地図の”更新”第3回R3

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August 06, 22

スライド概要

地理院地図の「更新」の話題から展開して、旧版地図の公開について、更新以前の地理院地図の保存公開について、地理院地図のリアルタイム性の今後について、現状と将来への要望をのべた。さらに、紙地図の限界を超えて目指すべき方向性について、これからの議論のたたき台を示した。
外国の旧版地図閲覧サイト情報や、珍しい地図の画像も収録。

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各ページのテキスト
1.

地理院地図ファンクラブ2022年8月定例会 地理院地図の“更新” 第3回 (第2回の提案・要望・議論から) はり た あら いし 治田 洗礫

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目 次 • 第1回の発表の要旨 +α ・修正・更新からみた地図の諸相 ・地理院地図の更新と「図歴」 ・地図の更新にまつわる国土地理院への要望 • 第2回で出たご意見や要望について ・旧版地図の公開 ・現行地理院地図データの保存と旧データの公開 ・求められるリアルタイム性への対応 われわれの要望は、はたして実現可能なの?

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第1回の要旨 修正・更新からみた地図の諸相 面的更新 迅速更新 資料・指摘修正 ★数値写真に基づく面的更新 2500分1相当地域(主要地物面的更新) と 25000分1相当地域 図の中での“新旧混在” 図の中での異なる“精度の混在” 精度にそぐわない図式(建物記号など) ・紙地図時代は、「地図はある程度情報が古いのが 宿命」と認識されていた → ネット時代になって、地図の“リアルタイム性”を 求める声が強まった?

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第1回の要旨 地理院地図の更新と「図歴」 紙地図(地形図)時代は図郭単位で詳細な図歴が 管理表記され、確認することができた。 地形図は図郭ごとが1枚の地図 ↔ 地理院地図は日本全体で1枚 〇更新が図郭やタイル単位ではない 公共測量成果等を利用しているため、市町村境界などで図 歴の時期が異なる 〇容易にアクセスできる情報からは、詳しい測量・更新履 歴がわかりにくい 〇面的更新でも“改測レベル”と“修正測量レベル”がある よう

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第1回の要旨 更新にまつわる地理院への要望 ・地図には記録としての役割もあり、測量時点 (面的更新)の情報は保存して応需利用できるよ うにしてほしい ・地理院地図のようなweb地図は紙地図と異なり、 なんとなく「最新」であると勘違いする人が多い。 >地図上をクリックして更新時期が表示されると か、更新時期を色別表示できるとよい。 ⇒これによって地図の作成や更新がいかに大変 か一般にも認識されるのではないか。

6.

第2回での議論をもとに 各位からの地理院へご意見や要望 1.旧版地図の公開 2.現行地理院地図データの保存公開 3.求められる地図のリアルタイム性につい てどう対応するか

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第2回での議論をもとに 各位からの地理院へご意見や要望 1.旧版地図の公開 2.現行地理院地図データの保存公開 3.求められる地図のリアルタイム性につい てどう対応するか これらご意見・要望について、考察してみた →

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1.旧版地図の公開 外国とわが国の旧版地図公開の状況は? 公的測量・地図作成機関 スイス・英国・(米国)・台湾… 大学・図書館等 スタンフォード大・テキサス大オースチン校 東北大の外邦図・その他デジタルアーカイブ(古地図等) 有志(個人等)・企業 今昔マップ・全国Q地図・ひなたGIS・ 時層地図等 国土地理院で行ってもらうためには・・・ 予算・人員等の確保が必要 → そのためには一般社会が納得する理由付けが必要か 国土地理院HPの「地図・空中写真閲覧サービス」の 図歴の画像を高解像度化するなら、比較的容易?

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https://mapps.gsi.go.jp/history.html#ll 国土地理院

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地図・空中写真閲覧サービス 実物 国土地理院

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スイスWeb地図 https://map.geo.admin.ch/ 英国の旧版地図 https://www.visionofbritain.org.uk/maps フランスの旧版地図・空中写真 https://remonterletemps.ign.fr/comparer/ 米国の旧版地図 https://livingatlas.arcgis.com/topoexplorer/index.html 台湾の旧版地図 http://gissrv4.sinica.edu.tw/gis/twhgis.aspx# ソ連の旧版地図 https://maps.vlasenko.net/soviet-military-topographicmap/map100k.html

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地理院地図の“旧版”の保存と公開 “紙地図”ではなく、更新ごとに印刷図(地形図)が発行されるわけでは ないよう → 更新とともに消えていってしまう、という危惧 ※ 全国Q地図(「山と地図」さん)の画期的な取り組み

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2-1.地理院地図の旧データの保存公開 ◎ある時点における地理院地図の保存と公開 =「全国Q地図」さんの画期的な取り組み 〇 「全国を1枚の地図」とみなして、全国のタイルを保存公開 ただし…「2020年9月現在」といっても、測量(調製)・更新時期は… → 地図上の事物に、更新履歴情報がくっついていれば完璧だが・・・ ◎面的更新時点での対象部分の地理院地図の保存 これは、国土地理院さん以外が行うのは不可能? ★面的更新時点のデータを保存して、応需利用に供して ほしい。

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2-2.地理院地図の更新履歴の明示 〇更新の内容と履歴 についての問題点 面的更新 vs 迅速更新 vs 資料・指摘修正 更新された部位の詳細が明示されていない 面的更新でも、主要地物のみ更新の場合や、精度が 不均一な更新の場合がある ★ 図内に「新旧混在」が生じているが、図上で新旧が わからない(部位も時期も) ★ 全面的更新ではないことが分かりにくいのも問題 迅速更新における新旧混在の例 →

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情報の新旧混在 分かったほうが良いか 隠しておいた方が良いか GIF動画 更新前→2020.11面的更新後→2022.4迅速更新後 国土地理院

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情報の新旧混在 “新旧逆転”が生じることも・・・? 国土地理院 GIF動画 2020.11更新前→迅速更新後→2021.10面的更新後 鷹巣中央小学校=2021.3.31閉校 面的更新の原典の情報は2019.5~2020.3

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面的更新後の異なる精度の混在 GIF動画 更新後の地理院 地図と空中写真を比較。 2つの集落で精度に差異。 GIF動画 更新後に建物が、津留集落は 真位置に。山口集落は総描のまま。 国土地理院

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3 -1 .求められる地図のリアルタイム性について みんながスマホで地図を利用する社会 紙地図なら、印刷時点の情報だろうと認識するが、 スマホだと常に最新情報だと勘違い?期待? → 地理院地図のジレンマ 陥穽? 災害時・緊急時の地理的情報として、可及的に最新に保つニーズ 地理院地図は“迅速更新”によって、現時点で可能な限り リアルタイム性に対応している。 ただし、リアルタイムはごく一部分・・・ さらに多様な事物までリアルタイムな対応が求められる時代? ↔ 迅速更新に労力を取られすぎる弊害 地理院地図のリアルタイム性の充実を国民が求めるなら、 国土地理院に大幅に予算を付ける必要があろう

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3 ‐2 .求められる地図のリアルタイム性について ・現状では、求められるリアルタイム性への完全対応は困難 ・全ての地理的最新情報が地図で得られる、というのは無理 → 何らかの工夫で乗り切る? リアルタイム情報の一つとして、ALOSだいちからの最新の衛星写真 などを常時アップしたレイヤを作るなど、できないものだろうか? 地理院地図上に更新情報へのリンクを貼るとかは? リアルタイムな迅速更新の弊害 =地図内の「新旧混在」 どのような対応がありうるだろうか →

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地図内の「新旧混在」への対応案 迅速更新→地図内の「新旧混在」 迅速更新については、現状で可能な月ごとの更新ポイント表示に加えて、面的更新 後の迅速更新地点をすべて表示できるオプションを作るだけでも、有用と思われる 面的更新でも、主要地物のみ更新の場合あり、 「新旧混在」が生じている → 更新箇所と更新日を容易に確認できたほうが良い 更新箇所が敢えてわかるように、色やテクスチャなどを変えたり、表示を点滅させる とか、は可能? 非更新箇所との継ぎ目がわからないような“きれいな”更新のほうが、ユーザーを “騙して”いる? ↔ 地図の美しさ・信頼感 地理院地図画面の右クリックで、更新部位と日付がわかるように表示がされるなど の工夫も含めて検討できないものだろうか?

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付. 異時的な情報を同時表示した 国土地理院の過去の地図の例 4万分1都市化過程図 (札幌・土浦)(1980年) 1万分1地形図明治vs平成(日本橋・新宿)(1989年) 2.5万分1地形図(東京市)(昭和7年部分修正測図) 過去の例が“成功”しているとは言い難く、迅速更新部分 を区別して表記するという課題は難しいかもしれないが、 オンラインの画面上の地理院地図として、紙地図ではな しえなかった境地に挑んでほしい気もします・・・

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4万分1都市化過程図 (札幌・土浦)(1980年) 国土地理院

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1万分1地形図明治vs平成(日本橋・新宿)(1989年) 国土地理院

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2.5万分1地形図(東京市)(昭和7年部分修正測図) 大日本帝国陸地測量部

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付. 紙地図的な発想からの脱却(現状と課題) ・シームレス化と継ぎ目 ・ズームレベルに見合った表現(精度) ・等高線の要否(DEMから自動生成も可能でもあるし…) ・地図の目的 用途 ⇔ 測量方法・精度と成果の呈示法 → 平面? 球(ジオイド)面? 3D? バーチャル? ・さまざまな情報の統合・取捨選択・配置 → 最終的には地図作成・編集・更新のAI化 ・動画的な要素を加える ・情報へのリンクを貼る ・紙地図はオンデマンド印刷(利用者による編集も可) 電子地形図25000(オンライン) ただし、意外と地図を“いじる”利用者(需要)は少ない(藤村氏;第51回国土地理院報告会)

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まとめ 1. 旧版地図の公開 ⇒ 図歴画像の高解像度化 2. 地理院地図の“旧版”の保存・公開 ⇒ 図上事物に更新履歴情報が付与されたタイル 面的更新時のデータ保存と応需提供 3. 更新履歴の明示 ⇒ 作成・更新日・更新部位の“見える化” 4. リアルタイム性を充実させるには、予算の充当を! 5. リアルタイム性を補完する何らかの工夫も検討を 6. 更新の“見える化”やリアルタイム性補完には、紙地図から 脱却した“オンライン地図”の利点を生かした発想で!

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地理院地図ファンクラブ2022年8月定例会 地理院地図の “更新” 第3回 おわり はり た あら いし 治田 洗礫