>100 Views
August 23, 24
スライド概要
「令和6年度公立短期大学図書館協議会職員研修会」の講演資料です。
1977年茨城県生まれ|皇學館大学文学部国文学科准教授・図書館司書課程|つくば→スロベニア→伊勢|図書館情報学(文学館・文学散歩・文学アーカイブ・ウィキペディアタウン・学生協働・読書会)|ビブリオバトル普及委員会代表理事(二代目)済|知的資源イニシアティブLibrary of the Year選考委員長|伊勢河崎一箱古本市
皇 學 館 大 学 文 学 部 国 文 岡学 野科 准 裕教 行授 前 学 と 生 後 協 働 の 令 和 二 六 〇 年 二 度 四 公 年 立 八 短 月 期 二 大 十 学 三 図 日 書 館 金 協 議 会 ア 職 ス 員 ト 研 津 修 会
自己紹介 二 二 〇 〇 二 二 四 三 年 年 二 二 〇 〇 二 二 二 一 年 年 二 二 二 〇 〇 〇 二 一 一 〇 九 八 年 年 年 二 〇 一 七 年 二 〇 一 六 年 二 二 〇 〇 一 一 五 三 年 年 二 〇 一 一 年 二 〇 〇 六 年 二 二 一 〇 〇 九 〇 〇 七 三 〇 七 年 年 年 桑 伊 伊 津 本 亀 三 愛 ビ N 桑 名 津 伊 伊 三 一 皇 伊 ビ 皇 ビ N ビ 皇 ス 筑 図 図 茨 P 名 張 市 勢 勢 重 般 學 勢 ブ 學 ブ P ブ 學 名 賀 勢 市 よ 山 重 知 ブ ロ 図 波 情 書 書 城 市 市 市 図 も 市 研 大 県 リ ラ O 市 市 子 市 市 県 社 館 河 リ 館 リ ラ O リ 館 ア ヴ 書 大 報 館 館 県 立 子 子 書 う 図 究 学 子 オ イ 法 立 立 子 立 立 団 大 崎 オ 大 オ イ 法 オ 大 ジ 館 学 メ 情 情 生 図 ど ど 館 ね 書 開 情 供 バ ブ 人 図 図 も ど 図 図 法 学 一 バ 学 バ ブ 人 バ 学 ア ニ 情 大 デ 報 報 ま 書 も も 協 館 発 報 読 ト ラ 知 書 書 読 も 書 書 人 附 箱 ト 文 ト ラ 知 ト 文 ・ ア 報 学 大 大 れ 館 健 読 議 と 協 室 教 書 ル リ 的 館 館 書 読 館 館 ビ 属 古 ル 学 ル リ 的 ル 学 ア 共 メ 院 ア 学 学 図 全 書 会 M 議 学 育 活 普 資 協 協 活 書 協 協 ブ 図 本 普 部 普 資 普 部 フ 和 デ 図 専 大 図 書 育 支 委 I 会 術 ・ 動 及 ・ 源 議 議 動 活 議 議 リ 書 市 及 国 及 ・ 源 及 国 リ 国 書 攻 学 書 等 成 援 員 E 委 ア 研 推 委 オ イ 会 会 推 動 会 会 オ 館 実 委 文 委 オ イ 委 文 カ リ ア 館 博 院 館 専 情 士 情 情 選 施 プ 運 員 ド 究 進 員 ブ ニ 委 委 進 推 委 委 バ ふ 行 員 学 員 ブ ニ 員 学 研 定 策 ロ 営 長 バ 機 協 会 ・ シ 員 員 会 進 員 員 ト み 委 会 科 会 ・ シ 会 科 究 ブ 攻 報 前 報 報 審 検 ジ 委 議 会 長 イ 構 議 ア ザ ア 長 ル く 員 代 准 理 ザ ア 普 助 科 リ 博 メ 期 メ 学 士 デ 課 デ 部 査 討 員 ザ 情 会 ド ・ テ 副 議 協 ら 会 表 教 事 ・ テ 及 教 日 イ 委 委 ク 会 報 委 バ イ 程 図 委 委 委 図 本 ナ 後 会 倶 運 理 授 ヤ ブ 員 書 研 大 期 ア 修 ア 書 員 員 ト ラ 員 イ ヤ ブ 楽 営 事 副 員 員 副 会 会 チ イ 部 委 館 究 学 課 研 了 研 館 委 ザ 長 長 代 I I 司 講 文 程 究 ブ 究 情 副 副 員 選 R 顧 員 選 R 書 表 ラ 科 報 課 座 学 修 科 委 委 ム 長 考 I 問 考 I 理 程 リ 学 員 員 ア 委 委 専 部 了 事 担 科 長 長 ド 員 員 当 任 セ バ 長 講 卒 ン イ 師 業 タ ザ 二 〇 〇 七 年
本日の主な参考資料 ①岡野裕行「大学図書館における学生協働とは何か」 『情報メディア研究』vol.18、no.1、2019、p.29-40. https://doi.org/10.11304/jims.18.29 ②岡野裕行、井上真美、三木彩花「学生協働の取り組みは 学生・職員・教員の間でどのように違って見えているのか: 皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の4年間を事例として」 『図書館界』vol.71、no.5、20202、p.288-293. https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.5̲288
1.学生協働とは何か 学生協働の目的 ①大学図書館の運営に利用者の視点を取り入れること。 ②学生スタッフの学習・キャリア形成支援を行うこと。 ③学生スタッフを通じて他の学生への学習支援を行うこと。 ※八木澤ちひろ「大学図書館における学生協働について:学生協働まっぷの事例から」 『カレントアウェアネス・ポータル』no.316、2013-06-20. http://current.ndl.go.jp/ca1795
1.学生協働とは何か 大学図書館における学生協働の位置づけ ①ラーニングコモンズ ●空間の提供による学びの支援(空間のデザイン) ②学生協働 ●人材の対応による学びの支援(関係のデザイン) ●学生協働とは、大学図書館における人と人との多様な つながり方を読み解いた上で、それらの関係を図書館活動 のなかにどのように位置づけ、新たなサービスとして 展開していくのかを考え続けていく活動である。 ※八木澤ちひろ「大学図書館における学生協働について:学生協働まっぷの事例から」 『カレントアウェアネス・ポータル』no.316、2013-06-20. http://current.ndl.go.jp/ca1795
1.学生協働とは何か 協働・協同・調停 ①協働(collaboration) ●自らが属する組織や文化の異なる他者と、一つの目標に向けて 互いにパートナーとしてともに働くこと。 ②協同(cooperation) ●明確な目標や組織を持たない、比較的短期間のインフォーマルな 協力関係のこと。 ③調停(coordination) ●協同よりもフォーマルな関係であり、長期間にわたって特定の 計画を遂行するために、調整的な努力を行う関係のこと。 ※坂本旬「「協働学習」とは何か」『生涯学習とキャリアデザイン』vol.5、2008、 p.49-57.http://hdl.handle.net/10114/6703
1.学生協働とは何か 協働の特徴 ①長期間にわたる関係であること。 ②相互の緊張感が高い関係であること。 ③何らかのリスクは伴うが大きな成果が期待できる 関係であること。 ●協働の特徴とは、関係者同士が長い時間をかけて活動を 続けていくことで、何らかの成果を生み出していくもの である。 ●それが学生協働という言い方になる場合には、学生自身も さまざまな形で協働関係に含まれることになる。 ※坂本旬「「協働学習」とは何か」『生涯学習とキャリアデザイン』vol.5、2008、 p.49-57.http://hdl.handle.net/10114/6703
1.学生協働とは何か 公共図書館において協働が成立する条件 ①オーナーシップ(図書館は行政ではなく市民の持ち物) ②イコールパートナーシップ(市民と行政との対等関係) ●これはあくまでも公共図書館における協働の条件を論じた ものだが、大学図書館における学生協働の文脈に置き換え ても有効な考え方である。 ●つまり学生協働とは、学生が自らの意思で大学図書館の 活動に関わり、なおかつ協働相手と学生が対等関係で なければならない。 ※岡本真「図書館行政における『協働』の現在と未来」『地域開発』vol.626、2018、 p.59-63.
1.学生協働とは何か 学生協働の主体 ●坂本と岡本はいずれも「パートナー」という表現を用いて 説明しているが、学生協働に関わる学生がどのような 相手とそのような関係を築けるのかについては、 大学図書館職員がその筆頭の立場にくる。 ●しかし、それが学生協働のパートナー関係における唯一の あり方になるわけではない。 ●「学生が関わる」「学生と関わる」のいずれの捉え方も 可能なため、学生協働の主語が誰になるのかも検討する 必要がある。
2.学生協働の何が課題なのか 学生協働に関する議論の問題点:石川 ●その一方で重要なのは、学生や図書館員がこうした大学 図書館活動を「学生協働」としてどのように認識している のか、という点である。 ●やや厳しい言及となるが、例えば学生は大学図書館が提供 する学生参画型「サービス」の受益者として認識しては いないか。 ●他方で、図書館員は学生アルバイトの「代替者」として、 さらには図書館員の業務の負担軽減や、大学図書館の実績 づくりとして捉えている可能性も否定できないであろう。 ※石川敬史、近藤秀二、安達美奈子、兵賀房代、泉佳代子「大学図書館における 学生協働の意義と課題:十文字学園女子大学ライブラリーサポーターの活動を中心に」 『十文字学園女子大学紀要』vol.48、no. 2、2018、p.191-203. http://id.nii.ac.jp/1463/00000156/
2.学生協働の何が課題なのか 学生協働に関する議論の問題点:石川 石川らは学生協働の以下の点について、関係者同士でそのあり方 を見つめ直すことが重要だと指摘している。 ①大学図書館において何のために学生協働を実施しているのか。 ②学生協働により何を実現するのか。 ●この問題提起は、学生と大学図書館職員に対してのみ「厳しい言及」を述べる 形になっている。 →石川らは学生協働の定義のなかで、「複数人の学生が教職員らとともに」とも 述べており、学生協働の関係者に大学教員も含まれることを指摘している。 ●それならば前述の問題提起には、大学教員に対する「厳しい言及」も盛り込む こともできたはずだが、その点への言及はされていない。 ※石川敬史、近藤秀二、安達美奈子、兵賀房代、泉佳代子「大学図書館における 学生協働の意義と課題:十文字学園女子大学ライブラリーサポーターの活動を中心に」 『十文字学園女子大学紀要』vol.48、no. 2、2018、p.191-203. http://id.nii.ac.jp/1463/00000156/
2.学生協働の何が課題なのか 学生協働に関する議論の問題点:廣田 廣田は大学図書館職員の立場から、「学生が主役になるには どうすればいいのか」という問いに対する見解を示している。 ①学生が教職員と接する機会を増やす。 ②学生間で協力して行う学習を支援する。 ③学生の主体的な学習を支援する。 ④学習の進み具合をふりかえらせる。 ⑤学習に要する時間を大切にさせる。 ⑥学生に高い期待を寄せる。 ⑦学生の多様性を尊重する。 ※廣田未来「お茶の水女子大学附属図書館の学生支援:ラーニング・コモンズとLiSA プログラム」『情報の科学と技術』vol.61、no.12、2011、p.489-494. http://hdl.handle.net/10083/50936
2.学生協働の何が課題なのか 学生協働に関する議論の問題点:茂出木 茂出木は大学図書館職員に求められる能力についての提言を 行っている。 ①調査力 ●現状を客観的に把握し、他大学や世間の動向を察知すること。 ②構成力 ●課題と問題の切り分けができること。 ③アピール力 ●何が問題でどうすればいいのかを文章にできること。 ※茂出木理子「ラーニング・コモンズと図書館:お茶大図書館改革の裏側を語る」 『北海道地区大学図書館職員研究集会記録』no.52、2010、p.3-13. http://hdl.handle.net/10083/48982、(参照2019-06-17).
2.学生協働の何が課題なのか 学生協働に関する議論の問題点 ●廣田・茂出木の論考は、いずれも大学図書館職員を読み手に 想定したものだが、これらは本来の意図する内容(学生協働の 論点整理)の記述に加え、学生協働の話題を大学図書館職員の 業務と結びつける視点を強化する働きも暗に含んでいる。 ●つまり、従来の学生協働に関する論考では、学生協働の実態や 展望を語ろうとすると、学生と大学図書館職員という二者のみ が強調されてしまう傾向にある。 ●これは学生協働の取り組みが大学図書館で始まり、実際の活動 場所として大学図書館が選ばれやすいことから、大学図書館 職員と学生にとっての学生協働に注目が集まるためだろう。 ●学生協働の可能性を広げ、多様な活動の形を見出すためには、 そういった従来の認識をいかにして塗り替えるのかも考え なければならない。
3.学生協働の定義の変遷 学生と大学図書館職員との協働 A)学生と図書館職員の協働による図書館活性化のための 活動のこと。 (廣田・茂出木の定義:2009年) B)学生の修学及びキャリア形成教育を支援するとともに、 あわせて図書館業務・サービスの向上につなげていくことを 目的とする活動のこと。 (日高・岡田の定義:2009年) ※廣田未来、茂出木理子「学生と図書館の協働の可能性:お茶の水女子大学LiSA プログラムについて」『大学図書館研究』no.87、2009、p.1-8. http://hdl.handle.net/10083/49191 ※日高友江、岡田隆「学生協働(Library Assistant)によって変わる図書館サービス: 山口大学図書館の実践」『大学図書館研究』no.87、2009、p.9-14. http://www.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/ handle/2010010160
3.学生協働の定義の変遷 学生と大学図書館職員との協働 ●AとBはどちらも特集記事「図書館と学生の協働」に掲載されたもの。 学生協働をテーマにした文献としては、もっとも早い時期のもの。 ●その後に続く学生協働に関する文献にも見られる以下の二つの論点が、 この時点で提起されている。 →図書館活性化による図書館業務・サービスの向上。 →学生の修学及びキャリア形成教育の支援。 ●Bには学生に対する「支援」という表現になっていることから、 学生協働の主語が大学図書館職員側に置かれていることがわかる。 つまり大学図書館職員が主体となり、学生たちとどのように関係して いくかを学生協働の形として想定している。
3.学生協働の定義の変遷 学生と大学図書館職員との協働 C)自発的・自立的に学習支援に関与し、図書館スタッフの 一員としての働きをする活動のこと。 (溝上・呑海の定義:2011年) ※この定義は直接的に学生協働についてまとめたものではなく、「学生アシスタント」に ついての定義だが、本稿では学生協働を構成する要素として学生アシスタントを位置 づけ、関係する取り組みとして捉える。 D)図書館業務の一端を、職員とともに、利用者でもある 学生が担う活動のこと。(八木澤の定義:2013年) ※呑海沙織、溝上智恵子「大学図書館におけるラーニング・コモンズの学生アシスタント の意義」『図書館界』vol.63、no.2、2011、p.176-184. https://doi.org/10.20628/toshokankai. 63.2̲176 ※八木澤ちひろ「大学図書館における学生協働について:学生協働まっぷの事例から」 『カレントアウェアネス・ポータル』no.316、2013-06-20. http://current.ndl.go.jp/ca1795
3.学生協働の定義の変遷 学生と大学図書館職員との協働 ●CとDは学生が大学図書館職員と協働することを目指してはいるが、 いずれも図書館業務の一部を学生が担うことを想定しており、 既存の図書館サービスの範囲内に留めるような定義となっている。 これは学生協働という名称で呼ばれていても、実態としては大学図書館 職員の補助的業務を担当する役割という認識である。 ●Cには「自発的・自律的」という文言も含まれるが、それは大学図書館 職員が行っている学習支援への関与に限定されており、新しい創造的な 活動の成果を期待した記述にはなっていない。言い換えれば、大学図書館 職員の業務内容を超えるところはそもそも期待されておらず、あらかじめ 定められた枠内に学生たちの活動範囲が留められている。 ●Dには「職員とともに」という表現が含まれているように、職員と関わる ことが学生協働において必須のものと認識されている。これは八木澤自身 が大学図書館職員であることも影響していると考えられるが、この定義 からは大学図書館職員の存在を抜きにした活動の可能性が見えてこない。 ●つまり、学生による主体的な活動という体裁を取りながら、実態としては 職員が何らかの形で関与することが前提となっている。
3.学生協働の定義の変遷 学生協働の形態 ①図書館業務サポート ●配架 ●図書館広報 ●館内案内 ●カウンター業務 ●ICT機器サポート ②学生選書 ●選書ツアー ●展示コーナー ●POP作成 ③学習支援 ●学習相談 ●レポート作成支援 ④学生サークル・その他 ●学生団体による図書館内の活動 ※八木澤ちひろ「大学図書館における学生協働について:学生協働まっぷの事例から」 『カレントアウェアネス・ポータル』no.316、2013-06-20. http://current.ndl.go.jp/ca1795
3.学生協働の定義の変遷 学生同士の協働という視点への広がり E)大学図書館において、学生同士あるいは学生と職員が 共通の目的のため、協力して共に活動すること。 (「学生協働ワークショップin東京実行委員会」の定義: 2014年) F)大学図書館の運営に主体的にかかわる学生活動のこと。 (平尾の定義:2014年) ※学生協働ワークショップin東京実行委員会「学生協働ワークショップin東京2014」 http://www.lib.ocha.ac.jp/lib-student2014. html ※平尾元彦「キャリアから考える学生協働」『大学教育』vol.12、2015、p.22-27. http://www.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/ handle/D500012000003
3.学生協働の定義の変遷 学生同士の協働という視点への広がり ●Eは「学生同士」と記述されているように、「職員と学生」という関係 だけではなく、学生同士の活動も想定した表現になっている。 また、Fでは「学生活動」ということを明確に打ち出している。 ●AからDの定義とは異なり、大学図書館職員の存在が活動条件に必須では ないという点で、より多くの人たちと関わり合う可能性が示されている。 これらの定義には、学生自身が学生同士で大学図書館活動に関わっていく 意味も含まれている。 ●大学図書館職員の存在を、学生協働の取り組みに必ずしも含めなくても よいことを指摘した点で、EやFによる認識の変化は注目に値する。
3.学生協働の定義の変遷 学生同士の協働という視点への広がり ●学生協働という用語は、学生と大学図書館職員のどちらも主語にできる ことをEは示しているが、大学図書館職員が主語となる場合は、 学生には必ず関わってもらう形態になる。 ●一方、学生が主語になる場合は、大学図書館職員以外との協働という 選択肢も視野に入ってくるため、より多様な学生協働の形が確立できる。 ただし、Eに「大学図書館において」、Fに「大学図書館の運営に」と 記述されているように、活動空間の範囲は限定されている。 ●パートナー関係の面では大学図書館職員に限らないという解釈の幅を持つ ことができたが、協働空間を大学図書館内に限るという制約がEとFには 残されている。
3.学生協働の定義の変遷 大学図書館の外へ G)なんらかの組織・団体と学生が協働して目的を達成する ことにより、学生に対する教育となるばかりでなく組織・ 団体にとってもメリットがある活動のこと。 (若杉・飯野の定義:2015年) H)大学の理念や大学図書館の目的を実現するため、 複数人の学生が教職員らとともに、他者性を認識し尊重し あいながら、図書館運営へ主体的に関わる創造的な活動で あり、実践を反省的に振り返る成長と相互承認を含む働き のこと。(石川らの定義:2018年) ※若杉亮平、飯野昌子「北陸学院大学ヘッセル記念図書館における学生協働:学生図書館 サポーターの活動を中心に」『北陸学院大学・北陸学院大学短期大学部研究紀要』 no.8、2015、p.337-344.http://id.nii.ac.jp/1273/00000947/ ※石川敬史、近藤秀二、安達美奈子、兵賀房代、泉佳代子「大学図書館における学生協働 の意義と課題:十文字学園女子大学ライブラリーサポーターの活動を中心に」 『十文字学園女子大学紀要』vol.48、no. 2、2018、p.191-203. http://id.nii.ac.jp/1463/00000156/
3.学生協働の定義の変遷 大学図書館の外へ ●Gには「なんらかの組織・団体」という記述が見られるが、それに加えて 大学図書館という用語が定義に含まれなくなっている。そのため、 Gは大学図書館以外の組織・団体とも協働関係が成立するという解釈も 可能となっている。 ●つまり、学生たちがいつ・どこで学生協働を行うのかという視点からの 問い直しがされている。これにより、学生協働の舞台が大学図書館という 空間的な制約からも解放されることになる。
3.学生協働の定義の変遷 大学図書館の外へ ●空間的・人的な制約が定義から外れたとはいえ、学生協働の活動の場の 多くは従来どおり大学図書館が主であり、実態としては大学図書館職員が それに深く関与することに大きな変化はない。とはいえ、学生生活の多く の時間を過ごすキャンパス内の大学図書館以外の場所(共同研究室・ ボランティアルーム・学食・サークル棟など)も活動拠点になるという 点で、大学図書館という空間の枠組みを超える可能性を示したことの 意義は大きい。これによって大学図書館で始まった学生協働の取り組み が、キャンパス内のさまざまな場所へと積極的に動き出せることになる。 ●また、大学職員は日常業務を遂行しなければならないため、業務時間内は 一般にそれぞれの担当部署を離れづらい。当然ながら大学図書館職員も、 自らの持ち場である大学図書館内での業務が最優先される。しかし、履修 している授業以外の時間であれば、学生たちは比較的自由にキャンパスの 行き来ができるため、キャンパス内の他部署とのつながりを、学生たちが もたらす形も想定される。
3.学生協働の定義の変遷 大学の外へ ●さらにもう一歩踏み出せば、Gの定義にある「なんらかの組織・団体」の 意味する範囲を、大学の外にまで広げることもできる。それは学外から 協力者を大学図書館内に招き入れる形もあれば、学生がキャンパスを飛び 出し、まちのなかのさまざまな施設へと出向いていくことも想定できる。 ●そもそも大学教育とは、学生たちの学びをさまざまな方法で支援するもの であり、大学図書館はそのための施設の一つである。学生たちの学びの 環境を豊かなものにするためには、学生協働の拠点を大学図書館や キャンパス内に限らないほうが、可能性はより高まることになる。 ●前述した平尾も、「図書館に貢献するためには図書館以外のことに興味を 持つ」と述べているように、主な活動場所を見直すことも有効だろう。 まち全体が学生たちの学びの空間になると解釈することで、学生協働の 活動の形にも多様性が出てくる。 ●Hに記された「大学の理念」を実現する学びの空間を想定するならば、 大学図書館内やキャンパス内に学生協働の境界線を引くことにそれほど 大きな意味はない。「協働」の理念に照らし合わせて考えてみれば、 むしろ学生協働の取り組みには、大学図書館という施設の枠組みから 飛び出していく力を育むことも期待されていると言える。
3.学生協働の定義の変遷 大学の外へ ●また、Hには「創造的」という記述もあるが、これは何らかの新しい 成果を生み出すような、学生によるアウトプットを意味する用語である。 ●その成果は、具体的な形があらかじめ見えるようなものではない。 学生協働の内容に結果がわかりきっている業務を設定することは、 協働本来の趣旨からもずれが生じてしまう。学生たちにはむしろ、 大学図書館職員の想像を超える活動の成果を期待しなければならない。 ●この点については、既にAの定義の時点で、「図書館を活性化する」と いう表現が含まれていたことには注目したい。「業務の一部を任せること」 と「図書館を活性化すること」は、一見すると似ているようにも思えるが、 その後の活動の広がりの幅が大きく異なる。 ●大学図書館を活性化する材料が学外から得られることも想定されるため、 協働の理念に沿って考えるなら、大学図書館の空間の外を見つめる視点を 持たなければならない。
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 人・組織と学生との関わり方 ●八木澤による「学生協働マップ」が公開された頃に見られたような、 大学図書館職員が先導する学生協働という認識や実践は、その取り組みを 全国に広めていく初期の段階では有効な方法だっただろう。 「職員と学生」という枠組みで大学図書館の業務内容を見直すほうが容易 であり、大学図書館の活性化を考えるには、関係者同士の構図をできる 限り単純化したほうが理解しやすいためである。 当初の学生協働が、既存の図書館業務の補助を中心に考えられてきたのも そのためだろう。 ●しかし、大学図書館の運営に学生協働という枠組みを適用しようとする ならば、学生たちがいつ・どこで・誰と・どのような協働をしているのか について、これまでの事例をまとめておく必要がある。
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 三つの方向性(学内・学外・ウェブ) Ⅰ. 学内における学生協働 a)学生と大学図書館職員 ①企画展示 ②書架整理 ③カウンター業務 b)学生同士 ①ビブリオバトル ②トークイベント c)学生と学内各部署の職員 ①オープンキャンパス ②企画展示 d)学生と教員 ①キャリアデザインプログラム ②トークイベント
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 三つの方向性(学内・学外・ウェブ) Ⅱ. 学外における学生協働 e)学生とまちの人々・まちの文化 ①公共図書館の企画展示 ②ウィキペディアタウン ③一箱古本市 f)学生と他大学の学生や教職員 ①大学図書館学生協働交流シンポジウム ②全国学生協働サミット ③学生協働ワークショップin東京 ④学生協働フェスタin東海 g)学生と行政(官学連携) ①新潟大学と新潟県栃尾市 ②常葉大学と静岡県静岡市 ③皇學館大学と三重県伊勢市 h)学生と図書館関係企業(産学連携) ①十文字学園女子大学とキハラ ②金城学院大学と三省堂 ③愛知学院大学と同文舘出版・有斐閣 Ⅲ. ウェブを活用した学生協働 i)学生によるウェブの活用 ①公式ウェブサイト・ブログ・SNS ②LINEスタンプの制作
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 三つの方向性(学内・学外・ウェブ) ●学生個人の視点で見れば、大学図書館やキャンパス内で 過ごす時間は日常生活の一部でしかない。キャンパス内 では学生の立場で過ごしていても、敷地の外に出るとまち で暮らす市民の一人としての日常生活空間に移っていく。 ●学生たちの日常の過ごし方は、まちの人々や企業との 協働関係が生まれ出るための土壌にもなる。 特にeからhに見られる学外における取り組みは、 日常的な学生協働の実績の延長上に実現されるものである。 ●大学図書館は、学生たち自身が学生協働の出発点や 方向性を見据えるための主要な拠点となる。
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 学生協働の主役としての学生 ●大学図書館という枠組みから抜け出す視点を、いかにして学生 たちに獲得してもらうのかが大学図書館職員には問われている。 ●茂出木は、《エンベディットになれるかどうかは、 「図書館を主語にすることをやめられるかどうか」であり、 それは、授業において学習者を主役に置けるかどうか、 ということと同様であろう》と述べる。 →これは学習支援におけるエンベディットサービスについての見解だが、 学生協働においても十分有効な指摘となる。 ※茂出木理子「学習支援としての情報リテラシー教育:これまでとこれから」 『大学図書館研究』vol.100、2014、p.53-64. http://hdl.handle.net/10108/80083
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 学生協働の主役としての学生 ●学生協働という用語は、大学図書館職員が学生に対して業務の 一部を依頼する活動と捉えられてきた。ところが、大学図書館 職員が想定していない学生活動が計画・実行され、それが大学 図書館へと還元される事例も見られるようになった。 ●大学図書館職員が直接的に関与できる範囲には限界があること を理解・共有した上で、学生を通して間接的にそういった活動 へ関与するための足がかりをつかみ、それらをどのように大学 図書館のなかへ組み込んでいくのかを考えなければならない。 ●茂出木は《大学図書館の使命とは、究極には「図書館は学生の ために何ができるか」の徹底的実現である》とも述べている。 ※茂出木理子「お茶大図書館ハッピー宣言!:アピールする図書館戦略」 『丸善ライブラリーニュース』no.5、2009、p.4-5. http://hdl.handle.net/10083/33420
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 学生協働における大学図書館職員 ●学生が主役になることを確認してきたが、大学図書館職員の 存在を抜きにした学生協働は実際には困難であり、 現実的には大学図書館職員側からのアプローチが必要だろう。 ●たとえば、廣田は《学生支援のために設置された組織や施設で あっても、日常的に学生に接触できる場を持っているとは 限らない》という問題点を指摘している。 ●学生との接しやすさに職員ごとの違いがあるならば、 相互の関与を促すための仕組みが必要である。これには、 ①大学に対する視点、②学内の各部署に対する視点、 ③図書館職員同士の視点、という三つのアプローチが 考えられる。 ※廣田未来「お茶の水女子大学附属図書館の学生支援:ラーニング・コモンズとLiSA プログラム」『情報の科学と技術』vol.61、no.12、2011、p.489-494. http://hdl.handle.net/10083/50936
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 学生協働における大学図書館職員 ●学生協働において学生スタッフのキャリア形成支援も目的に含めて 考えるならば、いかにして学生同士あるいは大学図書館職員との関係の 外側にまで視野を広げるのかが重要となる。 ●茂出木は《こうした協働の場で、図書館職員の意識としてなによりも 大事なことは、専門職として何ができるかということに加えて、 「われわれも大学の運営に責任がある」という大学職員としての当事者 意識である》と述べている。そのためには、学内の他部署の職員にも、 大学図書館の学生協働の意義を認識してもらわなければならない。 →茂出木は「ラーニング・コモンズ的な場所の運営には学内各部署の 協働が必須である」と述べている。 ※茂出木理子「ラーニング・コモンズの可能性:魅力ある学習空間へのお茶の水女子大学 のチャレンジ」『情報の科学と技術』vol.58,no.7,2008,p.341-346. https://doi.org/10.18919/jkg.58.7̲341
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 学生協働における大学図書館職員 ●あるいは、学生たちの大学図書館活動や地域連携事業に対して何らかの 継続的な予算を整備するなど、法人側の理解も必要になってくる。 そのためには、大学の理念に沿うことを意識しつつ、運営に対する意見 を積極的に述べていかなければならない。 ●こういった意見表明を学生側から通すことは困難なため、大学図書館 職員や大学教員による協力体制の構築や積極的な提言が期待される。 ※茂出木理子「ラーニング・コモンズの可能性:魅力ある学習空間へのお茶の水女子大学 のチャレンジ」『情報の科学と技術』vol.58,no.7,2008,p.341-346. https://doi.org/10.18919/jkg.58.7̲341
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 学生協働における大学図書館職員 ●一方、兵藤・渡邊はこういった活動を継続させるための論点として、 職員育成の問題を指摘した上で、大学図書館職員を学習・教育支援の ハブに位置づけるという提案をしている。学生協働の取り組みを単発 的・短期的なものにしないためには、職員体制の充実化も欠かせない。 ●ハブ機能という指摘については、澁田が《学生スタッフをハブに図書館 利用者が増える効果》に言及しているように、大学図書館職員が 関与できない場面における学生同士のつながりも効果的である。 前述した「学生同士」による協働のあり方とも重なるが、そのためには 学生が主体的に活動できるような環境を調えなければならない。 ※兵藤健志、渡邊由紀子「図書館職員をハブとした情報リテラシー教育の展開:九州大学 の実践をもとに」『大学図書館研究』vol.105、2017、p.50-60. https://doi.org/10.20722/ jcul.1469 ※澁田勝「オープンキャンパスにおける図書館イベントの現状:受験生・学生協働・ 教職協働の観点から」『カレントアウェアネス・ポータル』no.319、2014-03-20. http://current.ndl.go.jp/ca1817
4.学生協働を実施するための人・組織のあり方 協働関係をデザインする ①大学図書館における学生協働は、学生が主役となる活動で あること。 ●誰と協働関係を結ぶのかは学生自身が決定する。 ②学生協働の取り組みを効果的に進めるに、大学図書館という 空間の制約から解放する視点を持たなければならないこと。 ●いつ・どこで協働をするのかは学生自身が決定する。 ③学生が大学図書館で得た学びの成果を、学外において応用 する方法を探ること。 ●どのような協働をするのかは学生自身が決定する。 ④自らの学びとなる協働関係を、学生自身がデザインできる ように、大学図書館職員や大学教員がそのための環境整備に 動くこと。
5.皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の事例 設立にあたっての職員から学生への要望 ①自立した集団をつくること。 ②月に一度の書架整理と図書館とのミーティングを行うこと。 ③長く続くグループをつくること。 ④学生たちが図書館総合展でポスター発表することを目標に 活動すること。 ※岡野裕行、井上真美、三木彩花「学生協働の取り組みは学生・職員・教員の間で どのように違って見えているのか:皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の4年間を 事例として」『図書館界』vol.71、no.5、20202、p.288-293. https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.5̲288
5.皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の事例 現在の活動の方向性 ①皇學館大学附属図書館の活性化活動(学内活動) ②学外での図書館や本・読書に関係する地域活性化を 目的としたボランティア活動(学外活動) ③皇學館大学附属図書館およびふみくら倶楽部の情報発信 (SNS) ●それぞれの活動ごとに協働相手となる対象者が変わり、協働相手が 変わることで、教員や図書館職員による支援の形態も変化する。 ※岡野裕行、井上真美、三木彩花「学生協働の取り組みは学生・職員・教員の間で どのように違って見えているのか:皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の4年間を 事例として」『図書館界』vol.71、no.5、20202、p.288-293. https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.5̲288
5.皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の事例 教員の関わり方 ①新規企画の持ち込み ●附属図書館の正式な事業として実施可能かを図書館職員と学生たちに 相談し、協働可能かについて相互に検討すること。 ②学外団体との連携の窓口 ●学外団体との窓口役となり、学生と学外団体との間に立つようにすること。 ●学生たちを「無償で働いてもらえる労働力」と見てくる学外団体もあるため、 場合によっては依頼を断るフィルターとしての役目を担っている。 ③企画立案の肯定 ●学生からの新たな企画立案については、基本的にそのすべてを肯定的に受け 止め、実現できる可能性を探ること。 ④活動への信頼 ●学生たちの活動を信頼し、余計な口出しはせずに任せること。 ※岡野裕行、井上真美、三木彩花「学生協働の取り組みは学生・職員・教員の間で どのように違って見えているのか:皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の4年間を 事例として」『図書館界』vol.71、no.5、20202、p.288-293. https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.5̲288
5.皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部の事例 教員の関わり方 ●大学図書館における学生協働の取り組みは、従来は図書館職員の側に 主導権があると見なされてきたが、学生協働の主役はあくまでも学生 たちである。 ●ただし、学生と図書館職員だけでは実現することが難しい活動もある ため、そこには教員も積極的に絡んでいかなければならないだろう。 ●井上は図書館職員として学生との「密着しすぎない距離感」を意識し ていると述べているが、サポート教員としてはできるだけ学生との 距離を詰めていくことを意識している。 ●学生と図書館職員の関係と見られがちな学生協働の取り組みに、 教員も積極的に関わっていくことで、複数の視点から活動を捉えると いうメリットが生じる。 ●活動の成果を相互に共有したり、活動の責任を相互に分散したりする など、二者だけでは行き詰まるような活動も、三者が寄れば道が 拓ける可能性がより高まってくる。
6.まとめ 学生協働の特徴 ●学生協働が普及し始めた当初は、用語としては学生が主役の ような扱いでありながら、その実態は大学図書館職員が 主導するものであり、学生が主語にはなりきれていなかった。 もともと大学図書館職員の問題意識から始まったためだが、 協働の理念に合わせるならば、学生を主役にする形へと移行 しなければならない。 ●また、大学図書館という空間や既存の図書館サービスから 学生協働を捉えることは、学生による創造活動の可能性を 狭めてしまうことになる。活動の基盤は大学図書館に置き ながら、学生たち自身の日常生活や興味関心からアイデアを 生み出せる仕組みが求められる。
6.まとめ 学生協働の特徴 ●つまり学生協働とは、学生自身がさまざまな人たちの活動に 触れながら協働関係を結び、新たなつながりと成果を生み 出す場の創出を可能とする関係のデザインを目的としている。 そこには大学図書館という空間や時間の枠組み、それに 関わる人や組織の制約を超えるような視点が求められる。 ●大学図書館の空間から外へ出ていく活動は、短期的には 図書館業務との関連性が薄いようにも思えるが、 中長期的な視点から見れば、何らかの形で大学図書館内での 活動にも還元されることになる。
6.まとめ 学生協働の特徴 ●茂出木は《大学図書館職員が大学図書館のなかで学生協働の 取り組みを閉じようとしてはいけない、勝手に自己完結して はいけない》と述べているが、それと同様に大学教員も講義・ 演習ほか大学のキャンパス内での学生との交わりのなかで 学生協働を閉じようとしてもいけないだろう。 ●学生たちは協働相手とパートナー関係を結ぶことで、 学びの形を自らデザインし直す機会を得ることができる。 ●学生たちにとってみれば、大学図書館職員や大学教員との 関係も、学びの形を自らデザインする機会となる。 その活動によって学生たちが学び取ってきたものは、 大学図書館での活動の機会を通じて還元され、 大学図書館職員や大学教員にも影響を与えていくことになる。
6.まとめ 今後の展望 ●自分たちの大学図書館に関することは当然のことながら、 他大学の取り組みやまちの文化の動向を知ること、 学生や教職員の興味・関心を呼び起こすことなど、 多様な観点から学生協働のきっかけを見出し、 新たな活動を創出していくことができる。 ●そのためには、現状の「学生協働」という言葉が意味する ところを、それに関係する者たち同士で認識を更新し続け なければならない。
6.まとめ 今後の展望 ●学生協働の取り組みがある程度広まってきた今日において は、「学生協働とは何をするのか」「学生協働を取り入れる ことで何ができるのか」という問いの立て方は既に過去の ものになっている。 ●学生協働という用語は、学生を中心に据えた人と人との 協力関係を意味するものだが、「学生が何をするのか」 「学生に何ができるのか」という視点から考えるだけでは なく、「学生と何がしたいのか」まで視野を広げる時期に なってきたと言える。