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October 05, 24
スライド概要
日本洞窟学会 第50回大会 (佐野市葛生大会)で発表したスライド
洞窟登録番号導入の意義 (Cave Registry Number) The significance of introducing the Cave Registry Number 渡邉 剛広 1
自己紹介 氏名 渡邉 剛広(わたなべ たけひろ) 生年月日 1972/06/12 QTH 福島県いわき市 360写真を撮影し、 Mapillaryに投稿しています。 OpenStreetMap 2008/8/21登録 地図が好き ID loglogy 2
はじめに 1. 洞窟情報管理の現状と課題 2. 洞窟登録番号(Cave Registry Number)の意義 3. OpenStreetMapに登録されている洞窟 4. 洞窟登録番号付番方法 5. 登録機関の設置と管理 6. イベント紹介 3
1. 洞窟情報管理の現状と課題 ⑴ 洞窟情報管理の現状 洞窟は貴重な地質学・生態学等のフィールド 日本では洞窟データが地域ごとに分散して管理? 全国規模での洞窟の正確な把握が難しい 4
1. 洞窟情報管理の現状と課題 ⑵ 洞窟情報管理の課題 保全や探査活動の効率が低下 個別管理により、データの重複や不正確さ 適切な保護対策や緊急時の対応が困難 洞窟データの統一と全国的な管理システムの導入 が急務 5
2. 洞窟登録番号の意義(Cave Registry Number) ⑴ 洞窟登録番号の意義 データの一元管理 全国の洞窟データを全国で同じ基準での洞窟に番 号を付与し、一元化し、重複やミスを防ぎ、正確 な洞窟情報の効率的な管理を実現。 保全活動の強化 洞窟の状態や位置を正確に把握し、保全対象の特 定や保護対策の効率化が可能に。 探査活動の安全性向上 洞窟の地図や危険区域の情報が共有され、安全な6 探査活動をサポート。
2. 洞窟登録番号の意義(Cave Registry Number) ⑵ ハンガリーの法律 ハンガリーにおける自然保護に関する1996年法律第LIII号 ハンガリー共和国議会は、国の自然遺産が国家の富の特 定かつ回復不可能な部分を形成していること、現在およ び将来の世代のためのその保全、地方の維持、管理およ び開発、天然資源の経済的かつ賢明な使用、生物多様性 の保護、および人類の生存の基本条件である人間と自然 の調和のとれた関係の確立には、国際義務に従って自然 保護の規定を制定する必要があることを認識し、以下の 法律を採択する。 URL:https://www.asser.nl/upload/eelwebroot/www/documents/HUN/hungary%20Nature%20Conservation%20law.htm 7
2. 洞窟登録番号の意義(Cave Registry Number) ⑶ ハンガリーにおける自然保護に関する 1996年法律第LIII号 自動的な保護: ハンガリーではすべての洞窟が自動的に法的保護を 受け、発見された時点で保護区域に指定される。 アクセスと活動の規制: 洞窟に関する活動(採掘、建設、観光な ど)は厳しく規制され、自然状態を変える可能性がある行為には特 別な許可が必要。 保護の責任: 土地所有者や洞窟利用者は、洞窟のエコシステムや地 質構造を損なわないようにする責任がある。 修復と保全: 損傷を受けた洞窟は修復され、エコシステムを維持す るための保全計画が優先される。 科学的・生態学的価値の重視: 洞窟は地質学的な意義だけでな く、生物多様性保護のためにも重要な生息地と見なされる。 8
2. 洞窟登録番号の意義(Cave Registry Number) ⑷ ハンガリーの National Cave Registry 9 URL: https://termeszetvedelem.hu/
3. OSMに登録されている洞窟 ⑴ OpenStreetMapの著作権とライセンス OpenStreetMap® は著作権者であるOpenStreetMap財団 (OSMF)がOpen Data Commons Open Database License (ODbL) の 下にライセンスするオープンデータです。 OpenStreetMapとその協力者をクレジットすれば、データ を自由にコピー、配布、送信、利用することができます。 変更したり翻案したりしたデータは同じライセンスに従う 場合のみ、提供することができます。あなたの権利と責任 は、ライセンス契約の全文で説明しています。 地図タイルの作成法やドキュメントは、Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.0 ライセンス (CC BY-SA) に基づいてラ 10 イセンスされます。
3. OSMに登録されている洞窟 ⑵ OpenStreetMapの洞窟登録数 Overview natural=cave_entrance Type Number of objects Year 2018 ⇒ 2024 All 31,113 ⇒ 64,283 Nodes 30,862 ⇒ 63,705 Ways 246 ⇒ 574 Relations 5 ⇒ 4 taginfoで調べる https://taginfo.openstreetmap.org/tags/natural=cave_entrance Data © OpenStreetMap contributors (ODbL) 11
3. OSMに登録されている洞窟 ⑵ OpenStreetMapの洞窟登録数 Overview natural=cave_entrance 12
3. OSMに登録されている洞窟 ⑵ OpenStreetMapの洞窟登録数 13
3. OSMに登録されている洞窟 ⑶ natural=cave_entranceとよく使われるタグ RANK COUNT 1 46,216 2 9,169 3 6,189 4 5,600 5 4,938 6 4,346 7 4,287 8 2,936 9 2,383 10 2,087 割合 Other tags 71.87%name=* 14.26%source=* 9.62%ele=* 8.71%access=* 7.68%fee=* 6.76%fee=no 6.67%description=* 4.57%wikidata=* 3.71%access=yes 3.25%wikipedia=* 意味 名前 ソース 出典 標高 立入の可否 料金 無料 洞窟の入口の方向 立入可 14
3. OSMに登録されている洞窟 ⑷ OSMに洞窟を登録する 編集時の注意 OSMは、OSMのデータを自由なライセンスのもとで配布しています。そ のため、OSMの編集を行うにあたっては、第三者が著作権を主張する情報 源から転載することによって、他者の著作権を侵害することのないよう、 注意を払ってください。 商用地図からの情報転載を行わないでください。 OK,利用可能な情報源 NG,利用できない情報源 ・Bing航空写真 (Bing地図は許諾されていません) ・地理院地図 ・Mapillary ・自身による現地調査結果 ・Creative Commons license ・商用地図全般 (Google Maps, Bing地図など) ・国土数値情報 ・Google Street Viewの写真情報 ・他人の調査結果 ・調査報告書の位置図等 15
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑴ UTMグリッドシステムの使用 ⑵ 地域コードベースの付番 ⑶ 洞窟の特性に基づく分類体系 ⑷ 発見順に基づく付番 16
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑴ UTMグリッドの使用 UTM(Universal Transverse Mercator)グリッドを利用して、洞窟の正確 な座標を基に番号を割り当てる方法です。地理的な位置をグリッド形 式で記録することで、洞窟の正確な位置が特定でき、他の洞窟との区 別も容易になります。 ◎地理院地図から取得可能 ● メリット × デメリット ・他の地理情報との連携が容易 ・地形の複雑さによる影響 ・標準化された位置表現 ・13桁ある 17
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑴ UTMグリッドの使用 ◎地理院地図から取得可能 宇津野洞窟 cave:ref:jp=54SUF76403214 13桁 18
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑵ 地域コードベースの付番 洞窟の所在地に基づいて、地域ごとに固有のコードを割り当てます。例えば、 県や市、町ごとに洞窟番号を分類し、その地域内での発見順に番号を付ける方 法です。この方式は、地理的な位置情報を簡単に整理するために役立ちます。 市町村コード 佐野市=09204+○○○○ ● メリット × デメリット ・地域の保全管理が容易 ・国際的な一貫性の欠如 ・登録番号の簡便化 ・番号の再割り当てが必要な場合がある ・データベース管理の複雑化 ・洞窟の地理的範囲の曖昧さ ・地区コード 19
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑶ 洞窟の特性に基づく分類体系 洞窟の物理的特徴(長さ、深さ、地質学的構造など)や、洞窟の発見・利用 の歴史に基づいた分類システムを導入します。これにより、洞窟の重要度や保 護優先度を明確にすることが可能になります。 ● メリット × デメリット ・洞窟の詳細な特性の反映 ・分類基準の複雑さ ・統一性の欠如 ・分類の主観性 20
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑶ 洞窟の特性に基づく分類体系 洞窟の物理的特徴(長さ、深さ、地質学的構造など)や、洞窟の発見・利用 の歴史に基づいた分類システムを導入します。これにより、洞窟の重要度や保 護優先度を明確にすることが可能になります。 地質分類 延長 長さ深さ 水がある 形状 L:石灰岩 L:1,000m以上 W:濡れる S:単純 V:火山性 M:1000m以下 D:乾燥 L:複雑 S:海蝕 S:100m以下 LLDL○○○ → ○○どうやって決める? ● メリット × デメリット ・洞窟の詳細な特性の反映 ・分類基準の複雑さ ・統一性の欠如 ・分類の主観性 21
4. 洞窟登録番号付番方法 ⑷ 発見順に基づく付番 洞窟が発見された順番に基づいて番号を付ける方法もあります。これは特に、 新しく発見された洞窟に対してわかりやすくシステム化される方法です。 ● メリット × デメリット ・シンプルで分かりやすい ・後から発見された洞窟の管理が難しい ・管理の効率化 ・番号の重複や混乱のリスク ・歴史的な記録の維持 ・統一的なデータ管理が困難 ・手間が少ない 22
5. 登録機関の設置と管理 ⑴ 全国規模でのデータベースの構築 洞窟データの一元化を図り、各地域の団体や研究者がアクセス 可能なデータベースを整備することで、情報共有の効率を高める。 ⑵ 登録ルールの標準化 二重登録やデータの重複を防ぐため、全国で統一された登録手 続きと付番方法を策定し、管理基準を設けることが重要。 ⑶ 管理体制の強化 登録機関が定期的にデータを更新し、必要に応じて地域との連 携を図ることで、正確で最新の情報を保つ管理体制を確立する。 23
6. イベント紹介 FOSS4G 2024 Japan Free & Open Source GISの祭典 日時 場所 2024年11月9日(土) ハンズオンデイ 2024年11月10日(日) コアデイ 専修大学生田キャンパス 7号館 ハンズオンデイ:実際に FOSS4G に触れていただき、 仕事や研究、趣味に役立てていただくことを目的 コアデイ :FOSS4G のヘビーユーザーや開発者の方 24 に講演、事例紹介
おわり ありがとうございました。 CAVE INFORMATION は OSMで共有しましょう!! 25