や 検索・下書き補助・要約な ど 無償 展開中 契約中プランで利用可能 Miro Miro AI テキストからボードのテン プレートを作成 無償 展開中 契約中プランで利用可 ※上限あり Adobe Adobe Firefly 画像生成 有償 展開中 デザイン業務の試用として。 GitHub GitHub Copilot Business コーディング支援、PRの 説明生成など 有償 展開中 社内ニーズによるもの。 ※有償=追加でAI機能や上位のプラン契約が必要 49 © DeNA Co., Ltd.
各製品のAI機能とその評価軸(検討中/⾒送り) 提供元 AI機能名称 機能概要 有償/無償 導入判断 理由 Zendesk AI Agent Advanced AI 問合せの分析、自動応 答、下書きと提案など 無償(Agent) 有償 (Advanced) 検討中 社内向けはコスト見合い 社外向けは検討・検証中 Windows組み込み型の 操作支援 有償 見送り Microsoft Windows Copilot Okta Okta AI 様々な機能の総称 セキュリティ対策支援機 能など 有償 見送り Slack Slack AI スレッドの要約など 有償 見送り Box Box AI ファイルの要約、分析、応 答 有償 見送り コスト見合い ※有償=追加でAI機能や上位のプラン契約が必要 50 © DeNA Co., Ltd.
導⼊の判断基準 ● データ保護の観点 ○ 利⽤規約などで、⼊⼒データが学習されないこと。 ○ オプトアウトできること。 ● 権限の観点 ○ AIが提供する機能が「利⽤者の操作可能範囲」を超えないこと。 ● QCD(クオリティ‧コスト‧デリバリー)の観点 ○ ○ ○ 51 品質/コスト/有効性のバランス。 数ドル/⽉でも対象⼈数が多ければコストが増加する。 既存の契約プラン内で利⽤できる場合は素早い展開判断を実施。 ■ 機能によってはリリースから1〜2か⽉以内に社内展開を実施。 © DeNA Co., Ltd.
AI機能の活⽤状況 ● GitHub Copilot Business ○ ○ ○ 全社エンジニア2,500⼈のうち約400⼈が利⽤。 他の製品との⽐較や導⼊効果測定を検討中。 ChatやCLIなどGitHub Copilotの有する様々な機能を検証しながら活⽤を進めている。 ● Zoom AI Companion ○ ○ ○ 有償ユーザーのうち⼀部が利⽤中。 会話のやり取りのみでなく、会議中にConfluence(社内Wiki)を共同編集をすることもあり、機能を100%活かせない。 DeNAの会議スタイルとマッチしない部分があるが、品質や機能は他のAI機能に⽐べ⾼いと認識。 利⽤状況や品質の可視化‧計測ができると評価しやすい。 →さらに今後の活⽤や展開プランの考慮が進む。 52 © DeNA Co., Ltd.
素早いAI機能展開の「裏側」 ● 実績として「リリースから1〜2か⽉の間に社内へ展開」 ○ あわせて展開予定を含めた進捗を社内へ公開。 ● 迅速なリリースには事前の情報収集‧共有が不可⽋ ○ ○ ○ リリース前からの情報収集。 利⽤規約やライセンス適⽤範囲の確認。 法務部⾨‧セキュリティ部⾨‧AI技術部⾨と密に連携。 ● 利⽤中の他サービスとの兼ね合いをチェック ○ ○ 53 社内に展開済みの既存サービスとの機能重複を事前に確認。 導⼊する価値があるか?は個別に判断。 © DeNA Co., Ltd.
スピーディーな展開の裏側 ● 実績として「リリースから1〜2か⽉の間に社内へ展開」 ○ あわせて展開予定を含めた進捗を社内へ公開。 ● 迅速なリリースには事前の情報収集‧共有が不可⽋ ○ 利⽤規約やライセンス適⽤範囲の確認。 把握する→調べる→まとめる ○ 法務部⾨‧セキュリティ部⾨‧AI技術部⾨と密に連携。 →判断する→レビューに回す→展開する ● 利⽤中の他サービスとの兼ね合いをチェック ○ ○ 54 社内に展開済みの既存サービスとの機能重複を都度確認。 この流れ‧基準が 導⼊する価値があるか?は個別に判断。 定型‧可視化されていることが⼤事 © DeNA Co., Ltd.
⽣成AIの導⼊検討において 気を付けている事 55 © DeNA Co., Ltd.
AIリテラシー研修とその効果 AIリテラシー研修(※)の実施により、ChatAIを初めとするAI機能利⽤時 の注意点の周知が社内で⼀般化できた。 研修で述べられていること(抜粋) ● ● ● ● ● 秘密情報の⼊⼒NG 個⼈情報の⼊⼒NG 権利の無いデータの⼊⼒NG 応答内容をそのまま使うのはNG Human in the loopの徹底。⼈の⽬での判断が必要。 ※AI利⽤における注意点等を定着させるための全従業員向け研修 56 © DeNA Co., Ltd.
⽣成AI(LLM/SD)は万能ではない ⽣成AIの特徴:⽂章‧画像‧⾳声‧動画等の「⽣成」や「⾃然⾔語処理」 が得意であり、従来のAI(機械学習や深層学習AI)と得意分野が異なる。 ⼀⽅で「専⾨知識不要で使える」ため昨今のトレンドになっている。 業務⽤途ではAI機能は「⽬的を満たす⼿段の1つ」であり、 新たな「システムやツールの導⼊と同じ」観点で接する必要がある。 57 © DeNA Co., Ltd.
⽣成AIが万能ではない具体例 ● 従来のチャットボットの代替にできるか? ○ ○ ○ ● データ分析や整形を任せられるか? ○ 58 チャットボットは教育に多⼤な時間が必要であり、運⽤開始までに労⼒とコストがかかる。 「⽣成AIにFAQをそのまま学習させればよいのでは?」という問いが⽣じる。 ■ 質問内容と回答を⼈間がチェックした上で⼊⼒し、回答を引き出すチャットボットと⽐較し、 「回答⽣成のロジックが不明な⽣成AIの回答」には信憑性に⼤きな差がある。 ● 誤った応答によるトラブルの可能性がある。 ■ プロンプトインジェクションなど攻撃⼿法により、恣意的な回答をさせることが可能 →提供者の意図しない回答をAIから引き出すことができてしまう。 その問題を解消したのがRAG、ただしチューニングや検証が必要で、導⼊準備期間も⻑くなる スプレッドシート(エクセル)のデータの分析や整形⽤途 ■ ⽣成AIはデータの傾向や分析には不向きである。 ■ 整形するための関数などの提案は優秀だが、関数が正しいか?の検証は重要。 ● GoogleスプレッドシートならGoogle Gemini ● ExcelならMicrosoft Copilot ■ ⼀⽅で分析⼿法の提案など、求められたことに対する回答は得意。 © DeNA Co., Ltd.
【まとめ】 社内ITにおける⽣成AIとの付き合い⽅ 59 © DeNA Co., Ltd.
⽣成AIツールとの向き合い⽅ ● ⼊⼒データ‧⽣成結果双⽅に責任が伴う ○ ⼊⼒から応答まで⼀貫して「利⽤者がしっかり責任を持つ」範囲であるという認識が必要。 ● 学習させる知識の整理‧重み付け‧最新化が⼤事 ○ ○ 誤答を防ぐには、「情報の体系化‧重要ポイントの指定‧時系列の提⽰」が⼤切。 ■ 相⼿が「過去の情報」を求めているのに「現在の情報」を出してしまったり、その逆も然り。 ⼈間がプロであっても基礎を忘れず、常にアップデートし続けないと他者に置いて⾏かれる ■ AIも⼈間と同じ成⻑過程があることを意識する。 ● ⽣成AIの特性を理解して利⽤をすることが必要 ○ ○ ○ LLMは⾔語処理が得意だが万能ではない。 正誤性や著作権など、AIの認知外の「縛り」が存在する。 最終的な責任は⼈間(利⽤者)しか取れない。 AIに何を求めるか?を利⽤者が⾔語化することが最も⼤切。 60 © DeNA Co., Ltd.
サービスに組み込まれるAI機能に求めたい事 昨今、様々なサービスにAI機能が組み込まれていますが‧‧ ● オプトアウト(学習させない)を原則にして欲しい。 ○ 稀に製品向上のためと⾃動で学習がオンになってしまうツールがあります… ● クローズドモデルが利⽤できることは今後も重要な認識。 ○ 社内ナレッジ×クラウド製品機能のシナジーが価値に繋がる ● 「製品の特徴を活かすAI機能」であってほしい。 ○ ただAI機能を追加しました。Chatで質問に答えます。では物⾜りない… ● 「AI機能の価値」判断には「何を解決できるか」が重要 AIの次世代進化でより⾼度に変化する可能性に期待。 61 © DeNA Co., Ltd.
最後に ● ⽣成AIは進歩の途中、継続的改善と事前準備が⼤事。 ○ ツールの良し悪しのみでなく、利⽤者側の準備も必要。 ● AIは万能ではない。得意分野を正しく理解する必要がある。 ○ ITツールの1つとして向き合う必要がある。 社内IT担当者は技術的なサポートのほか、利⽤者のリテラシー向上を意識 する必要がある。 「アンテナを⾼く持ち、⾏動につなげる」意識が⽋かせない。 62 © DeNA Co., Ltd.