Stoessel法によるプロセス熱安全評価:導入から基礎概念まで

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May 10, 26

スライド概要

本スライドセットは、Stoessel法を用いたプロセス熱安全評価の“全体像”を、初学者から実務者まで一貫して理解できるように構成した導入編です。

プロセス開発の初期段階では、熱危険性評価に必要なデータが十分に揃わないことが多く、
その状態で溶媒・濃度・投入方法・冷却能力などの重要な意思決定を行う必要があります。

Stoessel法は、この“データ不足の現実”に最適化された評価フレームワークであり、
最小限の熱データから、プロセス条件下での危険度を定量的に推定できる点に大きな価値があります。

本資料では、

Stoessel法が必要とされる背景(問題提起)

温度 vs 時間の挙動図による反応の可視化

SCC(Stoessel Criticality Classification)による危険度の定量分類

実務での意思決定を支えるメリット

製薬・ファインケミカル業界での受容状況

を、図表とともにわかりやすく整理しています。

Stoessel法の理解は、
TMR・MTSR・φ因子・TD24 といった基礎指標の理解へと自然につながり、
プロセス安全の議論を“構造的・定量的・再現性のあるもの”へと引き上げます。

導入編として、Stoessel法の価値・位置づけ・実務的意義を短時間で把握できる内容になっています

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I am a Process Development Engineer specializing in Chemical Engineering and Organic Synthesis. My work focuses on developing and optimizing synthetic processes that enable scalable, safe, and economically viable manufacturing of chemical products.

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各ページのテキスト
1.

Stoessel法によるプロセス熱安全 評価:導入から基礎概念まで 1

2.

Revision History Name Ver. Date Revision Reason Keisuke MIYABAYASHI 1.00 May 10th, 2026 Create New Create New 2

3.

Section 1|Stoessel法の導入 3

4.

1-1|なぜ Stoessel の手法なのか(問題提起) • プロセス開発の初期段階では、熱危険性評価に必要な データが揃わない。 しかし、溶媒・濃度・投入方法・ 冷却能力などの意思決定は待ってくれない。 • 「限られたデータで、どこまで危険を見積もれるか」 これが、現場の本質的な課題である。 • Stoessel法は、この“データ不足の現実”に最適化され た評価フレームワークであり、 初期段階からプロセス 安全を構造的に議論できる基盤を提供する。 理想:完全な熱データセット • 反応熱 • 分解熱 • 速度論 • 伝熱係数 ↓(現実) 実際:断片的なデータだけ • 反応熱(概算) • 分解開始温度(目安) • 伝熱係数(推定) 4

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1-2|Stoessel法の本質的価値(解決の方向性) • Stoessel法は、最小限の熱データ(反応熱・分解開始温度・反応速度の概略・伝熱係数)から プロセス条件 下での危険度を定量的に推定できる手法である。 • 反応の時間発展(温度 vs 時間)を描くことで、 安全領域 → 注意領域 → 危険領域 の遷移を直感的に可視化 できる。 • さらに、Stoessel Criticality Classification(SCC)により、 危険度を 1〜5 の標準化指標で分類し、 プロセ ス間の比較や対策の優先順位付けを可能にする。 • DSC/ARC の生データでは得られない、 “プロセス条件に直結した安全性評価” を初期段階で実現できる点が 最大の価値である。 Kummer, Alex & Varga, Tamás. (2020). What do we know already about reactor runaway? – A review. Process Safety and Environmental Protection. 147. 460-476. 10.1016/j.psep.2020.09.059. 5

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1-3|Stoessel法がもたらす実務的メリット(価値の具体化) • Stoessel法は、プロセス開発の意思決定を加速させる。 • 説明力が高い:安全部門・製造部門・マネジメントに一 枚の図で説明可能 MTSR(最大到達温度)への影響 • 意思決定が速い:溶媒変更、濃度変更、投入速度変更、 セミバッチ化の影響を即座に評価 • 濃度 ↑ → MTSR ↑(危険側へ) • 追加実験の優先順位が明確:不要な実験を減らし、開発 スピードを向上 • 冷却能力 ↑ → MTSR ↓(安全側へ) • 投入速度 ↑ → MTSR ↑(危険側へ) • 経験差を埋める共通言語:若手〜ベテランまで同じ基準 で議論できる • つまり Stoessel法は、 「安全 × スピード × 再現性」 を同時に満たす実務的フレームワークである。 6

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1-4|業界での受容状況(信頼性の裏付け) • Stoessel法は、欧州・米国を中心に、製薬・ファイン ケミカル業界で広く採用されている。 • 欧州製薬企業(Roche, Novartis, Bayer 等) → 初期 プロセス安全評価の標準手法として定着 • [欧州] → 製薬大手で標準化(Roche, Novartis, Bayer) • 米国製薬企業(Pfizer, Merck, Eli Lilly 等) → プロセ ス安全レビューの基礎資料として Stoessel 指標を活 用 • [米国] → プロセス安全レビューで広く使用 (Pfizer, Merck, Lilly) • ファインケミカル領域 → 「熱危険性評価の第一ス テップ」として採用が拡大 • [日本] → 大手化学・CMOで採用拡大中 • 規制・監査対応でも有効 → “なぜ安全と言えるのか”を 図で説明でき、透明性が高い • 教育コストが低く、組織全体の安全文化を底上げ • Stoessel法は、単なる学術的手法ではなく、 業界の共 通言語として機能する実務標準になりつつある。 7