オプトアウトによる第三者提供を“安全運用”に再設計する(2025年版ー伊藤憲和)

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October 31, 25

スライド概要

オプトアウト提供を「本人に停止させる権利」「事前の通知・公表」「個人情報保護委員会への届出」「提供・受領の都度記録(3年保存)」まで一式で回すことで、同意なしの第三者提供を過剰防衛せず合法域に寄せるための実務マニュアル。要配慮個人情報はオプトアウト禁止、越境移転は28条で別建て、再オプトアウト提供は禁止という防波堤を最初に固定し、次にやるべきことを4ブロックで落とし込んでいる。具体的には、公表面に「提供項目・取得方法・提供先類型・停止方法・事業者情報」を並べ、“必要な期間”を置いたうえで提供開始する手順、PPCへの届出とその公表の順番、提供者・受領者それぞれが残すべき記録項目と3年保存義務、停止導線UIの文例(ワンクリック到達/引き留めなし)を提示。委託・共同利用・越境移転を第三者提供と混同しないための整理表、名簿購入やバリケード突破型の典型違反パターン、監査ログの雛形(timestamp/提供先/本人識別子/法的根拠27(2)/必要な期間確認者/公表版ハッシュ等)も収録。事業者側では「PPC届出→PPC公表→自社公表」「都度記録で一括代替なし」「停止請求に応じて新規提供を止める」という3本柱さえ守れば、監査・苦情・炎上コストを同時に下げられる構成になっている。
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伊藤憲和(いとう・のりかず/Norikazu Ito)。かつて、契約トラブルに遭いながら法律を知らず何もできなかった当事者でした。そこで痛感したのは「正しい手順と証拠があれば、同じ失敗は繰り返さない」という事実。今は、法律・行政・契約・消費者保護・個人情報・AI倫理を横断し、“不安や後悔を、制度理解と実務行動でプラスに転換する”ことを仕事にしています。 焦点は三つ。第一に誤情報で損をしない導線設計(定義→判定条件→例外→証跡)。第二に最低限守る線と、余裕があればやる線の二層運用。

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各ページのテキスト
1.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 オプトアウトによる第三者提供を“安全運用”に 再設計する(2025年版ー伊藤憲和) 結論(前提:国内B2C/SaaS・日本法準拠)—オプトアウトは「本人の停止機会」「事前の通知/公 表」「個情委への届出」「提供・受領の記録(3年保存)」が揃ってはじめて適法に近づく。要配慮個 人情報は不可、越境移転は別建て(28条)、再オプトアウト提供も不可。制度を正しく噛み合わせ れば“名簿リスク”は実務で抑えられる。 前提条件(実装を始める前に固定する) ●​ 組織規模:中小〜大企業、自治体外郭団体(民間横並びの要件を採用)​ ●​ データ種別:氏名・連絡先・行動履歴等の個人データ(要配慮個人情報は対象外)​ ●​ 処理目的:マーケ・与信補助・不正検知など(目的の特定は別文書で明示)​ ●​ 共同利用の有無:原則なし(ある場合は**共同利用(27条5項)**で別運用)​ ●​ 越境の有無:なし(ある場合は**外国第三者提供(28条)**の追加要件を適用)​ ●​ 停止受付方法:Webフォーム+メール(24/7受付、本人確認は二要素)​ ●​ 保持期間:提供・受領の記録は3年保存(規則/ガイドラインの要請)​ ●​ 監査ログ項目:誰が/いつ/どの相手に/どの項目を/どの根拠で提供・受領・削除し たか​ 1. 定義(条文に沿ってズレをなくす) オプトアウトによる第三者提供=本人同意なしで個人データを第三者へ提供するが、事前通知/ 容易知得+停止機会付与+個人情報保護委員会(PPC)への届出を条件に可能とする制度(個 人情報保護法27条2項)。届出事項は氏名/住所/代表者、取得方法、停止可否・受付方法など で、PPC公表後に速やかに自社でも公表が必要。 ただし要配慮個人情報はオプトアウト不可(取得も提供も原則同意)。 1

2.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 2. 趣旨(立法目的) ●​ “名簿由来の不利益”を防ぐ:本人が気付かぬ流通を停止できる仕組みを最低限付け る。​ ●​ 透明性と追跡可能性:届出・公表で可視化、記録義務で監査可能にする。​ ●​ 濫用抑止:不正取得データやオプトアウトで受け取ったデータの再オプトアウト提供を禁 止して流通を鎖にしない。​ 3. 来歴(改正経緯の要点) ●​ 2022年(令和4年4月施行):​ ○​ 不正取得データは対象外に。​ ○​ オプトアウト提供データの再オプトアウト提供を禁止。​ ○​ 届出事項の拡充(取得方法等)、やめた場合の届出を新設。​ 4. 適用条件(“何をすればOKか”を手順で) A. 事前の通知/容易に知り得る状態+停止機会 ●​ 公表面(プライバシーポリシー等)に、提供項目/取得方法/提供先類型/停止可否と 受付方法/事業者情報をわかる順で掲載。​ ●​ 「必要な期間」を置いてから提供を開始(起算=通知または公表時、満了=提供前)。期 間の長さは業態・データ性質・受付体制等で個別判断。​ B. PPCへの届出 ●​ PPCに届出→PPC側で公表→自社でも速やかに公表。​ 2

3.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 ●​ 既にWebで掲載している場合、PPC届出後の重ね公表を別途求めない扱いがあり得る( Q7-30)。​ C. 提供・受領の記録(3年) ●​ 提供者の記録(27条2項の提供):年月日/提供先名・住所・代表者/本人識別情報/ 提供項目。​ ●​ 受領者の記録:提供元のオプトアウト届出事項がPPCで公表されている旨の記録が必 須。​ ●​ 一括記録や契約書代替はオプトアウト提供では不可(都度作成)。保存は原則3年。​ 5. 例外・但し書き(境界を明確に) ●​ 要配慮個人情報(健康・信条等)→オプトアウト不可。同意等の厳格運用へ。​ ●​ 越境移転(外国にある第三者)→28条の追加要件(同意等/体制確認等)。27条2項だけ では足りない。実務は外国第三者提供ガイドラインに従い設計。​ ●​ 委託・共同利用・事業承継:第三者提供に当たらない/別ルール。混線させない(表は後 掲)。​ 6. 証跡(監査可能性の設計) ●​ 届出・公表面:PPC公表URLの保存、社内承認記録、変更履歴。​ ●​ 記録:提供・受領都度の電子記録(改ざん検知つき)。受領側はPPC公表確認のスクショ/ タイムスタンプ。​ ●​ 停止受付ログ:受付→本人確認→処理完了のタイムライン(誰が/いつ/何を停止)。​ ●​ 保存:各記録は3年保持。​ 3

4.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 7. よくある誤解を一次資料で訂正 ●​ 「同意があれば全部OK」→オプトアウトは同意の代替ではない。要配慮や越境は別要 件。​ ●​ 「委託=第三者提供」→委託は別扱い。ただし委託先がさらに第三者提供するなら提供 側/受領側の記録義務が走る。​ ●​ 「PPCへの届出だけすればOK」→通知/容易知得+停止機会+記録が揃わないとNG。​ ●​ 「一括記録で省力化できる」→オプトアウトは都度記録が原則。​ ●​ 「Webに載せたら即提供してよい」→“必要な期間”を置く(起算/満了はQ&A参照)。​ 8. 今日からできる“最小実装” 最低限守る線(MUST) 1.​ 公表面の項目を整備(提供項目/取得方法/停止可否・受付方法/事業者情報)。​ 2.​ PPCに届出(様式名:改正法27条2項・同3項による第三者提供の届出/やめた旨の届 出)。​ 3.​ 停止UIを用意(後掲文例)し、**“必要な期間”**を運用ルールに明文化。​ 4.​ 提供・受領の記録を都度作成し3年保存。受領側はPPC公表の確認記録。​ 余裕があれば(SHOULD) ●​ DPIA的点検:提供の必要性・データ性質・停止導線の実効性。​ ●​ 自動化:PPC公表API/スクレイピングで受領前の届出確認を自動記録。​ ●​ ダークパターン対策:停止導線は1クリック到達+引き留めUI排除。​ 9. 同意UI(停止導線)短文例 4

5.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 第三者提供について​ 当社は、お客さまの○○データを第三者(広告配信事業者等)へ提供する場合があり ます。提供項目・取得方法・提供先類型・停止方法はこちらで公表しています。第三 者提供の停止は以下からいつでもお申し出いただけます。​ [第三者提供の停止申請フォーム]/[メール:[email protected]] 撤回の効力​ 停止申請が受理された後は、当社による新たな第三者提供を停止します(既提供 分は受領先の義務に従い対応)。 ●​ 備考:通知/公表後“必要な期間”を置いてから提供。起算/満了はPPC Q&Aのとおり。​ 10. 外部送信・共同利用・委託の区別表(誤用防止・要約) 論点 何か 法的 根拠 オプトアウ ト適用 第三 者提 供 個人データを 外部へ渡す 27条 可(条件 付) 通知/容易知得+停止機会+PPC届出+記録 (都度/3年) 共同 利用 特定者と共同 で利用 27条 5項 別制度 範囲・項目・管理責任者等を公表、同意不要の 場合あり 委託 目的達成の範 囲で処理委託 27条 5項 対象外 契約等で安全管理等を義務付け、第三者提供 の確認・記録義務は不要(ただし委託先が再 提供するなら別) 主な要件 5

6.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 越境 移転 “外国にある 第三者”へ提 供 28条 27条2項の みでは不可 本人同意等の追加要件、体制情報の提供等 (外国第三者GL) 監査の読み方:根拠条+ガイドライン該当箇所→記録ログの順に突き合わせる。 11. リスクと費用感(最小実装/拡張実装) ●​ 最小実装:公表面整備(法定項目)、PPC届出、停止フォーム、手作業記録(表計算+ ワークフロー)、3年保存。​ ●​ 拡張実装:DPIA、届出確認の自動化、提供前停止クールダウンのSLA化、受領前ガード (届出未公表の相手は受領不可)、抽出ログの署名/タイムスタンプ。​ 12. 失敗パターンと回避のコツ ●​ 名簿購入→即活用:届出確認と取得経緯の適法性を受領側で記録していない(アウト)。​ ●​ “停止リンク”を深い階層に隠す:容易知得性を欠く。公表面から1クリックで停止フォーム へ。​ ●​ 一括記録で省力化:オプトアウトには不可。都度記録に戻す。​ ●​ 越境は国内と同じ運用:28条の追加要件をスキップしてしまう。外国第三者GLで再設 計。​ 13. 監査ログ設計(雛形) 6

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作成:伊藤憲和 2025年10月25日 ●​ 提供ログ:timestamp / 提供先(名称・住所・代表者) / 本人識別子 / 提供項 目 / 法的根拠(27(2)) / “必要な期間”満了確認者 / 公表版ハッシュ / 受 付チケットID​ ●​ 受領ログ:timestamp / 提供元 / 取得経緯確認結果 / PPC公表確認URL・取得 日時 / 受領項目 / 用途 / 29条記録番号​ ●​ 保存:改ざん検知(ハッシュ鎖等)、3年保存、監査用の抽出手順をSOP化。​ 14. よくあるQ→A(短答) ●​ Q:オプトアウトはいつから可能?​ A:通知/容易知得の起算時から**“必要な期間”を置いた後、提供前までに満了**させる。 具体期間は個別判断。​ ●​ Q:PPCへの届出と自社公表の順序は?​ A:届出→PPC公表→速やかに自社公表。Webで既に容易知得状態なら重ね公表を別 途要しない扱いあり(Q7-30)。​ ●​ Q:受領側の最低限は?​ A:届出公表の有無確認の記録**+取得経緯の適法性確認**。​ ●​ Q:一括記録は?​ A:オプトアウトは不可**。都度記録。​ 15. 参考・一次資料(本文からの自然接続) ●​ 個人情報保護委員会「オプトアウト規定による第三者提供の届出」(改正点・様式・公表) /**平成28年11月(令和5年12月一部改正)**ガイドライン引用多数。​ ●​ PPC「ガイドライン(通則編):要配慮個人情報・オプトアウト不可の取扱」(令和4年9月8 日公表)。​ ●​ PPC「ガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編):受領側の届出公表確認記録、 都度記録」(平成28年11月、令和5年12月一部改正)。​ 7

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作成:伊藤憲和 2025年10月25日 ●​ PPC「ガイドライン(外国にある第三者への提供)」(令和4年)。​ ●​ PPC Q&A「Q7-29/30(必要な期間・公表の扱い)」。​ 16. 公共的価値(短く) 停止できる設計は、苦情の減少・監査時間の短縮・誤情報の流通抑止に直結する。制度を正しく 使えば、事業者の負担を増やさずに被害を減らせる。 17. 免責と運用差 本記事は一般情報であり、法律相談ではありません。事業類型・自治体・業界で運用差があり得 ます。個別案件は弁護士・士業へ。 18. 署名・帰属 作成:伊藤憲和 / Norikazu Ito 19. 更新履歴(追記方式) ●​ v1.0(2025-10-20):初版公開(届出・記録・越境の整理を強化)​ 付録:公表面“最低テンプレ”コピー用 見出し:第三者提供(オプトアウト)のご案内​ 提供項目:氏名、メールアドレス、○○ID、購買履歴(期間:過去12ヶ月)​ 8

9.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 取得方法:当社Web/アプリでの入力、Cookie等により取得した行動履歴、コールセンター記録​ 提供先の類型:広告配信事業者/アフィリエイト事業者/不正検知事業者​ 提供目的:広告効果測定/レコメンド精度向上/不正利用防止​ 提供方法:暗号化されたファイル/API連携(TLS)​ 停止について:お客さまは、当社による第三者提供の停止をいつでも求めることができます。​ 停止手続:[停止申請フォーム]/[[email protected]](件名:第三者提供の停止)​ 事業者情報:商号、所在地、代表者氏名、問い合わせ窓口(電話・メール)​ 最終更新日:YYYY/MM/DD​ 備考:要配慮個人情報のオプトアウト提供は行いません。外国にある第三者への提供は28条の 要件に従って実施します。 付録:監査チェックリスト(抜粋) ●​ 公表面に取得方法が明記されている(Q7-26の趣旨に適合)。​ ●​ 通知/容易知得→必要な期間→提供の順でログが揃う(Q7-29)。​ ●​ PPC届出→PPC公表→自社公表の順を証跡化(Q7-30)。​ ●​ 提供の都度記録(27(2)は一括/代替不可)。​ ●​ 受領側は届出公表の確認記録を保持。​ ●​ 記録保存3年。​ 検索適合メモ:「オプトアウトとは/どう違う/どう判定する/いつまでに」を本文 Q→Aで内包。条文・ガイドライン・Q&A・届出様式を本文に自然接続し、第三者が同 じ結論に到達できるよう構成。 https://profile.hatena.ne.jp/itounorikazu/ https://www.docswell.com/s/4821618885/Z9MY31-itounorikazu_appp28_crossb order_guide2025-10-25-233341 https://www.docswell.com/s/4821618885/5LV2DL-itounorikazu_subscription_fin al_confirmation2025-10-25-233724 https://www.docswell.com/user/4821618885 https://itounorikazu.hatenablog.com/entry/2025/10/23/100000?_gl=1*16ivw5p*_ gcl_au*MTkyMjYyNTY1OC4xNzYxMzkzMzYx 9

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作成:伊藤憲和 2025年10月25日 https://itounorikazu.hatenablog.com/entry/2025/10/21/100000?_gl=1*16ivw5p*_ gcl_au*MTkyMjYyNTY1OC4xNzYxMzkzMzYx 10